『食堂』
どちらかと言うと広めのキッチン。水浸しになった。
奥にはシステムキッチンとカウンターがある。ガスも水道も電気も通っていない。
カウンター奥に「箱」のついた扉があるが、曇り空の見える階段があるだけ。
『記録[
「アタシの学校フツーに温水出たよ笑」
「ま学校によるだろうけど、そゆのは」
「ショック受けてるおじさん。かわいそ笑」
「配給が缶詰とかだったとしてもチンしたいよねー」
「あったかいご飯食べたいよー」
「棚はからっぽ……ガスもなければ水道も電気もない、か」
「食堂やキッチンとしての機能が死んでるな」
探索が徒労に終わり、ため息をついた。
「小腹が空いたな……と思ったけど」
「やっぱり火は使えないんですね、残念」
いつのまにかキッチンの方に潜り込んでいる。
「そもそも食べ物も持ち込まないとか……」
「え?最近のプールってお湯出るの?まじ?
俺小説にプール出す時毎回水って書いてた……」
ジェネレーションギャップでダメージ……
髭を剃るのも髪を整えるのも刃物がいるな……
「お!ほら!整ってない方がいいよなァ〜!」
「メイドの……源氏名の……えー……嬢ちゃん!」
味方?を見つけて調子づいている。
「水で我慢しろ〜、まタオルとかもないけど」
「私が通ってたスイミングスクールのシャワーは温水出るよ。
おじさん、ちゃんとヒゲ剃って、髪を整えたら格好いいかも。」
「温水プール、してもいいんじゃない? 多分。」
「ま〜湯なんて贅沢品ってコト」
「コップ一杯の水を沸かすのもここじゃ大変そうだなァ〜
女子達はなんとかなるといいね。ショップに手入れ品くらいは売られるのカモ」
「あー、昔のプールはシャワー水しか出なかったんだっけ?笑」
地獄のシャワーを知らない、世代の差。
「お風呂沸かすにも、そもそもガス通ってなさそー」
「プールの設備としてのシャワーが水しか出ないのは
当たり前だろうがァ〜。だからあれは整ってんの。」
温水プールは置いておいて。
「失礼なガキだなァ〜!こんなダンディな……ダン……」
ヨレヨレのシャツ。
伸びっぱなしの髪。
剃り残されてるヒゲ……
「……失礼なヤツだなァ〜!」
「浴びたよ!冷たすぎてガチ終わってたもん」
「あれを整ってるってゆーから限界生活してんのかと思った」
「おじさんガス代滞納してても納得だし笑」
「なんか俺がガス代滞納してる終わってる成人男性だと思われてるか……?
水しか出ないシャワーはここのことだよ。お前らもこれから限界生活になんだよ」
さっきも阿鼻叫喚だったよ。
「え笑 いや水しか出ないシャワーはわりと終わり寄りじゃね?」
「おじさんそんな限界生活だったん?」
「サバ缶おいしいよねー、あれ骨が好き笑」
「ほじって食べてたら行儀悪いって親に怒られたわ笑」
「うわァ〜具体的な料理名出さないでくれ。腹減るってェ〜」
「油っこい肉の代わりにほか全部くれる逆ヴィーガンを探しとくかァ〜……」