『食堂』
どちらかと言うと広めのキッチン。水浸しになった。
奥にはシステムキッチンとカウンターがある。ガスも水道も電気も通っていない。
カウンター奥に「箱」のついた扉があるが、曇り空の見える階段があるだけ。
『記録[
「おかえりなさいませー。ん~、増える増える」
カーテシーでお出迎え。
考えることは人それぞれなのだろうけど。
……それでも、それが増えるのは喜ばしいことだ。
「――さて」
「……まもなく、いつもの時間となりますが……」
何処からか戻ってきた後。
今日は停電まで目を伏せて静かに周囲を見守っているだろう。
「"堂"位にぎやかに、気軽に過ごせるとこはあった方がねぇ」
「連日ゲームは考えるけど~……と、おかえりなさいませー」
カーテシー。お出迎え。いつものように。
marryは資源を R10 持ち出した
ラオヤは資源を R10 棚に返却した
「この時間帯あるあるの光景かねぇ」
もっとも、完全に同じ光景なんて無いが。
「…今日くらいゆるーく過ごせればいーんだけど」
ぼんやり。まったり…
「やっぱり、あるんでしょうね。体内時計みたいなものが」
「……」
いつもよりはぼんやりと過ごしている。
警戒するフリを、やめただけ。
足音。そしてローラーシューズの音。
規則正しく鳴るソレは部屋の前で止まり。
「おつかれさまでーす」
メイドも出勤してくる時間帯です。
「ま、準備していってお前がいなかったら帰るよ」
と、去り際に声かけつつ。
「じゃあまだいいなァ」
「あとはずっと上り調子になるしか無いってコト」
今より不幸にならないって、ある意味安心感である。
「不吉……」
大事なことなのだろうけども。
「厄に好かれてるなら、まあ、納得はできますね」
「ここに攫われるのが一番の厄で」
「それ以上は、多分ないでしょう」
ある意味後ろ向きな前向きさ。持ちつつある。
おぉ~、と一礼に手を上げて、視線にはその手をひらりと振って。
「幸薄そうだもんなァ~嬢ちゃん」
「厄にモテてるのカモ……」
「……」
視線を交互に向ける。
人伝だ。仮にそうだったとして、ある程度の納得があって。
昨日みたいに言うのは、やや無粋なのだろう。
「魔除けと言えば……」
「厄払いを受けたことはありましたけど、効きませんでしたね」
「じゃァ~知ってるやつ適当に書くからなァ。効かなくっても怒るなよ~」
魔除けの文字つったって琵琶法師みたいに全身書かなくても良いだろうし。
まぁ、君が書けっつった場所に書くくらいならそんな大した労力じゃない。
墨のこともまぁ……そんな気にすることもないだろう。
「んじゃァ~あとでなァ~」
後程、時間のあるときにいくとするかね。
今んとこはここでダラっとする予定。
「…………字は、分からん。」
魔除けの文字が欲しいだけで、それが果たして何なのかは分かっていない。
だからリクエストもしようがない。好きに書いて頂きたい。
「…………必要なら、脱いでいい。
準備ができたら"Kappa"に来てほしい。」
簡素に、それだけ。
概ね伝えたいことは伝えた、と言わんばかりの態度に戻った。
「ふゥん」
魔除け、魔除けか。
ちょうど昨日似たような話を聞いた気がするな。
じゃあ墨も、と思えばまぁ……頭を掻いて。
「…別にいいけどォ~、魔除けの文字ってなんでもいいの?」
「なんでもいいなら知ってるやつ書くけど、リクエストあるなら教えてネ。」
幸いネタ探しに色々調べてた名残が頭の中にはある。
頭がいいかって言われたら微妙だが、書けないこたない。
「あとそれ着たままの状態で書くの?綺麗に書けるかわかんねェぞォ~」
「スピリチュアル」
ミステリーとオカルトは似て非なるものだけども。
そして、墨、魔除け。ちょっと思い当たることはあって、
それが合ってるかはわからないけども。
そっと見ていた。口を挟むことはなく。
「……………………。」
しばし黙る。言い渋っている訳では無いが、納得できそうな言葉を探している。
「…………この合羽に"魔除けの文字"を刻んでもらいたい。
字が書けるということは、頭もいいんだろ?
頼めるか?」