『食堂』
どちらかと言うと広めのキッチン。水浸しになった。
奥にはシステムキッチンとカウンターがある。ガスも水道も電気も通っていない。
カウンター奥に「箱」のついた扉があるが、曇り空の見える階段があるだけ。
『記録[
「トークって……何したんですか、しかも逃げ出すほどの……」
少し呆れた様子。棚を見る、僅かに蓄えられている、が、きっと朝には空だと思った。
「……医療品とかになればいいですね」
「ああリメナントさん。私めのトークがつまらなかったばかりに逃げ出す方が多かったので、今申し訳なさに打ちひしがれているところでございます!
長く食堂を借りた場所代として100枚棚に置いておきましたので、誰かが活用して頂ければ私悦にございます!」
足音。入り口近くから顔を出す。
「……何かあったんですか」
こいつは葬儀があったことを知らない。何かルーティンのように、棚を見に来ただけ。
「はあ」
その善意を受け取るような方向の利益追求者ではない、と自分を騙す。
その証明に、誰かに取られるなら1人の善意だけではないほうがいいと判断した。
「さすがに疲れましたね……」
コンテキストは資源を R50 棚に返却した
「──締め切らせて、いただきます。それではこの場をお借りして死者葬儀堂を終えさせていただきます。
皆様ありがとうございます。皆様いい夢が見れることを祈っております。
"忘れないこと"をお忘れなきように。それは、この度の死者も、これから見る夢もそうです」
「以上、私めコンテキストでございました!」
式を終える合図に再び一礼をして終えた。蘇生することは、なかった。
「(ああ、この方向でルートを練る必要があるな)」
冷めた心でそう思う。
「……でもちょっと、遅い時間?みたいだし。
また機会改めますね。」
「次に会ったら、少しだけお話するお時間下さいね。」
そう言うと、それじゃあ!と
この場を離れるだろう。
夜草織は資源を R50 棚に返却した
「……コンテキストさん。」
箱に近づいた。
金貨っぽいそれを、ほんの少しだけ。
「私が困らない位しか入れられないけど。」
「それから……」
少し、間。
「(詭弁が過ぎたか、不信を買っただろうな。
もとより指導者を立てずにワタシが表舞台で行わざるをえなかった時点で覚悟していたことだ。だから欲しかったのになあ
でもこれで誰かが他人の人生を奪うことに躊躇を持てばそれでいい。あるいは億が一蘇生が成立してワタシが破綻と破滅を迎えたとしても。
全員の今後に必要なのは"死んでも誰かが助けてくれる希望"だ。だからワタシの弁舌はどちらに転ぼうとも──)」
>>8855
「……えぇ。
あたしはアンタに過去を語らない」
「アンタはあたしが、
何処かのお嬢様であるとだけ知っていれば良い」
言ったからね、と強調。
周りの皆も、聞いたよね?
秘めた過去も抱えた疵も。
全て全て、自分だけのものだから。
「……あたしだって死にたくはないけれど、
“その時”が来たら抵抗はせず受け入れるわ」
「それが天命だったのでしょうよ」
「私は嫌ですね。
少なくともあの時間でそれだけ『4人同時に深い話まで』
聞けた皆様方のお命が少しでも無駄になってしまうなら」
「故に…、頑張ってください、としか言えないでしょうね」
「……私はそろそろ個室に戻って仮眠をとりますね。
おやすみなさいませ」
「ん、おやすみな〜」
「俺もちょっと体がヤバのバだし〜?寝ちまうか…
すまね〜コンニキ、俺が協力出来たらもうちょい良いんだろ〜けど、力になれることはこれ以上はねぇわ〜」
「そうだな〜、その可能性に協力して欲しい、だとしたら俺は大ハズレだな〜
俺は話を聞くだけ、聞くだけ聞いてそんで終わりのペラッペラな男だし〜?
人をよく見てんだな〜とは思うが、思うだけで、後は出来ることはなんもないとしか言えね〜、って感じ〜」
「アンタが資源を消費して死に急ぐ分にはあたしは困らないから、やりたいならば勝手にすれば…………」
この式に参加こそしたが。
抱いたそれは、警戒だった。
「あれ全部聞けてたのスゲーじゃん。
僕、途中から何言ってんのか分かんなかったや」
実質、立ち去った人と同じく。聞くのを拒否してたのかも。
「ローゼン様の言う通り、資源が0のまま復活する可能性がございますね。
しかしこういう可能性はございませんか?
蘇生薬とは人が生きながらえるための対価であり、事実的な資源の譲渡も含まれるのではないかと。
今まで資源と呼ぶ金貨を対価に皆様いろんなものを交換してきましたよね?不思議な箱で。
故に命を繋ぐ食料も命と資源の交換である。蘇生には、生き永らえるだけの食料もついてくるかもと」
「私めは全財産で救えたら後は平和を望むだけです」
「…………こんな状況でないならば、
手助け、しても良かったのかも知れないわね?」
「今は……話したこともない赤の他人の為に、
懸けられる命なんてないのよ」
「……薄情はそーかもな〜、言うて俺はオモロとヤバに対してしか生きれね〜からな〜」
「んだからま〜、あれ見て中々に安心したぜ、アレが出来るやつが居るってのは弔いになんだろーし、的な?」
軽い調子で
「あと、コンテキスト」
「…………もしもこの先、あたしが死んでも。
今日みたいな葬儀、執り行わないでね」
「あたしは今のところ、
アンタには表面的な過去しか話すつもりはないわ」
「……」
「(その通り、無理だ
あなた達は、出すことが出来ない。誰かが取るかもしれないから。資源が少ないと不安だから。
だから"蘇生すること"はおそらくない。だから、ワタシが語ったでたらめも、嘘だと証明しようがない
ああ、死人とは死後に脚色されるものだと分かっていながら、ワタシはその側に立ってしまったね
死者は戻ってこない以上、誰かの戒めとして利用するほかない)」
「…神父の私が口を挟むのも、なんですが」
「次の停電で死者が出たらどうするおつもりで?」
「……それに、生き返らせたとして、
残りの助けが来る日までの資源…、食料は人数分確保できますか?」
「助けても餓死、だと可哀想ですよ、死者に対して」