『プール』
白いタイルと規則正しい大き目の窓で構成されている。
窓は割れ、崩れた天井からプールに雨が降り注いでいる。
雨と地味な噴水と、緑のない殺風景な中庭が見える。
水しか出ないシャワー室も一応ある。
『記録[
「しがない葬儀屋でしたが〜?」
「詐欺師が詐欺師と名乗るわけもないでしょう」
飯はいいなぁと思いますが。
以前よりは浮かれられなくて残念。
パーティーはいいとおもいます。
「ひどいワ……反抗期のガキが怖くて……」
よよよ……
「出れるって確信はいつ持てるんかねェ~、やっぱ雨が上がってからか…」
「お、カッパのガキ、飯食いてぇのかァ~?」
「私が怪しくないことの証明が基本できないので黙って受け取っていただけませんか」
「いいですよ、どうせ私には
そこまでわかんないで」
あなたの手がどれほど赤いのかも。
「うるせーなジジイ」
もうこれ以上は時間の問題ですよ。
「買うにしても出れるってなってからっすよ」
「ぬか喜びになるでしょ」
放送は嘘吐きだし。
「パーティでもすっかァ~?久々に豪華な飯でも並べてなァ」
「悪くないな、ストレス発散にもなる。」
刺激的な面白さ、ではないだろな。
求めてるもんとは遠そう。
までも、それなりに楽しくはあるんじゃない、ちょうどいい奴らと囲む食卓は。
「まずちゃんと傷治せきったねぇなァ!」
まずそっからじゃない?さすがに。
「えっ……何か怖いっす……」
差し出されたのを受け取る手も真っ赤です。
目立ちにくくても血は吸いますよ。
まあ、物凄く間接的に施される理由は分かる気がするので、良いんですけど。
「良いですよ、あなたは」
選んでいます、この男も。
ゆるりと脱いで差し出しましょう。
黒いコートは赤も目立ちにくい。
汚れてもないので、まだ清潔でした。
「少しでも不快感がなくなれば幸い。
寒さによるものだけでしょうが」
濡らしたコートを絞……し……
力を入れたらあちこちの傷が開いて意味が無い。
「何かみんなで遊べるもんでも買いますか?」
「それがでけーケーキとか。飯とか」
「もうそういうんしかないかなって」
余裕ありまくり、なので。
生きるも死ぬも興味ないですから、身を守る分ももう要らなくなっちゃったんです。
「下が全部血塗れなんで、借りても血で汚しますよ?」
そして満足に洗えもしませんので。
血なまぐさくさコートになります。
「そうなんすよ。ナイフ握るのってめっちゃ労力いって、割に合わないのが予想外でした」
「大してペイが増えないんで、効率考えるなら食堂に籠城してた方が良いです」
快楽殺人鬼がいるのなら、大変ご苦労様ですって感じです。
うまみ無いですもんね。消耗するばっかで。
「なんで考え中、すね」
「…………」
「……悠々と触れる方って資源がない方では」
これは、ほんの少しの価値観が違うだけで。
あなたと言っていることを違いないのですが。
「…………うらやましい限りだ。」
皮肉。あるいは羨望。
必死にならなくてもいい立場というのは、こうも違う。
「…………娯楽、なんかあるんだろう?資源さえ出せば。」
「いまやお前が一番余裕があって、お前くらいしか悠々とナイフが振れない世界だよ。」
「あ、振るなよ。」
そんなに刺されたところでまだ資源が消えちゃいない。
だからまぁきっと……人を襲うのってあんま割にもあっちゃいないんだろう。
ここが生き残れば何でも願いが叶う!って場所ならそれでも動く奴らもいるだろが。
まぁ、そうでもなけりゃあとは快楽殺人鬼くらいだわな、率先して動くのは。
「物騒じゃない面白さでも見つけてくれよなァ~」
「本当に資源節約してるんですね」
「あなた」
淡々と、なんとなく感じたことをぼやきます。
「……このコート使いますか?」
一応毎日洗っているんですが。
「どうもう」
すた、すたと普段通り朝にやってきて。
床が汚れているのを見た片羽。
辺りを伺ってからすん、と鼻をひくつかせました。
「血……?」
「掃除しておきますか」
そして大体の雰囲気を察したことでしょう。
「…………他人を助けるために己の資産を削る奴は何人も見てきたな。
それはもう、消耗もするだろう。」
その行為ですら、合羽には度し難い。
「ま、化け物様方には分からんでしょ」
面白くなったら良いなあってそればっか、なんですよね。
あとは資源がバラバラ過ぎて不公平な気もしますし。
こんだけ血を吸った上着がある一方で、身奇麗なのもいたりするし。
「そう、問題はそれなんす。思いの外みんな消耗が激しくて、」
「こんなに節約したのになあーーー」
「って」
クソデカ溜息出ちゃいますね。
穴だらけになった意味が無くなっちゃいました。かも。
で、ヘンテコな場所もあるんでしょう。
見りゃ分かります。
「………………。」
全然その感性が理解できないようで、首を横に振っている。
「…………分からんな。エサをぶら下げてまで。
命を天秤にかけるような真似が。」
「ほんとに馬鹿だねェ~このガキは」
ウキウキワクワクなんてなァ、シリアルキラーくらいしかしねェって。
ピニャータが生身の人間だったらあんな大人気の祭りにゃならねェだろ。
「素直に自分の贅沢にでも使えよォ。襲うのだって体力使うだろ」
「もうここにそんな体力残ってるやつ多くないよ多分」
死とはちがう行き先も現れて。
もうナイフを振るってどうこう、ってのは少なくなるかもなァ
「よこしまじゃねーし」
それはそうです。捻じ曲がってるのは、そうかもですけど。
「まーそれでウキウキしてワクワクするかなって思ったんですけど、そろそろみんな疲れたでしょ」
「俺死にたくないすけど、生きたいとも思ってないんで」
「あと死ぬか資源根こそぎ奪われるかのチキレ、みたいな」
「正しくない。心がねじけている。まがっている。よくない。よこしま………」
邪に含まれる意味一覧です。
人殺しに対抗するなら資源よりまず体を大事にしてほしいもんである。
「ワイシャツまでべったりだろォが」
まぁ別に拒まれもしないなら包帯くらい巻いてやるか。
鬱血したらキモいから普通に巻くとする。
「なんかやりたいことでもあんのかァ~?」
「いえ、ジャックポットがあったらワクワクするかなって」
「でも何か、出口が見えたらみんな消沈する気もしてきて」
「貯めたのあんま意味無かったなーと」