『バンケット』
大宴会場。電気はないが明るい。
円形のテーブルが多くあるが椅子はない。立ち席。
奥には大きな舞台がある。
幕は朽ちて落ち、雨の舞台が公演されている
『記録[
「………………ッ」
光が戻った時。
そこには、脇腹を押さえている少女がいた。
そこから明らかに滲む赤。
ほんものの、ほんものの。
「…………は、は」
その口から笑い声が漏れる。
「…………知ってたわ、よ」
「あたし、は、」
「…………いまはあのひと、いないのね」
よく気に掛けてくれる、
優しい王さまを探していた。
無事だと良い。
これからも、ずっと。
「おはよう」
見慣れてきた顔に挨拶。
「…………穏やかであったら良いのだけれど」
「……今日はどうなることやら、ね」
「2度も襲撃を受けたとなれば」
「警戒するだけよ」
幕の布の下で、ナイフを取り出しておく。
誰か向かってきたら、返す刃で迎撃しよう。
「……今日も停電するのだろうか。」
不安を抱きながら呟く。
「おれもそろそろ狙われるだろう。」
そう言いながら何処かへ向かった。
「ア゛ーッ取れねえ!!!!」
数十分のガタガタの末、苛立ちを床にぶつけつつテーブル窃盗を諦めて出ていった。お騒がせしました…
「お邪魔しまあ〜す」
カツカツと蹄を床に打ち付けて入室。寝てるらしい人々には一瞥のみを送った。
目的は…というと、個室にテーブルを持ち帰ろうとしているらしい。窃盗? おそらく持ち出せないように固定されていたりサイズがそもそも個室ドアを入らなかったりで失敗に終わる予定であるが、しばらくガタガタとテーブルの1つと格闘しているかも。
「…………。」
まだ眠っている様子の友人を見ると、無言で近くの壁に座り込む。
「フーー……ゲホッ…」
サングラスを外し、眉間を指で揉む。個室で眠りに行ったはずの男だが、昨日より目の下のクマが濃くなっているだろうか。
「………………寝る」
そう言うと、目を閉じ丸くなった。
熟睡し動かないとまではいかないが、しばらく数時間はまともに起き出すことはないだろう。
今日も今日とて部屋の隅の床に座り込む……というより、崩れるようにドサッと。背中を壁に預けながら。
目の下に刻まれた隈は、普段より濃い。
明日は自分が襲われるかもしれないけど、奪われそうな物は空っぽにしてあるから、
襲われても精々怪我をするくらいだ。
同時に、もう他の人の手当ては出来ないから無事を祈る事しか出来ないけど、そこはもうしょうがない。
確認したかった事を終えれば、また静かにバンケットを後にする。
ブランシュは…ずっと一緒に居たから安否の確認は必要ない。
ヨンコさんは…見てないから分からないけど多分大丈夫だろう。
不安だったのは一度襲われてた藍さんだけど、今日は怪我が増えて無さそうな様子に見える、良かった。
玲依さんは……遠目だけど心成しか少し雰囲気が変わったかな…くらい。
他人を観察するのは得意だから、憶測交じりだけどそんな感想を浮かべた。
訳あって個室から出れなかったが、心成しか人の気配が薄い時間にバンケットを訪れる。
廊下や他の場所に知り合いが居なさそうだったから、後はここか個室くらいだと思ったけど…案の定知ってる二人の姿に安堵する。
「資源……」
「もうちょっと、手にはいるようになるといいんだけどな」
ご飯も安定しないしさ、このままだと。
ゴロゴロしているのを、座り込んだまま眺めています。
「明日は藍くんもおれも怪我しないといいな……」