『食堂』
どちらかと言うと広めのキッチン。水浸しになった。
奥にはシステムキッチンとカウンターがある。ガスも水道も電気も通っていない。
カウンター奥に「箱」のついた扉があるが、曇り空の見える階段があるだけ。
『記録[
「も、もお………」
なんかもう恥ずかしくて顔から湯気がでそうで。
なんか、こんなことして貰ったのは始めてかも。
「………ん?」
そうして、返事をする綾川は、さっきと変わりない、赤くなったままの綾川で。
「わ、わたしはもう十分だよ………」
「……そうさ。久しぶりの甘味だもの」
「たっぷりと、ご賞味あれよ」
そういって今度は、ポテチをひとつつまんでいくのでしょう。
猫ちゃんが目を丸くするのも納得のしょっぱさでした。
そうでしょう?
「……また、誰か。雨に還ったんだね」
「僕としては好きに持ち出してくれて構わないが……」
「…………綾川さん?」
目の前のあなたの違和感に、僅かに気がついたのみ。
……そこから、察せはすれど何も言わず。
僕にはそこまで権利はないから。
あの子と親しかったのは……目の前の彼女なのだから。
猫は耳がいいですから
……最後のその別れも聞いていました。
「……さようなら」
届くはずもない、小さな声を一つ。こぼして
目の前の光景へまた目線を戻しました。
「食べれる時に食べないと損ですよ〜」
やじなんか、飛ばしたりして。
「あう、あわわ………んむ………」
赤くなりながらも、差し出されたものは断れなくて。
綾川は、声も、放送も。全部全部、聞こえていたのでしょう
「(ありがとう、さよなら………)」
「ええ、ご自由に………」
私たちは、もう使ったから。
甘噛ほむりは資源を R700 持ち出した
「ほらほら、遠慮なんかしなくていいんだから」
そう言ってスプーンを無理やり差し出し続ける。
おそらく、見えない位置取りだったのでしょう。
きっと、聞こえないほど楽しかったのでしょう。
背後の彼女に気がつくことはなく、穏やかな時間を過ごすのみ。
『資源倉庫への追加資源を配置しました』
「まあ、人間の味付けは猫には濃いからね………」
少しまだパンが余ってるから、口直しする?って聞きつつ。
「えっえ?あ、え、あー………」
あーんされたのをそのまま食べて真っ赤っかになっています。この歳でするのはちょっと、はずかし………
スズメは資源を R150 棚に返却した
「あちゃあ、お気に召さなかったか」
フフ、といつもの笑い方。
ずっと、ずっとこうしていられればな。
「じゃ、綾川さんも」
「はい、あーん」
「猫の舌はリッチですよ」
差し出されるがままにパクっと一口で行ってしまいしまた。
「……あにゃい……」
美味しくないという程ではありませんが
そこそこに微妙な顔をしています。
自然には甘味なんてほとんどありませんから……
「じゃあ、少しだけ………」
交換できるならちょっと控えめに頂いて。
「だ、いじょうぶ………?」
猫さんにはちょっと刺激が強かったですね。
いやまあ、人間でもしょっぱいですし。
「ハハ、キミには少ししょっぱかったか」
「きっとその分甘く感じるはずだよ……ほら」
プリンを大きめにひと掬い。
あーん、なんて言いながらスプーンを差し出してみたり。
「ふふん、猫は強欲ですよ」
ここぞと言わんばかりにポテチを1枚取っていきました
「しょっっぱ」
猫には強かったようです。
「ぷりん、とやらは聞いたことがないですね。
気になります」
猫は好奇心が旺盛ですから。
「むぐっ……ひひのはひ?」
スプーンをくわえながらポテチの方に視線を向ける。
少々はしたない。
「ふむ……せっかくなら交換しようじゃないか」
「甘い物の後に食べる塩気はまた格別だからね」
「猫ちゃんも食べるかい?」
「んふっ、ふふ………」
自分も乾いたパンを口にしつつ、それを眺めていました。
「そっか。まあ、撃ちたかったらあとで入れてくるよ。」
ついでにポテチも開けちゃって。若干湿気ってるかもしれませんが。
「いる?」
「カッコよく銃構えて見たかったんですもーん」
「んぅ……水嫌いですしいいです……」
そこはブレない猫でした。
人に水をかける分にはいいらしいです。
かく言う猫は軽くパンを食べて、食事の終わりです。
「空砲じゃないか……コホン」
やれやれ、と言った様子でもっそりと座りなおす。
さっきのひとかけで食事は終わり。
最後まで取っておいた安っぽいカップのプリンの蓋を開けてみる。
ほんのりとすえた匂いがするものの、たぶん美味しく食べれるはずだ。
「…………」
そっと銃を下ろしました
流石にむせている人に撃つ覚悟はなかったようです。
「……水は入ってないです」
カシュ、カシュ(空気が出る音)
何がしたかったんでしょうこの猫は。
「ほほう、やるかい?」
「受けて立とうじゃないか……」
じり……とおおげさににじり寄る姿勢。
食べかけてたパンをぐっと嚥下しようとして……むせた。
「3つあるなら皆でできるけどね………」
私は構わないけど、といった顔。
プールの水、今どうなってるのかな………
「み、みず入ってるのかそれ………」
あわあわしています。いや、いいんだけどね?!
「水鉄砲、か」
「……水に関係あるものが出るのかもな」
後ろ手に自分の娯楽品を隠しながら、そう呟いた。
「プールサイドで水遊びって気分でも無いしね……」
「怪我人と猫ちゃんに向ける気にはならないし」