『バンケット』
大宴会場。電気はないが明るい。
円形のテーブルが多くあるが椅子はない。立ち席。
奥には大きな舞台がある。
幕は朽ちて落ち、雨の舞台が公演されている
『記録[
どこかで「ガタン」という音がした
「ねぇ……マクベス」
「あたし……貴方に救われた」
「貴方のお陰で……生きていたいと思うように……なったの」
「『家族も同然』って会話聞いて……嬉しくて……
あたし…………あたし…………ッ!」
生きたかった、なぁ。
貴方と一緒にここを出てさ、
貴方の国の民になってさ。
そんな夢を、抱いていたの。
「ゲホッ、ゴホッ!……ぉ、え゛っ、……」
胸を押さえ強く咳き込む。口元にやった手の、指の間から血が零れ出る。びしゃり、と床が赤くなる。
「…………畜、生……ゴホッ…」
死神の跫音がきこえる。すぐそこできこえる。
それが救いに思える事なんて、今までなかったことだ。
「あたし……きっともう……死ぬ…………わ」
悲しげな笑みを浮かべていた。
「次に……暗転があったら……その時は……きっと」
胸の奥が痛い。
苦しい。黄昏の足音。
「でも……マクベス」
「貴方は…………生きて」
あたしが死んでも。
絶望の底でも。
貴方だけは。
──これは、呪いだ。
落ちるか、飢え死にするか、殺されるか。三択。その三択が苦しい。
「………。」
絶望が表情に出ないように、より深くフードを被る。
『生産プロセスに異常があります。しばらくお待ちください。』
かえれないんだ。
希望を抱いた矢先に、
夢を見た瞬間に、突き付けられるそれ。
「………………」
でも、もう良いよ。
刹那でも、“人間”になれたなら。
「げほっ…………ごほっ……」
繰り返し咳き込むその手には、
真紅が咲いていた。
「……………………あ。」
絶望、まさか行き着く先がこれだとは。
まだ、まだ最愛の人を見つけていないのに。なのに近くに感じる。気配がどんどん強くなる。
帰りたい、帰りたい、帰りたい帰りたい帰りたい死にたくない死にたくない死にたくない!!!!!
落ち着け、落ち着け落ち着け大丈夫だなんとかなる嘘だ
「………かえれないのか。」
諦め。
同じ放送が繰り返され始めた……
『次の[快晴]は計測不能です。』
耳障りな高音が、不明などこかで大きく鳴った
『空間に異常があります』
『雨が降っています』
『次の[快晴]は計測不能です。』
『空間に異常があります。』
『不具合が計測不能件あります。』
『緊急プロトコルを起動できません。』
『外部通信ができません。アクセスポイントが存在しません』
『空間に異常があります』
『生産プロセスに異常を検知』
『こちらは自動放送です。DREAMより皆様へ』
『――――――音声ログ[約一年前の日付]、<b>144:00:00の再生を終了します』</b>
『次の[快晴]の計算ができません』
『エラー、不具合が■件』
『エラー、エラー、エラー、エラー、』
[徐々に音がミュートされていく]
[二回目の液体音]
[硬い機械が地面に落下する音]
[駆ける足音]
[ごぽごぽという音]
[多くの液体がばしゃりと地面に落ちる音]
『嫌だ、いやだだしてだしてだしてだしてだ』