『廊下』
薄暗く、色褪せた廊下。一切の破損はない。
絨毯は水にぬれ、だいなし。
中庭に面した壁は割れない窓になっている。
雨と地味な噴水と、緑のない殺風景な中庭が見える。
『記録[
やりとりにふふふと笑みを溢している。
途中天使が転んだのには、大丈夫かなぁとか、そういう慣用句ありそうだなぁとか、そんなことを考えていた。
「藍くんって、ちゃんと男子だよね」
周りの男もこんな感じだったなあ。
自分が枯れてるだけなんだろうか……いや、彼シャツに惹かれないわけじゃないけど。もちろん。
「バンケット゛って゛どこれす゛かぁ゛〜…!」
迷子になったので廊下に戻ってきた。ずてん。(ついでに転ぶ)
ぱたん……(個室に戻る音)
藍さんと玲依さんとヨンコさんはもう自己紹介もしてるけど、今日はもう一人傘を持った人も居るようなので、片手の挨拶に対してこちらも会釈を返す。
この3人と話をしてる所を見ると警戒する必要は多分なさそうと判断。
服、断られちゃった。元より、強請ったつもりもないけれど。
「そういうところ、気にするんだね。私は着替えたいとは思わないから、大丈夫だよ」
どうぞどうぞ、と男の子に譲った。
「飢えた獣になる前には、
なんとか食料の目途が立つとといいね……」
「この状況が怪談話みたいでもあるし、
そこの登場人物として、私はぴったりなのかも」
「……いつもの洗いたての服ならまだしも、こんな所でこれから汚れて洗えもしない服を女の子に貸せませんよ」
視線にとりあえず首を振った。
確かに、藍くんは大きいもんなあという視線を向けた。
逆なら着れないことはなさそうだけど。
「死人、死体なんかを連想させるのも分かるけど。やっぱり、可愛いと思うな」
「なんだか、怪談話にでも出てきそう」
四季が好きなわけではないんだ。連想ゲームが得意なんだな。なんて思いつつ。
と、思ったら獣になりそうな男子が居たのでちょっと退いた。
まぁ…藍さんは昼間の事もあるからそうだろうなぁと思ってた所も少しあったけど…。
「いやあ……どうだろう……」
「モテても、困るしな……」
今までの人生でもモテたことはなかったし……
こんな話、することもなかったからな……
個室が空っぽだったので自分もふらりと廊下に出る。
知り合った人達の顔が見えて安堵するが、どうやら話中らしい。
今日はデカい猫も少し辛辣な口の人も居なさそうで違う意味でもホっと胸を撫で下ろす。
「俺は飯が無かったら獣になってしまうかもしれません」
クッキー食べてもまだまだ、ぐう……。
「四季って言われるとなんかこう、他の……が浮かんじゃうんですよね」
かと言って四子もう、………が毎回過ぎるとか。
男の子なので。
「追剥ぎ……?」
突拍子もない言葉には、失礼な返しも出た。
人の服を剝いでまで暖は取りたくないし、身を守りたくはないな……
「四季は好きでも嫌いでもないよ……気にしたこともなかった」
「ただ、人が…日本の美しい部分に、よく挙げるから……いいものではあるのかなって」
「お行儀が関係なくなったときは、
人間の一員ではあれるよう、獣にならないようにしないと」
なんて。化け物も獣も似たようなものだろう。
「音の響きが可愛い、ってところに共感してくれる人とようやく会えた気がする」
「縁起はさておいて、そういうとこ、自分でも気に入ってます」