『食堂』
どちらかと言うと広めのキッチン。水浸しになった。
奥にはシステムキッチンとカウンターがある。ガスも水道も電気も通っていない。
カウンター奥に「箱」のついた扉があるが、曇り空の見える階段があるだけ。
『記録[
「天使に悪魔にうさ耳にカッパ?に猫に………」
「…モニター軽く見るだけでもほんと、個性のバーゲンセールって感じ」
少なくとも、此処が常識外な場所なのは受け入れざるを得ないよね。
「帰れなくなるのは困りますけど……見たところ良い人たちばかりですし、少し長居する分にはいいかもしれません。食料と水さえいただければ……」
「おじさんが無事でいられるようにちゃんと支えてくれな……
重いもの持ったり……小さい文字読んでくれたり……」
「脂っぽいものだったら何かと交換してくれよなァ~……」
現実を生きている……生々しい現実を……
「あの世のご飯を食べると、死人の仲間入りしちゃゃうんだって。
あの世から戻って来れなくなるみたいな話だったと思う。」
うーん、と頭を捻っている。あんまり自信が無いらしい。
「おじさんの切実な願いだ……と、おかえりなさいませー」
「とりま現時点ではそゆのは起きてないかも。停電、停電か……」
これまたミステリあるあるだよな……
「私がそもそも、こう、おおざっぱな性格のはあるとしても……」
「どうみても真っ白な人とか、角が生えてるなって人がいましたね」
先天性の病気で片づけるには流石にだしな。
「異世界のものを食べると、帰れなくなるというタブー」
「言う通り、飢えて死ぬよりはマシだとは思いますけど」
ここは、過ごしづらいというわけでもないから。
「そうなんだ。後で減る事になるって言うし
キリは悪くなりそう。探偵と言えば珈琲よね。
もちろんブラックで。」
「おじさんには無事で居て欲しい。
そうじゃないと書いて貰えないかもしれないもの。」
「…まぁ普段見る事あるかって言われたら否定は出来んけども」
珍しさで言うならTier度高めだろな。思い浮かぶのはどれも犯罪系だけど。
「結構良い趣味してんのね」
「ま~若いやつとか特に食わねぇと体動かねぇだろォ~」
「栄養あるやつが配られると良いなァ~。出来れば脂っぽくないやつで……」
「この場所にいるとどうも時間感覚が鈍りますね。
停電の時刻は過ぎましたでしょうか」
ふわ、とどこからか欠伸をしながら。
あらかじめ支給されている味が薄いスープを飲んでいる。ぬるい。
「知らない世界……?えー!そっか、そゆのもあるのか……」
「夢じゃなかったら海外でしょって思ってたケド……」
「よもつへぐい聞いたことある!なんかよくないヤツだよね?」
「あいたぁ……!
そうですね。無事帰るためにも体調を崩すわけにはいきませんね……」
「でも、結構珍しいじゃないですか。埋まってる人間って」
まだ言ってる。
「広いのは一長一短っぽそ~……気難しいトコあんのも何処も同じか」
客もそゆのばっかだし。
アンジャッシュは続いていく……。
「…ま、そんじゃスベリも元のトコ戻る為にぼちぼちやんなね。
言った傍から飲みたがんじゃないっての」
額を指で軽くぺちーん。
「知ってる国どころか、
知ってる世界すらも怪しいんですよね」
夢とか言う人もいるのはさておいて、
凡そ人間ではない存在もちらほらいた。
「ヨモツヘグイとかにでもなったらどうしよう」
「それはもう遅いか」
「友達が海外旅行で飲んだ水でお腹壊して大変だったって言ってたもんー」
ギャルはここをおおよそ海外だと思っている。
日本人ぽい人も多いけど。
「ああ…気にしないでください。
資源をキリ良く減らそうとしてやめただけなので。
それに昨日出し入れしましたが何も無かったですし」
「どうせなら水じゃ無くてコーヒーが飲みたいですね…」
「薬にも資源は使いそだしね。変なモン飲み食いするのは最終手段って事にしとこ」
「おじさんの無残な姿とか誰も見たくないだろし」
「ダリアさんですね。私はスベリと呼ばれています。よろしくお願い申し上げます」
カーテシーでご挨拶。
「客の入り……? うーん、お客人はボチボチですかね。ご主人様が気難しい方なので」
イメージが違うなんて思いもしないままそう答える。
「ワガママなガキたちだなァ〜〜〜!」
「体にかける水なんだからさすがに大丈夫だろォ〜
腹壊したら中庭の噴水の下に埋めてくれてもいいね」