『食堂』
どちらかと言うと広めのキッチン。水浸しになった。
奥にはシステムキッチンとカウンターがある。ガスも水道も電気も通っていない。
カウンター奥に「箱」のついた扉があるが、曇り空の見える階段があるだけ。
『記録[
「えぇ?こわ………………」
語気強。
こういうのが居るから鍵はかかる場所で休むべきなんだよな。
「年下からはさん付けになんのかァ?」
「ちょっと」
間接的に明言されてしまった。
「タンだけだともう焼肉屋さんですしね。
タンくんでもタンちゃんでもいいといえばいいですが」
「まだここには俺が満開の花咲かせる土壌がないだけ」
「ガキがカーテン巻いてるだけで興奮できる変態だったらよかったんだけどな……」
「お、タンちゃんか、これが噂の……」
「じゃあ宿題な、名前とやりたいこと」
こっから出られたら関わりもないだろうに宿題を科す。
他人事にすんなァ、お前の事だぞ。
「お、狸寝入りマンも起きたぞ。
ガキには分からなかったか……大人の色気ある話は……」
ふー……やれやれ……
「やりたいこと、かあ……」
「やりきっちゃったな、と思うのは、
やっぱり私が無欲寄りだからなんでしょうね」
傘を所在なさげに揺らす。
年を取るのは怖いが、その前にしておきたいことは思いつかない。
「名前と一緒に見つかるといいですね、やりたいこと」
極めつけは他人事だ。
「もしかしてここってセンスが終わったやつしかいないの?」
大衆に受け入れられるならそれが正解なのかも……
おじさんも戸惑っています。
「欲張りみたいなセリフだなァ。ま、傘は邪魔じゃないなら持ってても別にいい」
「お前もいずれ目尻や小鼻にシワができてなァ……白髪……はもとからか……
そして美味いもんが胃もたれで食べられなくなるんだ」
怖いだろ……歴戦の戦士からの言葉だ……
「だからちゃんと若い今のうちにやりたいことはやるように。」