『プール』

白いタイルと規則正しい大き目の窓で構成されている。
窓は割れ、崩れた天井からプールに雨が降り注いでいる。
雨と地味な噴水と、緑のない殺風景な中庭が見える。
水しか出ないシャワー室も一応ある。

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『記録[雨の部屋]168:00:00を再生しています……』

木枯 芥子
2025-12-28 08:10:26 LogID: 19689

「まァ理想じゃなかったら…………諦める」
「別に今のお前も嫌いじゃないし」

ソバカスも大人になったら魅力になんだって。
だからそのままそっくり出てきたっていいわな。
次会うときは大人になるまで生きるんだから。

「朝から話し込んじまったな……」

こんなプールですみませんほんとに。

「今日は何人くらい顔見れるかねェ」

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志依
2025-12-28 07:56:52 LogID: 19688

「あと、すみません」
「寝てる人もいるのに騒がしくして」

シャワーに行って布団潜ってくれた気遣いも見た。
だんだん気まずくなってきたぞ。

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志依
2025-12-28 07:56:18 LogID: 19687

「今から楽しそうにしてたら」
「ちょっとは持ち越せそうかな」

吐き出すものを吐きだせばすっきりする。
だから諦めて、受け流し続けるものではないな。

辛いものは辛くて。
けれど、それより楽しみなものを、きちんと積み立てる。
その差し引きで。人は生きていたくなるものだろうから。

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志依
2025-12-28 07:54:46 LogID: 19686

「あんまり良い感じじゃなくても、
 後から整形したりとかはしませんからね」

コンプレックスとはいえどもそばかすもあったらいいな。
特徴が残れば残る程、分かりやすいというもの。

「……はあ、……疲れた」
「慣れないことはするものじゃないですね」

湿った頬を拭わせて、
あとは段々と、いつも通りへ。

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木枯 芥子
2025-12-28 07:47:28 LogID: 19685

「ほれ、ちゃんと拭けって」
「そんな汚い顔してたら後で揶揄されんぞォ〜」

ペンだこだらけの手、君の頬拭いて。
ほら、沢山泣いたらあとは笑うんだよ。
涙の後には虹が……って言うだろォ

「終わりまで楽しく、な。」

次会うための助走だって思えば。
そんな辛くないだろう?

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木枯 芥子
2025-12-28 07:45:03 LogID: 19684

「そんな思いをさせるために、一緒に居たんだよ」

だからまぁ、やっぱり100点満点だ。
お前にそんな顔させられたなら。
そんなこと言わせられたなら。
やっぱり、ここに来てよかったって思うんだよな。

「おう、約束」
「首洗って待ってろよォ〜。あと出来れば理想の女にもなっといてくれ」

けたけた笑って、軽口叩いて。
こんだけ触れて、見て、通わせたんだから。
道に迷うことなんて絶対ないわな。遅れないようには気をつけないと。
これ以上ジジイんなったら余計にからかわれるだろから

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志依
2025-12-28 07:25:33 LogID: 19683

「絶対ですよ」
「約束」

口約束には意味がないなんて。
願うことに意味があるなら、きっとそんなことはない。

「あなたを地獄に貶めてでも」
「会えますよ、きっと」

自分の為に死を選べる相手に。
何だって躊躇うことはない。

もう二度と、悔いを残さないようにしたいから。

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志依
2025-12-28 07:22:38 LogID: 19682

「奇遇ですね」

「私も」
「あのまま生きるくらいだったら」
「こうして死ぬことを、選んでやります」

もし、繰り返すなら、ずっと。
終わらなければ得られないというものだったら。

何度も泣いて。何度でも、この命を捨ててやれる。
それは擲つためじゃない。

会いたいからだ。皆に──ただ、あなたに。

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志依
2025-12-28 07:19:41 LogID: 19681

