『プール』
白いタイルと規則正しい大き目の窓で構成されている。
窓は割れ、崩れた天井からプールに雨が降り注いでいる。
雨と地味な噴水と、緑のない殺風景な中庭が見える。
水しか出ないシャワー室も一応ある。
『記録[
「雨に当たったらどうなるか分からないですけど……
外に出ないと、村に帰れないじゃないですか。」
選択肢が狭まる程には焦っている。
「当たった時は当たった時か〜、ヤバ、めっちゃウケんね。悪魔ってすげ〜」
小学生並みの感想
「お、行ってら〜?タバコは分煙される事を祈っとくぜ〜」
「そう、オレは君の心の闇が産んだ悪魔なんだ……!
あ~今すぐプールで泳ぎ回りたくなってきた~!」
大嘘。
「換気が完全になくて、最終的に煙草の煙で満ちたらウケんね~」
「よっし当たった~角の人間クン角の人間クン~」
無駄な呼び声。
「雨に濡れたら危険、だから出られないようにしている!
推理材料も乏しいから、シンプルに考えればそうなるねえ……」
「この期に及んで水浴びなんて先祖返り起こしてる」
「代わりはないの?ないってんなら面白い冗談」
「来賓を饗す気がちっともないんだね」
お風呂がどうとか、冷たい冷たいとか、
周りが揃いも揃って呻いてる事から理解も及びましょう。
「沢遊びする気分じゃなくなっちゃった」
「そうだ、タオル調達して来なくちゃね」
そんならそれで宜しい。
腑に落ちたら満足気に頷き、踵返して何処か歩いてった。
「じゃ悪魔の兄ちゃんにするかな……俺の夢って悪魔とか出るんだ……」
「せめて換気窓くらい開けて欲しいよなァ〜」
「喫煙者の肩身がせめーのよ。まぁ吸うケド……」
「はい。角の人間クンです」
「悪魔でも壊せないなら誰がやっても無理そうだ。
雨に濡れないようにされてるのか、シンプルに閉じ込められてるのか」
「……どっちもかもな」
「じゃあオレのことは悪魔のお兄ちゃんと呼んでくれ~。」
「これは確認さ。どうにも『どこからも出られない』様になってるみたいでね~。
やっぱダメなんだな~。見えるのに徹底的に塞がれてる~ってワケ。」
「おや御機嫌よう角の……人間クン?」
視線があればひらり、窓に向けていた手を挙げて挨拶。
「人間クン達は大変だ、生きてるだけで汚くなっていってしまう。」
なんか気がついたら人がいっぱい居ました。
「シャワー……冷たいんだ……
いやだなぁ。」
体を拭くタオルも無いと来た。
体は綺麗にしておきたいけど、悩みどころ
「女全員力尽きてるわ……シャワー強すぎだろ……」
「おーい、その棒切れから出る水で体洗うんだぞォ〜
川遊びみたいなもんだね」
風呂なんてもんはないよ。冷えるか臭くなるか、二択。
「うわ、角の兄ちゃん増えたなァ〜」
「困るよ、特徴が被ってると呼び方がさァ……」
これはクレーム
「可哀想な人間クン達の背を傍目に、
オレは窓の方を確かめるのだった……」
コン、コン、ゴンッ。中庭に向いた窓を叩く。
ググッ。ギッ。押し引きもする。
「……ブランケットとかがあればまた違うんでしょうけど」
自分はまだ見かけてない。
寒い思いをまだしていないから探してもいないともいう。
「あ」
……自分以外に角を生やしている人だ。
人じゃないかも。
「ただただ水浴びをするためのもんだよ、そのシャワーってのはよ………」
なんて呟きつつ。
「とりあえず………そろそろロビーの方へ戻るかな………」
とか言っています。なにもなければ戻っていくのかも。
「お風呂じゃない……」
シャワー?ってお風呂じゃないじゃない。
湯船もないし、お湯もないし、何か、水滴零してる棒切れはあるけど。
御機嫌右肩上がりを続けていた女もこれには流石にしょんぼり。
ちなみに、この女はシャワーを浴びて煙草の臭いはしなくなった。が………薬品の匂いはまだしている。鼻につく鉄らしい臭いも、取れてはいないが………体臭はしていなさそう。