『廊下』
薄暗く、色褪せた廊下。一切の破損はない。
絨毯は水にぬれ、だいなし。
中庭に面した壁は割れない窓になっている。
雨と地味な噴水と、緑のない殺風景な中庭が見える。
『記録[
「う〜〜さむ〜〜!!」
ズルズルと毛布を携えて個室から出てくる。
「全然やまないなー、雨」
「ダム潤いまくりうどん茹でまくりできるじゃんね笑」
食堂で、交換?
そういえばみんな資源を出し入れしていたけれど・・・
「・・・行ってみます」
会釈して助言に従うことにした。
小さな足音が遠ざかっていくだろう。
食堂で交換できることは知ってるけど、わざわざ行くほどかと言われると……
資源も有限だしね。
もう少しだけ我慢しよう、我慢……
「……食堂で、交換してきたら…?」
返る腹の虫に、そんなことをぽつり。
自分の事はお気になさらず……
(あ、おなかの音)
静かな廊下に響く音が聞こえた。
袋の金貨(資源)が食料に変化するのはまだ先だろう。
しとしとと雨が降っている。
相変わらず座り込んだ状態でいるのは、廊下に引かれた絨毯が柔らかいから。
この空間に暖房は多分ないけれど、じっとしていると暖かくなる気がする。
恐らく、話したことのない顔がいる。
これは一人だと、あまり口を開かないので……
廊下の壁にもたれて、ちらとそちらを見て……それだけ。
昨日の食糧の残りを食べながら思考にふけっている。
やがてそれは記憶と習慣と幻になり溶けていった。
ここでも結局やることは変わらない。
心の中では、染みついた目線や声が簡単によみがえるから。
暫くして、ほんの少し頭を冷やした後で個室の方に戻っていく。
もしかしたら入れ違いになるかもしれないけど、ここでぼーっとしてるのは何となく今は避けたい。
「………どうしよ…。」
バンケットから廊下に戻り、窓によって中庭の方を見つめる。
時間の感覚が薄いが…人の活動の気配の薄さからも夜か深夜くらいだろうか。
止む気配の無い雨音が心地良い、煮詰まった思考が洗い流される感覚を覚える。
でも言ってしまった言葉はきっと消えない、だから向き合わないといけない時が来る。
それもきっと遠くない内に。
人々が寝静まった頃、廊下へ出てきた。
立ち止まって、窓の外を見て。
ちっとも変わらぬ雨模様。少し眺めて、またどこかへ歩き出した。
今日、ここでないどこかで起きた出来事を、少女はなんにも知らないから。
徐々に状況の悪化していく、たったホテル一つ分の世界から、まるで切り離されたみたいにいるのでした。
>>8292
「そうしようかな。さすがに、早死にしたいわけじゃあないし」
気をつけまぁすと利口な返事。
「こがらしからし」
「いいでしょ、夜空。でも、あなたみたいな名前も好きだな」
ヨンコちゃんといい、古風?な名前が好きなのかもしれない、この少女。
またねって片手振って、どこかの個室にでも入っていくんだろな。
あんな話をした後だってのに、ちょっと休むだけだから、なんて、鍵の一つもかけない程度の警戒心。扉は閉めるんだろうけど。
>>8275
「ちゃんと落ち着いて休める個室探しとけよォ~」
「進んで死ぬ気がないならネ」
室内に開いてる傘だけぽつんと、も大概目立つもんではあるから。
だからこういうおじさんに絡まれたりするワケ。気をつけろよォ、と提言。
「ま、壊されないのが一番だけど、もしものときはな」
「夜空ね、ロマンチックな名前だなァ。俺ァ木枯 芥子(こがらし からし)」
「じゃあな、夜空の嬢ちゃん。また」
再会の約束。ここじゃ叶うかわかんないけど
>>8237
「ちょっと休もうと思ったんだけど。確かに、人目に付かないところの方がよかったね」
「しゃがんでると傘に見えるの、気付かせてくれてありがとう」
ただの傘なら、わざわざ壊そうとする人もいないだろうけど。
欲しがる人ぐらいは、いるかもしれないしな。ゆっくりは休めなさそう。
「それは助かるな。内側からしか弄れないと、綺麗には直せなさそうだし」
「名前はないよ、雨傘少女。ここでは、夜空って呼ばれてるかな」
「あなたは?」
>>8206
全然シャワーの意味ないな……
ちょっとずついろんなものの選択肢がなくなってる。
それを大して不便とも思わないような生き方をこいつはしている。
「自衛手段乏しいやつがこんなとこで露店を開くなよ」
「まぁ~……バキベキってほどでもなくて、お前が死んでなかったら」
「直す手伝い位はしてやるからなァ。喋ったやつが死んでたら寝覚め悪ィからなァ~」
「……そろそろ俺もどっかいくかな」
「お前の名前はなんだっけ?」
>>8098 >>8102
まさに昨日、傘から出られなくて、シャワーを傘越しに浴びたのだった。
普通の人間ならできることが、ちょっぴり、できない。
それで済むならもう充分、
「よかった、まともで。離せないし出られない分、自衛手段に乏しくて」
「壊れたら、そのときにでも考えるよ」
「傘と一緒に死んじゃうかもわからないんだし」
余計なお世話、お節介。
雨傘手放せない少女にできる警戒なんて、人よりだいぶ限られていた。
「ゆっくり ゆっくりでいいれすかりゃねえ…」
連れて行ってと言われてかくかく頷いた。
あなたの歩みに合わせて、食堂には向かうのだろう。
気をつけて〜、とされればペコペコしていた。
またお話ししましょうね〜。