『ロビー』
色褪せたようなあまり広くないロビー。
無人の受付カウンターとモニター、いくらかのソファがある。
開いた大扉の向こうは、中庭が見える。
『記録[
「人のスイッチは勝手に押せないようです」
「押せたところで……な、気はしますが」
「……猫は襲いやすそうですし
時間の問題……ですかね」
「人のスイッチを」「……出来るかどうか、分かりませんが」
「出来てもあまり旨味がないように思います。畢竟、資源が減るだけで」
色々な人の声に釣られてモニターを見た。自分の資源を見て、ため息。
「まあ、不安なら一回守りの体制になっといても良いかもね…。しないよりは多分マシだろう。」
「アタシはまあ…襲われるか放っとかれるかのどっちかだろうな〜…」
この両極端な感じがなかなかいやらしいな。
こんばんのマブはこんばんはなー。
あのスイッチめちゃくちゃ触りたいよな。あれも人に送れるんかな……
あれ?つまり、強制的に人のやつポチって出来ん?
んまー。元から怪しいヤツは刺されてたくさいし、変わらんのじゃね?
その幅が広がったくらいだしなぁ?
……アタシが貧乏バレしたのまあまあハズいんだが。
やだ……無駄遣いする子だと思われてる……?
頭痛薬ずっと飲んでるだけなんよ……。
正直、HP表示にしている人達から襲われる気がしてならない。いやまあ、ガッチリガード出来るだろうから問題はないのだろうけれど。
何せ、数字が低い人は全く変えないせいで、やましいことがある証明のようになってしまっているのもまた一つの要因だろう。
普段なら挨拶がわりにしっぽを揺らすこともしたのでしょうが
今日はどうにもそういう訳ではなさそうで。
「スイッチ……を使えば、表記が変わるそうですね」
「……」
「あぁ、いらっしゃい…。」
めんどくさいことになったなって顔…と言うかオーラを出している。資源量とか見えまくりじゃ〜んって感じ〜。
傘の下から出てくる。内緒話はここでおしまい。
用事は済んだので、彼女を連れてロビーを離れるだろう。
元々、モニターを確認したかっただけだものね。
「まぁ、正直その説もあるよな…。」
アタシを殺したいのでなければあんまりこなさそうだけれど。まあでも、どっちにしてもまだ守りも選択肢にはあるし、大丈夫か、とのんびり。
「…………」
猫は、えも言えぬような感情になったのは
多分、初めてのことでした。
今までは素直な感情しか抱いて来なかったのもありますが
こうも、難しい問題になることがありませんでしたから。
「……トドメを刺しに」「資源目的でないなら、ありえますね」
「資源が目的ならそんなことする必要はほぼないと思います」
多分、きっと。
「わかった。…酷く疲れているようだし、無理はしないでゆっくりしてくれ。……ありがとう。」
綿積さんには軽く声だけかけて。自分も、ソファの背もたれに沈んで。
…これ、明日はどうなることやら。
「…ですが、ある程度警戒出来る余裕は持っておいた方が良いとも言えます。逆を言えば、多く持っている奴が余裕のない方を襲ってくる可能性もあると思います。資源を減らしてからトドメを刺しにくる。…なんてことも。」
「なんて言うか、食堂はまあ…相当な獣ばかりが集っている…と言わざるを得ないかな。」
なんか…毎度毎度大変そうで。
「…どうなんだろうね。資源が少ない奴らは襲いに来れないだろうし。だからと言って資源が山盛りある奴らはあれ以上溜め込む意味もないだろう。…」
「……食堂には資源を共有出来る棚があるんです」
「けど、つまり。それって誰でもその棚から資源を取れるってことなので」
「誰かが置いた瞬間、それを狙って取るかもしれない」「それが多ければ争奪戦」
要はそういうことだった。
「ああ、今は食堂で賭けのゲームを
悪魔様主体でなさってるようです。
資源を置く場所を使ってるみたいですが…、
どうなんでしょうね。活気があるのはいいですが」
「あぁ、確かに。……まあ、彼女は大役を買って出たわけだから。祝福を受ける権利は十分にあると私も思う。」
そう。私たちがしなかったことをしたのだから。
「……資源、やっぱり多くない方がいいです……よね」
猫は何もせず、ずっと休息をしていましたし
資源はそこそこの量を持ってしまっています。
それから、横になる人を心配そうに見つつ
少し近くにいることでしょう。
警戒代わりかもしれません。
「ありがとうございます、お医者様」
「すこしでもありがたいですよ」
礼を述べ、ペコリと。
歩く体力は温存するためにソファに座ったまま。
「偽善でもいいのではないでしょうか。
与える事が素晴らしいのですから」
「ホント、後3日なんだから彼みたいに他の人もわけわけできりゃ良いのに。」
1500とか、そんな数字をいくつか見かけた気がしたから。そんな人たちの資源を山分けにして、全員でゆっくり静かにしていれば、足りるぐらいはありそうだと思うのだが。
「………」
「えぇと、共用の棚に置いてしまうと争奪戦になるかと思いますし……むしろここで分けていただくのもアリかと。ほら、先程蘇生薬を買った方にとか。」