『中庭』
雨の降る中庭。
石造りの噴水と、石のレンガによる舗装がなされた中庭。
緑はなく、殺風景。手前の方だけ庇がある。
空は一段と暗く、雨も降り続け止む気配は無い。
扉があいている
『記録[
[ごぽごぽという音]
[多くの液体がばしゃりと地面に落ちる音]
『嫌だ、いやだだしてだしてだしてだしてだ』
[重い扉が開く音]
[雨の音が大きくなる]
『あ、おい、待て!!』
[狂乱する声と走る音]
『嫌だ、嫌だ、いや、嫌だぁ!!!!』
『じ、じゃあ、僕ら……』
『僕らもうこの場所で餓死するかしかないんですか?!』
『再計算終了』
『外も、上も消えた』
『残ってるのは、この一階だけだ』
『それに、この空間は一年くらいの周期で――――――』
『……いや、関係ないな。これも、もう。』
『言ったろ、資源もなにも無から湧いて出てるわけじゃないって』
『この空間はすべてを空間内で完結している』
『だから……いや、細かいことはもういい』
『要するに、足りないんだ』
『せ、せめて、せめて生き残り続ければ』
『『資源』がないだろ』
『どうして!どうして『資源』が供給されないんですか!?』
(少し遠い位置から録音した音声のような音質。)
『……資源もない、システムもエラー』
『通信機もつながらない』
『どうして……』
『どうしても何も、俺達にはどうしようもない』
『生存者も俺達二人だけだ』
『再計算中です』
ザザッ ザザザザザザザザザ
ザザ、ザ……ザザ、ザ
『次の[快晴]は再計算中……』
ザザ、ザ……ザザ、ザ
『こちらは自動放送です』
ざざっ。
ザザザザザザザザザ
ザザ、ザ……ザザ、ザ
足元のはるか遠くで、耳障りな何かが割れるような高音が鳴った気がする
(中庭から見える天気が少し変わった……)
また放送が流れ始めた……
『空間安定値に異常を検知』
『『命綱』プロトコルを直ちに適用してください』
『「落下」の可能性があります。担当者は速やかに実行してください』
『資源生産用原料不足による不具合12件により、緊急プロトコルが実行できません』
『担当者は速やかに確認してください』
『死者を検知。緊急プロトコルが実行できませんでした。』
『バイタルサインに異常を検知。緊急プロトコルを起動します……』
ザザ、ザ……
ザザザザ……
『死者を確認、資源の追加生産を行います』
『……』
『資源供給システムに追加の不具合を確認しました』
『資源供給システムに五十件の不具合を感知。担当者は速やかに確認してください』
『資源倉庫への追加資源を配置しました』
『資源供給システムの不具合を確認してください』
『こちらは自動放送です。』
ザザ、ザ……
『……おい、何かがおかしくないか?』
『計測中』
『はい……』
『……管理人室、というか』
『二階以上が、まるまるなくなっている』
ザザ、ザ……
『予報更新』
『次の[快晴]は推定約三十時間後です』
『不具合が三十三件あります』
『不具合により規定数生産できませんでした』
『そのため、生産プロセスを再調整しました』
『追加資源を投入しました。』
『このプロトコルは8分後、■■時30分に行われます』