『ロビー』
色褪せたようなあまり広くないロビー。
無人の受付カウンターとモニター、いくらかのソファがある。
開いた大扉の向こうは、中庭が見える。
『記録[
「はよございまー……」「あふ」
あくびをしながら歩いてくる。
そのままソファーに吸い寄せられるように座り……
「ん"」
眉を顰めながらぼすん、と横になる。
ソファーが一つ独占された。
居た。
誰かが起きてきたのなら、もう何事もなかったかのようになるのだろう。
なので合羽も何事もなかったかのように振る舞っている。何も変わらない。
この建物には掃除用具らしきものは見当たらなかったなぁと結論づけた。
そして、汚れらしい汚れも見当たらなかったと思う。
今まで人がいた痕跡もなく、ずっと前からこの状態だった印象を受けた。
不思議な空間だと感じた。
目を覚ました。物音には気づかなかったようで、
辺りを見回した。
改めて見ると、見た目も様々なひとたちがいることに気づく。
ソファに座りなおし、昨日自分が起きていたときのことを思いめぐらす。
「今朝はあんまり人居なさげっすかね笑」
みんな個室とか別の場所に籠ってんのかなあ。なんて思いながら。
置物のようなシスターちゃ……くん……ちゃん……どっちだべ。をチラ見しつつ。
>>2502
結局、締め付けるには至らなかったかもな。
加害する構図にも見えたかもしれないし、何かこの合羽が粗相をしたとみられるかもしれない。
いずれにしろ、誰かが起きるまでそのままかもな……。
>>2501
「(苛立った唸り声)」
化け物は図星を付かれたみたいな挙動で締め上げを徐々に強めている…が、損傷を負わせるレベルには達しないのだろうな。膂力のナーフか手加減かの判別は付きづらいかも。
……これだけ騒げばそろそろ人も起き出してくるだろうか。であれば、あからさまにこちらが加害している構図を見られたと察したところで拘束を解いて足早に去っていくのだろう。騒がしくしてごめん!(背後離脱します)
>>2499
人の機微に敏くない、ただどちらにしたって何も動じることはないだろう。避けることはないけど嫌がりもしない。
だからあなたにとっては非常につまらないかもな。
「…………ヘン。」
「あれか、バケモノは怒るのが好きなんだな。」
しかも続けざまに心無い言葉を浴びせてきてもう。
>>2498 カッパ
「人がさあ? 嫌がるって?分かってることを? わざわざ、言ってくるヤツに、キレるのが?
そんなに変かあ??」
貴方が抵抗しないなら、言葉の切れ目毎に床に叩きつけられていたこれの尾は、貴方の胴なりをぐるりと巻き取ろうと伸びてくるのだろう。避けるのはそんなに難しくはないし、逃げなかったとしても捕縛以上のことはしてこないだろう。今のところ。
……人の感情の機微に鋭ければ、わざとオーバーに怒っている事が察せられるかも。
>>2497
「バケモノ。」
今度こそ大きい声で言った。あまり人を起こす声量でもないけど。でもあなたにはきっと届くだろう。
怯んだ様子もなく、フードに隠れた黒を向ける。
「…………さっきと態度が違うな。」
「……………もっかい大きい声でお願いできるかあ?」
おそらくは己に対しての揶揄>>2496 へ、バシ!と弄んでいた尾を喧しく床に打ち付けることで返答としようかな。背後かそこらへ首だけを向けてもやろう。唸り声に近い低音。怒っている、と捉えられる仕草。寝ている人への配慮が無い!
