『バンケット』
大宴会場。電気はないが明るい。
円形のテーブルが多くあるが椅子はない。立ち席。
奥には大きな舞台がある。
幕は朽ちて落ち、雨の舞台が公演されている
『記録[
「……」
数度、その場でじたばたと身をよじった。芋虫か、羽を捥がれた虫みたいに。
「アンがいないと歩く事すらままならないの」
以前まではよたよたと歩くくらいはできていたけれど、今は怪我をしている。
「おお……本音を当てられちゃったな。そうさ、寂しいね……。
オレはアイツとの時間を愉しんでたし、愉しみにしてたんだ……。
な~のにいなくなっちゃったってワケ。おお、悪魔は寂しいよ~……」
「そうさ悪魔さ!わかってくれてるね!」
「まあ、行こうと思って行ける所にはいないだろうが。
行こうとすることは出来るんじゃないか。同じ位置で、足踏みしてみるとか……
そんなふうに思ってのオレの、心からの応援さ……」
>>14405
「ありがとう……胸に刻むわ。
今はひとりぼっちだけど、アンが戻ってくるまで生きなくちゃ」
ストレスは寿命を縮めることになる。無理なことだとしても、なるべく平静に。
「位置は観測不能、状態判別は範囲外!
天使は一体どんな場所で孤独に過ごしちまってるんだろう!
きっとまたぴーぴー泣いてるんだろうなあ、可哀想に!」
「追いかけてやらないのか?」
悪魔の囁きというのは、無視するのが正解の言葉で構成されている。
聞かないでいいし、聞かないのが正しい。
>>14395
話し終わるまで、黙って貴方のことを見ている。
「また苦しくなったら深呼吸をするのだぞ。そして……いや、何でもない。」
落ちないように、迂闊に動くな。と言いたかったが、あなたは彼女に会いたいのだろう。これは逆効果だ、と思い言わなかった。
>>14371
「じゃあ、逃げ出すのはダメね。
不安で押しつぶされそうなのは、アンも同じ。
だったら、あたしは、しっかりと待っていなくちゃ」
顔の筋肉を震えさせながら、笑みを作った。
>>14276
「すり抜けた…。
今までそんな事は無かった、筈」
急に起き始めたのか?
思考しようとすればザザッとノイズが耳に入る。
放送の言う不具合もノイズも酷くなっていることに気づく。
「不具合が原因なのか…?
でもこれは資源に関することだろ…」
ぶつぶつ言い始めた。
これが突然起きる現象なんだとしたら。
何処にいても、ヤバいんじゃないか?
>>14332
「……落ち着いて来たか?」
優しく心配そうに声をかけた。片割れが何の前触れも無く消えたのは、非常に悲しいであろう。
羽を見る。一体何故彼女が消えたのか、疑問が脳を支配するが口に出さないように努力する。
ロビーから途中で食堂に寄ったので戻るのが遅れてしまったが、
バンケットの中の雰囲気からも消えた人物は戻ってなさそうで、傘の柄を無意識に強く握る。
ロビーのモニターの結果の方は…多分伝わってそうなので今は静かにしておこうと考える。
>>14324
「ええ……」
繰り返す。次第に声が、視界が、はっきりとする。
肌の感覚だけは今もはっきりとしない。
あの羽のぬくもりが消えたことを、心が受け付けていないから。
「人間クンの面倒を一度見たなら、最後まで見てやらないと可愛そうだろ~、天使~~~!!
愛護動物の遺棄は犯罪だぞ~~~~ ……… ……」
床に向けて喋り、床に向けて耳をそばだてる。
「ン~……トーゼン返事無し。」
>>14303
落ち着いてきたようで安心する。
「……あとは数回繰り返すのだ。」
取り敢えず、自分に出来るのは此処までだ。
また爪で床を引っ掻かないように両手を優しく、握っている。
離せと言われれば、素直に応じるだろう。
「……ダメだ、証拠が全くない」
「僕、他のところも見てきます。どこかに手がかりがあるかもしれないので……」
そう言って、混乱の場を後にする。
「……やはり、これが落下ですか」
なんとなく、察していたように。
「……」
「戻ってくると、いいんですが。」
思ってもいないこと。思い浮かんだ最悪を、口に出すのを押しとどめる。
>>14281
「…………」
小さな胸が伸縮する。
こんなところで死にたくない。
こんなことになって初めて生きていたいと思った。
全てを受け入れていたつもりだったのにね。
「……ええ」
相変わらず焦燥して、視点は定まっていないけど。
返事だけはかけらほど、理性のあるものに。
「……ここで普通に過ごしていた天使の子が、いきなり、何の前触れもなく“落ちた”わ」
「…………どうなっていることやら」
新しく来た人たちに、ざっと説明。
「見に来るだけ、見に来ましたが……」
取り乱している人がいる以上、不用意なことはしない方がいいだろう。そう判断した。
前来た時と、そう変わらないバンケットを眺める。