『ロビー』
色褪せたようなあまり広くないロビー。
無人の受付カウンターとモニター、いくらかのソファがある。
開いた大扉の向こうは、中庭が見える。
『記録[
「!」
一個なんか思い出したみたいで…
……手のひらを上に向けて…なんかいい感じに…シャコシャコ…しています…上下運動は変わらず…手だけが変わって…………。ちょっと引き攣った…ドヤ顔で…
これが…?
特徴がないのが特徴の…?
最強ヨーヨー…?
「ねえアタシヨーヨーの技これ以外知らないんだけど(震)」
上下にシャコシャコし続けています。これだけで一億点…?
シャコ…シャコ……………
安全そう。そもそも縁もまんまるだし、タコ糸だし。
「え」
最強のヨーヨー…?
四度見ぐらいしている。
「それは様々な異能を受け継ぎ回転が強化される最強のヨーヨー、"ワン・フォー・ロール"……特徴がないのが特徴さ……」
「ここにレフェリーはいないから好きな得点付け放題」
「ヨーヨーデスバトル…?」
1番最初の説明以外は何も頭に入ってこなかった。
異ヨーヨー…?諸刃のヨーヨー…?
あれ、このヨーヨーは安全なヨーヨーなのか…?
「ヨーヨーは難しい技ほど得点が増えて、それで競うゲーム……
敵の糸を引き裂く代わりに自らの手をも傷付ける諸刃のヨーヨーに、重力から解き放たれた"浮"のヨーヨー……様々な異ヨーヨーが集うデスバトルさ……」
何??
与太であった。
「なにそれーーーっ!!!!」
もっと横文字が増えて大混乱。
世代もそうだが、この女は漫画やアニメに全くと言っていいほど触れてこなかった…。
「ストリングプレイスパイダーベイビーを!?」
「あのやたら複雑なのに対してヨーヨー自体はぶら下がってるだけだからストリングプレイとして得点にならない"虚"の技……少年、できるかい?」
「な、なんとかなんちゃらすぱいだーべいびー…????」
横文字だらけの何かに大変混乱している。
残念、この女はヨーヨーの技の名前を知らないらしい…………
絶妙に上達してしまったせいで動きが単調になってくる。なんか新しいことしたいな…。
なんか、テレビで見る振り回すやつとか、紐をこう…こうしてヨーヨーを上に乗っけて…とかするやつ…あれやってみようかな…。
「そうか…。」
床、痛くないのかな…(中年思考)
この女は相変わらずソファにくっついてでもいるのか、動く様子もない。
「……………」
やることもなかったためかヨーヨーを出してきた。シャコシャコ。
「まあ、あの人あんまり見かけないから、見つけるのはちょっと難しそうだけどね」
よいしょ。床に座っ……いや、床で休日のお父さんみたいな寝転がり方をしている。
しばらくのんびりするつもりらしい。