『ロビー』
色褪せたようなあまり広くないロビー。
無人の受付カウンターとモニター、いくらかのソファがある。
開いた大扉の向こうは、中庭が見える。
『記録[
「なんかスゲー生い立ち聞こえてきてめちゃくちゃウケんね、ヤバじゃんか」
「助かるタイプのくしゃみも聞こえてきてオモロ…」
いやあ。なんとなくその辺一緒なのは頭では分かってるから人間パーティーレベルじゃないんだが、若干はどうしてもな。
まあ、話せるからマブなんだけど。その辺は変わらんよ、かくごしろ。
「あら、まあ……」
好みは千差万別。
人に対する感情も……また、そう。
色々な印象の受け取り方があるんだろう、な。
「おや、そのようなご経験が……なんとも奇異なことがあるものですねえ」
「何かしらの事情があるなら、まだいいですけど
ただただ批判してくるのはちょっと猫は許せないですよ」
「猫はただの猫ですのに」
「人もそれ以外も中身は大概同じだぜ、生きる為の内蔵と骨、あと老廃物を捨てる器官とか〜
よく言うじゃん、大体はタンパク質で出来てるって〜」
これは極論
「んまあそれに巻き込まれちまったのはご愁傷サマだぜ〜?」
あー。アタシあれなんよ。
アレ。チェンジリングだっけ。
それで、変な世界に赤ちゃんの時からある程度居たらしいんよ。
それでなんかされたんか、なーんか人以外見るとザワみがある。犬猫とかはマジ犬猫可愛いからいいんだけどな。
「差別主義者……あぁ、最初に見かけたっきりの
あのクソ共ですか」
猫さん?
「寝息は……まだ、安心できる人のなら分かりますけど……
くしゃみはうるさいです」
「またあれでヘイト買ったかもな〜…。まあいいんだけどさ…。」
医者とは、常にどこかしらヘイトが向けられている生き物だし、さほど変わったことでもない。
「………………………………」
くしゃみかわい〜〜〜〜〜。
「小さい命は可愛いからな。子犬がキュンキュン言ってる音だって良く使われてたり…」
子ウサギの寝息とか…インコの小さい鳴き声とか…
アタシだって人じゃなさそうなの見ると昔思い出してビビるけどさ、そこまで差別せんでも……なるよな。
少なくとも目の前のやつにはなんもされてないし。
んでまあ、思案様々でぴえんか。
なんか、こんなに小さい空間なのに色々よな。
「次から次へと問題がやってくるような、そんな感じでしたね。プールでの騒ぎは。綾川遥希様は残って問答を行ったようですし……ええ、本当に、お疲れ様で御座います……。」
「まあ、人は特殊な……嗜好を持つ方もいらっしゃいますのでね……?多種多様な好みがある方が、良いことだとは思いますよ。」
……たぶん。
「人が食べてるの聞いてると落ち着く、とかいう人いるらしいぞ。アタシは…よくわからんが…。」
あ、そこはこいつ普通の感覚なんだ。
「アタシはスライム切る音が好きだな…コリコリ言うあの音…」
揉め事。毒の体液をプールに流したところまでは知っている。
それから揉めたのなら、予想より悪いのかもね。
あの子のことだって、僕と似ているから好きな方なのに。
「まあ、揉めたのはあの差別主義者っぽい人らだったから知らない。」
「コンテキストさんは…わからない、少なくとも私との話は平和に終わったけど…。」
まあ、なんか色々色々って感じだったそうです。
「まあ、しばらくプールの水は薄ら黒いかもね。」
「あちゃ……」
「プールはプールで一悶着あったんですね……
一度も行ったことないんですけども……」
猫は水が嫌いですから。
うわぁ。喧嘩あったんか……。
プール。雨が見え過ぎてつらたんだから近寄れなくなっちゃったんだが、ラララちゃんのパワーが届けれないぜ。
「虹って」「ただ架けられるだけじゃないんだ。
雨に洗われたいのちを祝福する意味もある」
三日後なら、まだ生きてるのかな。
少し怪しいところはある。
ノイズだらけで聞き取りづらかった通信機の声。
聞き取れていたら、もう少し考えもあったのかも。
「冷静に考えて
子猫がマグロ食べる音で眠りたがるとか変態の沙汰ですよね……………………」
猫からしたら信じられない行為です。
「…夜草さん、プールの人たちと揉めかけてた…というかなんか色々あったらしくて首突っ込んじゃって。」
結局、誰がどうなってどう悪くてどれがどうなのかすらわかりませんでしたが。
「何やらお言葉が……それに隠れ変態、でございますか……ま、まあ聞いたことがない者があれこれ考えても答えに辿り着きはしないでしょう。ストレスを発散するコンテンツ、なのであれば広く親しまれている者なのかもしれませんしね。」
趣味嗜好はひとそれぞれ、ということにしておこう。
「あ〜、コンニキか〜、そりゃ大変だ、噛み砕くまでになかなか時間かかりそ〜だしな……」
「あ、ASMRか〜!
俺アレ好きだわ、あの細かくした石鹸の板パリパリしてくヤツ、映像とかで砕けた粉で無意味になってくとことかけっこ〜好きだぜ…」
「虹、虹な〜、色がいっぱいなんだろ〜な…………」