『プール』
白いタイルと規則正しい大き目の窓で構成されている。
窓は割れ、崩れた天井からプールに雨が降り注いでいる。
雨と地味な噴水と、緑のない殺風景な中庭が見える。
水しか出ないシャワー室も一応ある。
『記録[
『その手が』
飛び込みする人がいなくてよかった~。
『お手伝いしてくれるの?』
『ありがとう』
わ~い。人手が増えてスピードアップだ。
「分かった。私もやる。」
ててて…と駆けて箱からおもちゃのバケツを持ってくる。
んしょ…んしょ…とプールから水を掬い出しているでしょう。
「………うーん、まあ、この後に及んでわざわざ刺しに来るのはちょっと面白くはある」
「貰ってばっかりじゃ悪いから流石に手伝う……」
ばしゃばしゃ……
「あと、シャワー室ひとつの犠牲もあったお陰かもですね」
微量ながら水を出してくれてたホースを見ている。
シャワーヘッドの処遇も楽しみだ。
「終わりがある、進捗の見える作業なのもいいのかも」
「これが暗中模索だったら多分、狂います」
『やることがあるって、いいこと』
せっせ、じゃばじゃば、ちまちま……。
バケツ、タライ、コップでお送りしております。水を。
朝からタライ掬いおじさんもせっせ
「こんな作業ずっとやってたら普通気が狂うのにな」
「狂った場所でやる分には気晴らしになるから不思議」
「アハハ。せっかくなので張り切らせてもらいましたよ」
「元気がある内にやってしまいませんとね」
あとちょっとあとちょっと。
気晴らしになるので、体を動かす作業は丁度いいんです。
とてて、とやってきた。
人がいっぱいだ~。一礼をしてから手をふりふり。
コップを構えて今日もやります。
せっせ、ちまちま……大分減ったかも!
「よォ〜、お前らが夜更かししてやってたおかげでもうそろそろだぞ」
「こりゃあと1時間もかからんだろ〜」
12時くらいには抜き切るだろ(確定ロール)
全くお前らは頑張りすぎでいけないね。
「いいなァ〜個室風呂、入りてェ〜」
貸切温泉みたいな気分かも。
さすがに1人で入る用を想像している。
「うわー、こんな所にも人に刺される男がいるとはな……」
「ま、上手く受け止められるといいなァ。」
そんな浅い仲って訳じゃなさそうだしな
「それで個室ってのは……」
「何か勘違いしてないかな……」
そういうのじゃないってば〜(汗)
でもスタイルがいいと言われるのは嬉しい。
スレンダーだって全然いいですよね。
「それはまた、熱烈な……」
この期に及んで刺すことを予告されるなんて。
憂いを断つのにはたしかに、ちょうどいい頃だろうが。
「……それでなお生きていたいと思えるなら」
「本当に素敵なことだと、思います」
「……本当にありがとう」
「ございます」
ものすごく居た堪れない。
今まで散々生きることを放棄してきたので。
「どうせもう誰にも狙われないし、ほんとは今日も寝てようかと思ったんだけどさ」
「有難いことに、『次の停電で刺す』って言われちゃってね……」
「ふーん。木枯おじさん、そういうのが好きなんだね。」
少女の背丈は150cm。ヨンコさんはどのくらいだろう。
「ヨンコさんのスタイルっていいと思う。気にする事ないよ。」
ててて…とそばに寄ってみたかも。
「裸はちょっと考えちゃうね。個室の中ならともかく。」
「全部真逆ですごいよお前は……」
仮に全部満たしてたとて一回り以上下の女にどうこうもないが。
あのメイドが一番理想に近かったな今思えば…
「浮き輪とかはあるかもなァ〜」
「私がそのどれでもないからって」
「深々と溜息を吐かなくても」
ないものはないんだからしょうがない。
これは正しい方向への諦め。
「確かに、水深によっては危ないかも……」
「でも、裸はそれこそ嫌です」