「……」

少しだけ、落ち着いて。
流しっぱなしの涙を袖口で拭い、
ぼんやりと。けれど決して無思慮ではなく、顔を上げる。

「……本当に、酷い」
「私にこんな思いをさせるなんて」

軽口を言う余裕も、ほんの少しだけ、湧く。
でも、そうだな。同じ。同じだ。

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木枯 芥子
2025-12-28 07:19:14 LogID: 19680

「出会ってくれて、ありがとな」

───涙、一筋頬垂れて。
結局答えなんてのは、それになるんだよな。
どっちかしか選べないなら、何度だって。
お前に会いに行くこと、選ぶんだから。
だから。

「また会おうな、絶対。絶対な。」

次もまた、きっと会える。
こんなにどデカい悔いを残したんだから。

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木枯 芥子
2025-12-28 07:16:11 LogID: 19679

「…本当に」
「ここに来れてよかった、なんていえやしねェけど」
「それでも」「ここのヤツらと出会えないまま生きるより」
「きっと俺、出会えてよかった」

「幸せだったんだ、この数日は」

慕ってくれた奴もいる。
生意気につっかかってくるやつもいる。
見守ってたい奴もいる。
幸せだった。そうだよ、本当にそうなんだ。

「もし、今過去に戻ってどっちがいいですかって聞かれても」
「俺は多分、お前たちと出会って死ぬ方、選ぶよ」
「だから、なァ」

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木枯 芥子
2025-12-28 07:11:07 LogID: 19677

「……そう、だよなァ」
「…もっと」
「……もっと、ずっと」

一緒にいたかった。
ここに居たヤツらと、もっと。
だってここにいたヤツらは、少なくとも会ったヤツらは皆。
小生意気で、我儘で。ガキで、敬いとかなくて。
だけれど、悪いやつはいなかった。
だけれど、嫌いなやつはいなかった。

「……終わりたく、ないよ、なぁ……」

あぁ、声が細くなっちまう。
お前がそんなになっちまうから。
苦しくなる、胸の、奥が。

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甘噛ほむり
2025-12-28 06:53:59 LogID: 19676

そっと布団に潜った。

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志依
2025-12-28 06:52:29 LogID: 19675

「……これだけのものをもらって……」
「どうして……終わらなくちゃ、いけないの……」

まだ、これから先、
沢山してもらえそうなことが、あるじゃないか。
返したいことだって、こんなに、持ちきれないほどあるのに。

顔をあげてもまだ涙はやまない。
ああ、本当に、本当に──幸せなんだなあ、今。

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志依
2025-12-28 06:50:52 LogID: 19674

何で死なせなくてはいけないの。
何で苦しまなくてはいけないの。

諦めただけで。忘れたふりをしただけで。
確かに心の澱みとして溜まっていたものたちが、
ひっくりかえって、次々と溢れていく。

そうまでして必死に生きて。
その先にようやく──

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志依
2025-12-28 06:47:37 LogID: 19673

「っ、ふ、っう……!」

本当は。死んでほしくなかった。
居なくなって、ほしくなかった。

誰にも、今まで会ってきた、誰にも!

「う、ぁ、ああ、っ……!」

居場所が欲しかった。ここに居ていいんだよって、
そんな暖かい場所に、いたかったんだ。

自分のせいじゃないってわかってるのに。
自分がいるからなんて思ってしまって。

もう、手放すこともできない。

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木枯 芥子
2025-12-28 06:41:18 LogID: 19672

「……俺も」
「同じ気持ちだよ」
「……ずっと、同じ気持ちだ。」

生きててよかった。
生きていたかった。

そうやって思いながら死ねるこれは、きっと100点満点で。
だというのに、苦しくて悲しくて、どうにも笑えはしないわな。

「いっぱい泣いたらいいよ」
「辛い時も、悲しい時も、嬉しい時も」
「泣いていいんだよ」

全部受け止めるから。
もうどこにも攫わせないよ。
な。いっぱい泣こう。悔いなく。

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木枯 芥子
2025-12-28 06:38:28 LogID: 19671

