『ロビー』
色褪せたようなあまり広くないロビー。
無人の受付カウンターとモニター、いくらかのソファがある。
開いた大扉の向こうは、中庭が見える。
『記録[
ソファでぼんやりしていた。
どうやらタオルの類は無いらしい。
そういえば寝具もなかったなぁと思った。
ここは人が暮らすには必要なものが足りていない気がした。
「高級な旅館みたいな見た目なのに」
ぽつり
「ふぅ……おおよそ乾いたかな」
水分を含み切った白衣を軽く絞った後、シワにならないようバサバサと何回も振るう。
手頃な場所はないかと見まわし、カウンターのあたりに広げて掛けるだろう。
「白衣、助かったよ」
「着の身着のままだったもので、一張羅のワンピースと圏外のスマホしか持ってなかったんだ」
可哀想だな………って顔している。でも何せここ、出入り口だからさ………たぶん何にもないワケ………
「よくよく部屋とかのプレートとかさ……確認しながら行けば見つかるんじゃないかね………」
「……吸われるのはちょっと、勘弁です」
さすがに、なんか
人間の尊厳を踏みにじる気分なのです。猫にとっては
まぁ、そんなこんなでしばらく人を見やっていましたが
次第にウトウトとし、お昼寝するのでしょうか。
※PL離脱
※優しくなら撫でフリー
「えェ〜っ!?マジかよォ……ここまで歩いたのに……」
「反対……………………いく………………かァ〜……………」
またあの長い廊下を歩くのか……
「ほほう?良いのかい、そんなに自分を安売りして」
「あまり心を許すと君の頭皮まで吸いかねないぞ、僕は」
「今際の際には猫吸いをすると昔から決めているからね」
不安げに揺れるしっぽを目で追いながら、おどけて見せる。
半分は本気なのだけれども。
「フフ、色々と気にかけられてくれて嬉しい限りだね」
「あ、あぁ、まあ一応これでも……しがない医師だったからな………。病院とかの匂いは、ついてるな………。落ち着くならまあ、よかったよ」
なにかにハラハラしていたが、あなたの感想を聞いて胸を撫で下ろしていた。
プールから飯を求めて食堂を探し……
「……あれ?ここ最初のとこかァ〜」
「食堂ってどっちにあるんだ?俺方向音痴なんだよなァ〜……」
「フフ、ひとの衣服で髪を拭うなんて初めてだな」
「ちょっとした背徳感を覚えるよ」
ぱさ、と白衣を頭に被せて丁寧に髪を絞る。
忌避していた体臭はすっかり抜け落ちて、白衣からわずかに漂う薬品臭が鼻をくすぐる。
「……保健室を思い出すね、この匂いは」
「ああっと、別に臭いわけでは無いよ」
「むしろ何というか……安心するんだ」
「タオルがないのは……致命的なんだが………さっきプールにいた少年から耳よりな事を聞いてね………」
「着ていなくても問題ない服やら、布を濡らして体を拭いて、また洗って干しておけばいいと………頭以外はこの方法………使えると思わんかね………?」
いいこと聞いたから………と言わんばかりの顔。果たしてこれがいいことなのかは………人にもよりけり。
「……猫で良ければ、さっきみたいに撫でていいですから」
これは反省の気持ちです。
その辺で丸くなっているものの、しっぽは心配そうに横に揺れています。
「使って使って………。湿っててごめんだけど……終わったら適当に干しとくし…。」
お気になさらず、と言った感じで渡しに行って。。乾くまではたぶんカウンターとかどっかに干しておくんだろう。
「たばこ……ああ。
火だけは、どうにかあるんですねぇ」
さて目的は果たした
軽く会釈だけ残して、踵を返す。
「では。みなさんはごゆっくり」
そう言って、ロビーを離れていくでしょう。
「お気遣いなく……と、言えたらまだ少し格好はついたんだろうけど」
「せっかくだしお借りしようかな、迷惑をかけるね綾川さん」
「虹色のキミも後で温めさせて……もとい、モフらせてもらうとしようかな?」
「……遅かれ早かれこうはなっていたさ」
「タオルの類いが無かったのは流石に堪えたけどね」
柔らかく笑って見せる。
が、しかし。寒さに耐えられなかったようで、ブルッと大きな身震いをひとつ。
「流石に毎日は入れないなぁ……ハハ」
「ただいま………」
ふらり………。さっきと同じソファに座り。たぶんソファはまだいくつかあるでしょう。
そして先について居たらしい彼女に目をやる。
この白衣………どうせ干すし………頭拭くのに使う………?みたいな目線を送ってみたりしています。
「……なんか、申し訳……ないですね」
軽く揶揄ったはずなのに
こうにも寒そうにしていると、さすがの猫でも心配になってしまいました。
アルカンシエル は 娯楽品 を得た。