『バンケット』
大宴会場。電気はないが明るい。
円形のテーブルが多くあるが椅子はない。立ち席。
奥には大きな舞台がある。
幕は朽ちて落ち、雨の舞台が公演されている
『記録[
「王様ぁ、ロィナちゃん、あとなんかここで眠ってる色んな人ぉ、お願いがあるんだけどいい?」
「アタシが死んだらこの紙と帽子を個室においてほしいな」
「鍵は『水の音』で開くから」
へにゃへにゃと力なく笑う。
「…………ねぇ、マクベス」
「…………この先で、もしもあたしの身に何かあったら」
「その時は……あたしの部屋の机を……見て」
「そう簡単に、死んでやるつもりはないけど」
“もしも”は起こり得る。
そこに、“あるもの”を遺したんだ。
「………………」
己の体力を考える。
黄昏の足音が近付いている。
「行きたいとこ…………だけど」
「疲れていて……動けそうにない、の」
「だから……あたしはここにいる、わ」
戻ってきた。
腰のリボンのひとつがない。
赤いものが滲む右手の指先を、
そっと押さえていた。
「……………………」
この先のことを考える、最愛の人のことを考える、ここで仲良くなった者のことを考える、死後のことを考える。
考えて考えて、思案に集中していった。
疲れて眠っていたようだ。
ゆる、と瞼を開ける。
「………………」
胸の奥が苦しい。
弱っている、を自覚する。
この命の残り時間は、あとどのくらい。
「しにたく……ない…………よ…………」
「……そうでございますか」
ふむ、と考えた後。
暫く言葉が無いのであれば、
改めて立って。
「では、後で話すことがございましたら
私の部屋にでもお越しくださいませ」
「私は一度失礼いたしますね」
そういって、その場を後にしよう。
ヒールの音は、わざと鳴らしながら。
「ええ、もちろんですとも!
伝言、ありがとうございます」
「……さて、さて」
「他に私に言いたい者はございますか?
今なら祝福を受ける前の遺言も、
恨みつらみもお聞きしましょう!」
煽る。
負の言葉を、全て己に向ける為に。
「……おや、おや」
「早めに申しておれば、救って差し上げましたのに」
ああ。
もう遅いだろうな。
何せ、次には力尽きているのだろうから。
「……ええ!ええ!」
「もちろんですとも!」
「救いを求めるのであれば救いましょう!
それが、私の役目でございますから!」
呵う。
最後まで、神父らしくあろうと。
「む。神父殿か。」
噂をすればなんとやら。昨日の出来事がなかったかのように話しかける。
「モニター?の13番の修道士が死を望んでいるの言っていた。
おまえの手で救ってやれ。」
「皆様、おはようございます」
ツカ、ツカ。
どこからか、歩いてきて。
壁を背に寄りかかる。
健康であると偽る為に。
「皆様、あれから調子はどうでございましょうか」
「救われる為のお祈りはなされましたか?」
「何だったのだ、あの修道士は。」
神父と言い、宗教に励んでいる者精神おかしくなってしまった人しかいないのか?と思ったり。
「皆も気をつけるのだぞ。」
昼過ぎには目を覚まし、先程繰り広げられた会話を黙って聴いていた。
ロィナは人殺しか。あの「天使様」とやらが関係しているんだろうな。
アタシは人殺しですらない。軽い気持ちで命を弄んだ愚か者だ。