『プール』
白いタイルと規則正しい大き目の窓で構成されている。
窓は割れ、崩れた天井からプールに雨が降り注いでいる。
雨と地味な噴水と、緑のない殺風景な中庭が見える。
水しか出ないシャワー室も一応ある。
『記録[
「まあ、あくまでも全て持論だけれどね。医者っていうのは各々意見が全く違うことがあるんだ。あくまでもこれは私の中での意見だよ。」
そうして蹲ってしまった彼女をみて。
「…話が終わったらロビーに戻るけど…一緒に来る?…動けないなら抱えることもできるけど。…ここでいいなら、私はそのまま戻るよ。」
そう声をかける。多分、人はまだそれなりにいるだろうか。ソファで休んだ方が良さそうだな、と思った、女なりの気遣いだった。
>>12104
「あの。よろしければ包帯などあるので処置しましょうか?」
ちらっとみたけど、確かに様子は違ったけれど
それは行動を躊躇う理由にならなかった。
>>12100
「……先ず、そうやって集団を一纏めにしてることがダメだろうね。薬は用法要領があるが…体格、年齢、体質によって投与量が全く違ってくる。
それって…毒を盛ってるも同じことじゃないか。違うか?」
「もちろんちょうどいい奴も居よう。だがしかし過剰投与の奴も居よう。そこは…嘘の前に人を、体質を知る必要がある。…まあ、病院にカルテというシステムがある理由だよ。」
夜も遅いが、大丈夫か?なんてのんびり声をかけて。
さっきまでのカリカリとしていた医者は姿も見えなかった。
>>12098
「ああ、ありがとうございます…
ごめんなさい、僕医者なのに……
治療ができない程になってしまって」
彼は【医者】である。
貴方が少し前に見た時とは
随分と丁寧、そして明るいなと
感じるかもしれない。
>>12079
「……医者について認識を改めよう。私めにはその認識はございませんでした。
では……私めの嘘は過剰投与にお思いですか?
私めは、集団を1つの個であるとすれば……これでも適量を探っている方でございますが」
引きずるような音が聞こえて、
そちらへ目を向けた。
「大丈夫ですか・・・?」
手当てが必要なら行おうとするだろう。
相手が医者だとは知らない
「………………」
丁寧に洗って、しっかり絞る。
後は乾かそう、と服を着てから絨毯を抱えた。
今いる人には一礼をして、去っていく。
回答や解釈が一致しているかどうかは、当人にもわからない。
「まあ、逆にその大衆の傷を1人ずつ治療するのも医師の役目だからね。困難だろうが、不可能だろうが関係ない。医師って、そう言う生き物だから。」
にぎにぎとした手をそのまま組んで、上へ伸びをして。
「まあ、回答にご満足いただける自信はないよ。」
と一言付け足した。
切られた絨毯を持って、シャワー室へ入った。
服を脱いで、濡れないように置いておく。
その後、絨毯を丁寧に洗っていくんだろう。
>>11985
「正直、その死刑囚よりも事故の方が身近なせいで、後者の方が観衆の頭には残ると思うが…今はそれは置いておこうか。」
「死後、記録としてはまあ、そうして残り続けるだろうね。けれど…その言葉も、記録も。案外風化には抗えないものだよ。身近じゃないもの。思い出せば風化しないけど。動かなくなれば、思い出されなくなる。そこから風化は始まる。思っているより、忘れ去られるのもすぐさ。最もまあ、その囚に狂信的なやつがいれば別だとは思うが…。」
飛躍にはそのまま乗っかってみた。
>>12015
「…ものとすることができる、じゃない。治療は治療だ。
患者から傷が消えなければそれは治療じゃない、ただの手当だからね。
…確かに薬や毒は表裏一体だ。少なければ薬になるものも…当然、多ければ毒になる。けれどこれは薬だけの話でもないのは知ってるだろう。
性質や在り方なんかは、日々生きてるだけでも変わるものだ。私たち医者は、それを安定させる手伝いをするだけ。薬の用法要領を知っていたら、毒にはならない。」
手をにぎにぎとさせて。まるで手袋をはめるような動きでもしているよう
ずる…ずる…
足を引きずってやってきた。
自分の命はもう長くないというのが
なんとなく、今までの知識で分かる。
「……っ」
とりあえず、傷口を洗った。
一先ずは、話は終わってしまっただろうか。
であればこの場には最早、用はない。
立ち上がってプールの外へ、ロビーの方へ裸足が歩く。
「……誰もが皆、他人を傷つけているわけではございません。もちろん、他人を傷つけ、懐をあたためた者も……残念ながら、決して少なくはないですが。……悲しいことでございます。」
もう既に、その辺りは可視化されてしまった。
自分はそんなことしてないとわざわざ口に出す必要もないだろう。
言ったところで、届くかどうかも、わからない。
信じてくれるかどうかも、
「……気持ち悪い。」
強いかと言われると……別に、そんな事は無い。
顔をまた青くして蹲った。
「あの人だって……資源沢山持ってた筈。
おかしいじゃない……」
「どうせ皆も、誰かから奪ってるんでしょ…?」
>>11985
「言葉と違って怪我や毒は安易に大衆に伝播いたしませんし、当人の死後はだったモノのみが残ります。
言葉はどうでしょう?安易に大衆に伝播し、変異し、蔓延り……大衆にとっての対象の在り方を歪め続ける。死後もね!
死刑囚であれば、死後も事件の首謀者として残り続け!話の肴に、あるいは誰かの思想の種に、戒めとして像が歪む!
死後の在り方とは名誉とも呼べます。大衆の認識を、名誉を治療することは困難でございますよ」
途中から話が飛躍していることに気付いてもいい。
思っているよりも、彼女は強いらしい。これならまあ、大丈夫そうだし。
彼との談義が終わったら戻ろう。思ったよりも長居してしまった。
「……まあ、わかるけどな。」
どっちに言ったかはわからない。
「…おやすみ。いい夢を…とまでは行かないけど、ゆっくり休めればいいな。」
何せ、ロビーのソファでも体が痛くなるぐらいだしね。
朝方は姿を見せず、夜遅くまでいるのがユウガオだ。
いつまでも此処にいる気はないけれど……。
話の続きを聞こうとただ黙っている。
「……。」
……どうやら彼女は隠し通すつもりはないらしい。
ナイフを振るった理由は……気に食わなかった、か。
辺りを見渡して、反応を観察する。
成る程な、と頷いて。
「眠い!」
「ので僕は帰るね」
それ以上追求はせず。答えのヒントも出さず。
本当に顔と周りの様子を伺うだけ。
「僕の警告は伝えたよ。ああ、次の停電も僕は『警戒』です。もうこっち来んなよって事」