「…………バケモノ」
小さく呟き。
しかし、みんな寝ているのであろうか。
であれば、ゆっくり佇むだけだ。何もしない。誰にも。何も。
「60…」
裸足だろう足音と衣擦れなどは感知した、上で。これは来訪者に気づかないフリをする事にしたらしい。実際に何か直接的な干渉があれば流石に前髪越しに視線を向けるらしいが、それまでは無視になりそう。
起きている人が少ないであろう時間に、角と尾持ちの人外はモニタを凝視していた。
─成程、把握している顔よりも名前がかなり多い。個室に籠もっている者達もいるのだろうな…等と考えつつ尾を手持ち無沙汰に弄り回している。かなりしなやかに曲がるらしい。
「……はて、さて」
「わたくしめも休ませていただくとしましょうか……」
ロビーの端、己に巻かれた紐を引っ掛けないよう縮こまって。
きょろりきょろりと辺りを見回してからほうと軽く息を吐く。
「……ああ、本当に夢のよう」
「起きて何もかも、元に戻っていませんように……」
「これはこれは、逆境にこそ面白いと歩を進めるお方でしたか。なんとも頼もしいものでございます。わたくしめもそのように在れるよう精進しなければ。」
ぱちぱちと、寝ている人もいるためささやかに。
その在り方を称賛するように手を叩く。
「左様でございますか、でしたらどうぞお気をつけて。
望むものがなんでも手に入るような場ではないでしょうが……亞麻露様が望むもの、多少は手に入ることを此処で願っておりますね。」
「粗末な品でも頬紅くらいは欲しいもんだ。ああ、それに目張りも」
「舶来の品には遠く及ばないだろうけど、贅沢言えないのかしら」
「良いねえ、面白いわ。却って気分の肩が持ち上がったよ」
半ば自棄なのか、或いは捩り鉢巻巻いてた頃思い出したか。
中々辛抱強い娘でしょう。中々勝ち気な女なの。
「あたし、お風呂探して来る」
「まさか、無いこた無いだろうから」
冒険とやらに出た後を追うように待合室から去る。
「此処で売られているのは些細な嗜好品やら玩具ばかり……折角皆様がご交友を深めようと動いても、これでは少々盛り上がりに欠ける、というものでしょうか。誠に残念でなりません……。」
「刃物などという使い勝手の悪いものよりせめて書き付けられるものでもあればよろしいのに。……と、そう我儘を言っても仕方がないですかね。」
「行っちゃったし、化粧品も無いし、乳液だって手持ちにない」
「困ったねえ……それに加えて、ここって……」
せめて大浴場くらいないのかしら。
汗ばんだ肌が鬱陶しいものだから。
「教養のない子に物を教えるのは大変だね」
「あたし、塾とかの先生と違うから、そういうのはとんと疎いの」
「出来の悪い子達に手取り足取り教えてあげるのって、興味無い」
どれだけ心を割いて分けて切って配り歩いても、
人心を糸引いて手繰るのは難いのでしょう。
そんなら惜しみない努力とかって、無駄だ。
「いいよぉ、教えたげる」
「だけど、……困ったね」
「こんななら屋敷から拝借するんだった」
手練手管はあれど、肝心肝要の化粧品が見当たらない。
売り物にあるとも思えないし。
「左様でございますか綿積雫様、どうぞ冒険はお気をつけて。
眠る場に困り床に転がる方々もいらっしゃるかもしれません故。」
ゆるく視線で姿を追う形でのお見送り
「さて、僕は一旦お暇させてもらおうかな」
「まだこの施設を一周もしていないからね、軽く見てきたら朝まで仮眠でも取ることにするよ」
「それじゃ、会えたらまた会おう」
「ユウガオさんと亜麻露さん」
「おや、気を悪くさせてしまったかな?」
「悪く思わないでくれよ、船大工の倅さん」
むくれる仕草に可笑しさと愛嬌を覚えたのか、幾分か頬と雰囲気が緩む。
「そこまで見事な手管を持っているのであれば、あとで僕にもご教授願いたいところだ」
「僕も君みたいな可憐な乙女に化けられれば良かったんだけどね」
「親切というものはどうにも尺度が曖昧でございますからね。亞麻露様が心を傾けてらっしゃっても、気付けぬ者はとんと気付けず終わってしまうものでしょう。」
「わかりやすく甘やかな言葉を並べても、人は猜疑心を抱くものでございます。どうにも割合というものが難しくっていけません。」