「とんだお転婆レディだったけどな」

なんて、くつくつ笑う。
大人しい顔して、全然言うこと聞きやしない。
でもきっと、だからこそ気になった。
見てたいなって、見てやらなきゃって、思った。

零れた涙、隠すよに。
ちょっと腕回して、優しく包んで。
そんで、背中を撫でよう。

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志依
2025-12-28 06:34:55 LogID: 19670

「……っ」

自然と。涙が零れる。
本当は。ほんとは、もう、こわくてたまらない。
終わってほしくないって気持ちの蓋が空いてしまう。

考えたくないのに。
いつかまた、で。終わらせたいのに。

「……やだ、な」
「……私、……」
「もっと、生きたかった」
「……生きててよかった」

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志依
2025-12-28 06:32:32 LogID: 19669

「!」

頭上に。手の温もりを感じる。
本当に、小さい頃にしかされなかった。

穏やかな。
私を攫い。守り続ける。そんな。

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志依
2025-12-28 06:31:27 LogID: 19668

「……」
「そうですよ。あなたのおかげ」
「あなたが、私を通して生きたいと望んだから。
 私に生きてほしいと、望んでくれたからです」

それがなかったら。
こんな時になっても何も感じることなく。
終わりに、諦めをつけていた。同じように。

「……見ててくれて、ありがとう」
「そうです。私、一人前の……レディなんですから」

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木枯 芥子
2025-12-28 06:24:42 LogID: 19667

「よく頑張りました」


その頭、そうと撫でて。
頑張った子供にはな、そうしてやらないと。

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木枯 芥子
2025-12-28 06:23:48 LogID: 19666

「…それならよかった」
「俺って、お前のために今日まで生きてたのかも」
「しみったれても生きること諦めないでよかった」

大袈裟かな。大袈裟だろな。
でもね、俺ももう、ここに来るまで何度も死にたくなってたから。
きっと今やっと、自分の人生に向かって。
『これが正解だったよ』って、丸をつけられるんだろな。

「……うん、お前もよく頑張ったな」
「ずっと見てたよ。ちゃんと」
「ほんとに、最初と見違えるくらいいい顔んなったなァ」

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志依
2025-12-28 06:19:01 LogID: 19665

もう、ただ望まれるだけではない。

「私も、頑張りましたよ」
「時間が止まればいいのにって思うぐらい」

「流石に、今止まられたら困りますけどね」

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志依
2025-12-28 06:17:28 LogID: 19664

「……」
「ああ、楽しかったで終われないぐらい」
「楽しかったです。ここであったこと。生きたこと」

改めて問われて。
精一杯。誰かのために頑張ったと言われて。

生きる度に、諦めていた気持ちが解けていたことに気づく。

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木枯 芥子
2025-12-28 06:12:21 LogID: 19663

「看取り人になるのもまァ、悪かないね」

最期になってな、雨音聞いて。
そんで、緩やかに終わる。それがいいかもな、俺も。

「……ん、いいよ」
「俺もお前のことちゃんと覚えとかないとだからな」

差し出された手を取って。
いつか迎えに行く時に、決して間違えたりしないよう。
きっとまた、会えるよう。

「……楽しく生きられたか?」
「俺なりに精一杯、頑張ってみたんだけど」

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甘噛ほむり
2025-12-28 06:08:12 LogID: 19662

「…やっぱ寝れない」
シャワーを浴びることにした。
足りないシャワーヘッドを見て、もうここにはいない彼のことを思い出すんだろうな。

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志依
2025-12-28 06:06:26 LogID: 19661

「……手を、」
「握っててもらえませんか」

そっと手を差し出す。

「離れることがないように」
「離れても。その手を覚えていられるように」

それが、今、最後になってもいいからしたいこと。

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甘噛ほむり
2025-12-28 06:06:06 LogID: 19660

むくり、と体を起こして。
「…減ってる」
それだけ言うと、また眠りに就いた。

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志依
2025-12-28 06:05:31 LogID: 19659

「ふふっ、このままでは、
 本当に最後まで残っちゃうかもしれませんね」

何だって構わない。
心残りは全て、もっと先に預けるのだし。

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