『プール』
白いタイルと規則正しい大き目の窓で構成されている。
窓は割れ、崩れた天井からプールに雨が降り注いでいる。
雨と地味な噴水と、緑のない殺風景な中庭が見える。
水しか出ないシャワー室も一応ある。
『記録[
「おォ~」
なんだかんだと停電前にはいつも起きてるな。偉い。
「もうそろそろだなァ~、灯りもつかなくなるかもな」
「火を起こせる道具があるのはその点でラッキーと言える。」
意味はよくわからないが、何となく爺いじりをされている気がした……それでも黙々とルービックキューブで遊んでいる。
「おはよう。」
起きたものには挨拶を
甘噛ほむり は 嗜好品 を得た。
時折わからない言語に困惑するが、まあそういう魔法か病気なんだろうと思いつつルービックキューブで遊んでいる。
「ホムリも少女も助かる。」
パクパク食べていることに感心している。
「煙にも毒が……ははぁ。毒物と言えば液体を想像するがな。
それに減っているのであれば使わせないようにしないといけん。」
誤解を生んでしまっているが、それなりに理解していると思っている。
「おじさん、末期癌だったの? それだと長く生きられないね。」
ブラックジョークかもしれない。
「どういたしまして。……もう要らないの? じゃあ私が貰っちゃおうかな。」
「では遠慮なく〜」
ポテチを1枚口にした。
「木枯先生みたいにどうしようもない大人がね、集まってタバコを吸うんだよ。タバコは煙にも毒があるから隔離されてるの」
「まぁ減ってるかどうかで言えば減ってるカモ……」
タバコと言うか少子化とかで……
ほら~老人がポテチなんか食えないって~。
俺も食えません。
「おれは王だ、これくらいでは死なん。」
ポテチを一枚頂く。なんか脂っこい。牛肉を食べている感覚だった。
「うむ……おれはもういい。好きに食べるのだな。」
一枚で諦めた。
「毒物を吸うための部屋!?ニホンは大変だな……それで民衆は減らないのか?」
とても驚いています。
「そ、ほむりです」
あの子よりは落ち着いたピンクをしている。
「日本にはタバコを吸うための部屋があるんだよ」
これを聞いたら驚くかもしれないな。
「末期の患者みたいな扱いを受けてる……」
間違ってない。
この毒は、もう助からない俺が責任を持って処理するからな───
「老人がポテチ食って大丈夫かよォ、昇天すんぞ~」
どのみちではある。
「成程……コガラシ?のしていることは戦争の前にたらふく酒を飲むのと変わらんのか。」
誤解があるが理解した。
「感謝する。此処に身分や地位など関係ないが……まぁ悪くはないな。」
王様呼びに嬉しいみたいです。
「あの毒…ニコチンには中毒性があるの。木枯おじさんはもう助からないから開き直ってるんだよ。」
言いたい放題です。
ちなみに灰色というよりは白色のつもりだったりもしますが、そうかも。
受け取って袋の取手を持って引っ張る。
ぱりっ。
簡単に開くのでしょう。
「開いたよ。はい、どうぞ王様。」
なんとなくノリでそう呼ぶことにしておいた。
「毒物なのに喜んでいる……。」
王、ドン引き。
ポテトチップスの袋は灰色の少女に任せることにした。
「うむ。では……頼んだ。」
優しくポンと渡したかもしれない。
ポテトチップスを渡す辺りで、甘噛さんのことに気づいた。
「む。ピンクの……ホムリか。」
「うおォ〜〜〜〜〜〜!!さすが王様!話がわかるゥ!」
うひょーーーー!!王からの下賜を恭しく受け取り、
もう一瞬で火をつけた。生き返る……
説明は嬢ちゃんに全て任せた。
「魔法具はライター、楽器はハーモニカか。」
名前を頑張って覚えている。
「ふむ。ポテトチップスとやらは食べ物なのか。虹色の魔法具はルービックキューブという玩具のか。」
王、今更知見を得ていく!
「ためになるな。どうせなら今ポテトチップスを食べてしまおう。」
しかし、爺のため袋がうまく開かない…。
「水の中で泳ぐ用の衣装…水着に着替えて、この中で泳いだり、涼を取るの。
シャワーは蛇口を捻ると水が出て来る装置のこと。人の身で浴びやすいように
細かい水に分かれて出て来るんだよ。」
「毒なのはそうだね。タバコから出る煙を吸うと、不治の病に罹るかもしれないから。」
「おじいちゃんではないし威厳があるのも当たり前だ。何故ならおれは王だからな…。」
でも何処となく嬉しそうにしている。
「タバコというのか。中庭にいた時も一人使用していたが、あれは吸う?ものなのか?」
疑問に思ったり。
「毒なのか、大変だな……。ぜひ処分してくれ。おれも使ってしまった。」
「木枯おじさん、自分が欲しいだけでしょ。ライター、ハーモニカは分かるんだね。
これ…ポテトチップスは袋を開けて食べるんだよ。
ジャンクフードって言うんだけど…要は食料ってこと。
このオブジェみたいなのは、一列ずつ回転させて全面の色を揃える遊び道具。
ルービックキューブっていうんだよ。」
お辞儀にはお辞儀で返そう。
「これはプール?というのか。貯水池だと思っていたぞ。シャワーというのもあるのか。」
余り知らないみたい。
「あら結構おじいちゃんじゃないの。威厳あるねェ……お!」
「……いやァ、そのそれ、タバコっていうんですけどォ」
「それ毒なんでェ……危ないですよォ。こっちで処分しときますわ」
「赤マントさん、こんにちは。」
ぺこりとおじぎして挨拶。
「冷たいプールに用がある人は余り居ないかも。
シャワーから水は出るけどね。」
今はどうかな。捻ったら雨水が出て来てもおかしく無さそうかもしれない。
「む……資源の者か。」
覚え方が単純であった。
「それもそうだが……この道具達をどうやって扱うのか教えて欲しくてな。」
両手から道具たちを降ろせば、煙草、ライター、ハーモニカ、ポテトチップス、ルービックキューブが出てきた。
「この音が鳴る楽器のようなものと、どこでも火が出る便利な魔法具の使い方はわかるのだ。それ以外はよくわからん。」