『ロビー』
色褪せたようなあまり広くないロビー。
無人の受付カウンターとモニター、いくらかのソファがある。
開いた大扉の向こうは、中庭が見える。
『記録[
「皆さん、頑張って……ください」
猫は非力なことを痛感しました。
なので、出来ることと言ったらほんの少しの応援だけでした。
猫は、しっぽを揺らすこともなく、ソファの上にいました。
「あ、レジち、助かったぜ…後でも一枚借りる、シャワーもしたいし」
と言って、運ぶ為に霊安室の方に行くか
「休む奴らは…あんま、気を落とすなよ?落ち込みすぎるとやりずれーから」
とも言い残して
「あ、」「人手がある方が助かるなら、」
「俺も行きます。……そこまで手伝えないかもしれないけど」
来たメイドの人にはぺこ、と一礼。【霊安室】についていくのだろう。
「しつれいしまーす、と」
カツ、コツ。肩の辺りを赤に濡らしたメイドがひとり。
ヒールの音を立てては訪れる。
その眼差しは、掛けられたモニターを一瞥し。
「……合計4つ、と」
「聞いてるカモだけど、死体は【霊安室】へ運送しまーす」
ひと目見たら分かるはずだよ、とは誰とも言わず口に出し。
既に運ぶ動きにあるならば、その助力に回ってくんだろうな。
「じゃあ、行こうか。とりあえず。えーっと、羽の生えたあなた、どこに有るか教えてくれる?」
そのまま、きたテーブルクロスで遺体を包んで。、誰もいないなら担ぎ上げていくのかも。誰かいるなら、下半身なんかを持つかな。
「……知ってます」「腐敗液が辺りに広まると、大変なことになる」
「ここから出たり襲われたりする前に、病気で苦しむことになります」
懸念点は他にあるが。周りの人が良いなら良いだろう。首を縦に振っていた。
「資源」「……そうですね、青髪の方の言う通りだと思います」
「誰かを襲うなら、それはきっと資源狙いですから」
「あ、死にたてはまだきれいですよご心配なく〜」
「明後日あたりが怪しいですね……」
特にどなたかわからない方も黒いコートをかけて。
手伝ってくれる方がいたら上半身、一人でならば両腕で抱えましょう。
これだけいればさっさと二人の体なんて運べるのです。
「皆様の御心遣い感謝します。
あ、気になるのでしたら血を見ても触らないことですよ〜。シャワーで洗ってくださいね〜」
「帰るべき…じゃねぇ、眠る場所は一緒であれ、的な」
「引き摺るのはそれこそ衛生面……精神の方のもキツイし運ぶ人が多いのに損はねえよ」
「まあ、正直生活必需品がない今、衛生なんかはあってないようなものですからねぇ…。」
とりあえず、運び出すのであれば手伝おう。死体を運ぶのは、慣れている。
「衛生面です」
「遺体は綺麗にしないと汚くなるんです」
「生きている方に害をなします」
「面白くも嫌な話でしょう」
「綺麗にしてくれるのなんて土の中だけですよ」
「何だっていい〜〜ぜ。
もしかしたら蘇生もあり得るしなァ」
あくび一つ。
「人手が足りなさそうなら手伝ってやらんこともねえ。
まあ今んとこ大丈夫そうだな」
「現に2人、運び出せてるので大丈夫なんじゃないですかね。後のことは知りませんけど。」
真っ直ぐ言ってしまう。
どうせ隠していてもいつかバレるじゃない。
「こんなところに置いておく方が可哀想じゃないですか?戻って来たらその時はその時なんだから」
「マジかよ…」
一番動揺しそうな子が酷く冷静だ。ちょっと呆気にとられつつ
「……なるほど、霊安室あんのか……なら、そこに運ぶか…」
やけにあっさりとした反応を返す人を、ただぼんやりと見ていた。
何もいうことは無かった。すぐに目を逸らして肩翼の男を見る。
「衛生面、ですか」「……」
ちら、と辺りを見ている。自分では良し悪しの判断が出来ないな。
「あら霊安室代わりの場所をご存知の方もいらっしゃいました?」
「そうですねえ、これから先は衛生面が気になりますから……」
「ひとまず個室に固めてみるのも問題ないでしょう」
「扉前の異臭は防げないでしょうが」
「あぁ〜」
探偵さん、言っちゃったな…。まいっか…。
「…運び出せんのか?この摩訶不思議空間の中で。」
運び出しても、戻ってきてしまうのではないかなんてものが脳裏にチラつく。
正直、どちらがいいかなんてわからない。