『プール』
白いタイルと規則正しい大き目の窓で構成されている。
窓は割れ、崩れた天井からプールに雨が降り注いでいる。
雨と地味な噴水と、緑のない殺風景な中庭が見える。
水しか出ないシャワー室も一応ある。
『記録[
「ああ、そういうものではないのか…………。」
ふと振り返って、数秒ほど顔を覗いて。
それからまたふいっと窓に顔を向けた。
「まだ降っているな、雨…………。」
ヤダ……良い子過ぎてヤバい……。
頭痛薬の優しさ成分原液じゃんウケる……。
アタシの心は晴れ模様だぜ……雨に何言われても、負けない!
低気圧のためにも、出るためにも、晴れが待ち遠しいかもしれない。
なんとなく視線の意図が伝わった気がしたので、
両手をぐっと握って頑張ってのジェスチャーもしておきます。
えいえいおー。
おーう、なんか可愛い子からお気遣い頂いた気がするよ。
低気圧やばたにでアタシの頭は頭痛でぴえんぱおんのぎゃおんだけど、なんかちょっと強くなれたわ。
晴れたら最強を見せてやっからな。見てろ見てろ。
そう言えば雨が降っていると頭痛を起こす人もいるのだったか。
この人物は痛みを覚えないし、薬も持っていないけれど。
気遣わしげな視線だけ向けて、小首を傾げた。
頭痛薬だよん。もしくは痛み止めっけ?
なんかハッピーになれるあれとかじゃないぜ流石に。
犯罪だかんな。そんなんなくてもアタシはラッキーハッピーだぜ。
暫しぼんやりとしてから、人の声に顔を上げた。
ぺこりとお辞儀をして、首を横に振る。
眠っていないのは別の理由からだったけれど。
うぃーっす。アタシだよ。ラララちゃんだぜ。
最初の予想のあと六日でもキレそなんだけど、メシよりヤク足りなくなるレベルなんだわもう。
雨だって、音超えてさっきから声じゃんね。うるさすぎで皆寝れるん?
「……快晴予報は推定後七日のまま動かず。
きっと明日も降っているでしょうね」
自分は別に苦ではない。
けれど、気が滅入る人もいるでしょうから。
往来に会釈をしながら、自分は相変わらずプールを見つめ。
昼の内は静かだろうか。
ふらりとやってきて、壁際に座り込んだ。
皺にならないよう、服の裾を丁寧に畳む。
ぼんやりと中庭の方へ視線を投げた。
雨が降っている。
洗わないといけないの、まだあったなーってシャワールームに戻ってきた。
「これ、下着の替えも絶対いるー……」
「服は我慢できてもこればっかりはちょっとねー……」
洗濯を済ませて、人に見られないよう足早に個室に戻っていった。
「…………。」
目を空けた。
相変わらず、何も変わらない。
状況も何も変わらない。
窓も開かない。雨も振り続けている…………。
「…………。」
結局いつものここに来た。
窓際に胡坐をかいて、ぼうっと水面を見つめている。
角に触れる。
「……」
あるだけの角だ。
あえて役目があるとすれば、『偏見を生み出す』だけの。
「俺も体が丈夫だったらよかったんですけどね」
体育の成績表にはいつも『3』と書かれていた。
その程度。
使ったはタオルは洗って絞って。
「部屋で乾かしとこー」
「あとでまゆこちゃんぱんちゃんに渡そっと」
タオルドライ後半乾きの髪を揺らして、何処かへ。
「つめたーーーーい!!!!」
「管理人さん早くガス代払えし!もーーー!!!!」
朝から騒がしいギャルだ。
買ったタオルで髪を拭きながら不満たらたら。
「はい、どうぞ」
言われるがままに紐で繋がってる両腕を、
どうぞ掌をお使いくださいとでもいうように差し出した。
パスコードを教えてもらえればありがとうございますと礼を言って、
手招く姿についてゆく。ひたひたと裸足がプールを出て行った。
PL:了解しました!ゆっくりで大丈夫ですので就寝を優先してください!
「じゃさ、コード教えるから手とか出して?」
手とか…まあ頭とかでもいいんだけど肌のところへ、一文字一文字を書いて教えるつもりらしい。触られるのが嫌だってなら耳打ちするのでご自由に。
大文字のC、小文字のi、あとは同様にc、a、d、a。 Cicada がパスであると伝えておいて、手招き。そのまま個室へと移動したがるかな。
/*すみません! そろそろ就寝するのでやや置きレスになります!
「いいえ、本日はこちらに遊びにきているだけでございます故……この身は何処へでも足を運ぶことが可能でございますよ。」
まあ秘密だろうな、と諦めようと思ったが……
どうにもそういうわけではないらしい。
とても高い位置にあった顔が、
きっと目線が合うところまで降りてきた。
「……ふふ、お誘いだなんてとても光栄でございますね。
ええ、ええ、喜んで。ご一緒させてくださいまし。」
その様子に嬉しそうに目を細める。
喜んでこれは貴方についていくだろう。
「あ〜、秘密! いつ角持ちぎらい共が帰ってくるか分かんねえとこでお話したくないし… お前水辺離れるとマズいタイプの人だったり?」
ベラベラ喋っておいて何を今更気にすることがあるんだか。
「じゃなかったらさあ、お部屋で話そ?」
加えて、貴方が嫌がらないなら、であるが、大股で距離を詰めて己の膝に手を置いて、目線を…こちらの目は前髪の下であるが…合わせたがるんだろう。尚、露骨な拒否が無ければ怯えなどがあってもこの一連の動作はやりたがるらしい。不都合だったりしたら逃げたりして
「……おや、ふふ、これはまた随分と不思議な……」
ころりころりと変わる態度に困ったような、
それでいて面白がっているような様子で笑う。
ともあれ、あちらの基準で許されたらしい。
「お許しいただき感謝いたします。」
「……まあ、襲ったのですかそれはそれは……聞かせる人によってはひどく恐ろしい話題でございますね。」
軽く首を傾げて眉を下げる。
そんなこと、教えちゃっていいのかしら。
「参考までに何故襲ったのか理由を教えては下さいませんか?」