『プール』
白いタイルと規則正しい大き目の窓で構成されている。
窓は割れ、崩れた天井からプールに雨が降り注いでいる。
雨と地味な噴水と、緑のない殺風景な中庭が見える。
水しか出ないシャワー室も一応ある。
『記録[
>>11508
「………………。」
何も発さなかった。名前を教えようという気がないのかもしれない……。
もしくはそんなものはないのかもしれない。
ロビーのモニタには"カッパ"と書かれている。
「…………もういいか?」
夜草の方にフードで覆われた黒を向ける。今はあっちが先だろう?と訴える。
>>11474
「相談、僕に?」
そういう依頼だろうか。
少し考えて。
「良いですよ。
ただ、秘密にしたいならもう少し小声の方が良い」
こんな騒ぎの中気にする人はいないかもだけど。
>>11491 藍
「……前の方がちょっとイケメンかな?」
いつも通りだな…と思って、こっちもちょっと合わせた返事をする。
過度の心配より、こっちの言葉の方が合ってそうだと思った。
「……でも気を付けてね。」
他より少しだけ知ってる顔だから、心配してる意思表示だけ。
軽口を言ってくるって事はまだ大丈夫・・・・・だと思ったから。
その後で真っすぐシャワー室の方に向かう。
「落ち着きましょう」
「あの子だけじゃなくて、……私達も」
イケメンとやらはさておいて。
他は多分、彼女に当てられて、少なからず動揺しただろうから。
「……必要以上に、重くとらえないようにしましょう」
「そう、私達は結局、……極限に置かれているに違いないですから」
「なるほど、様子を見るに夜草様が気持ちを大にして言いたいなにかがあるのですね。
思えば縁の始まりのプールの件も引っかかっておりました。プールで何があったかお聞かせ願えませんか!」
「…うぅ、うぅ。」
色んな声が聞こえるのに、どれも雑音に聞こえる。
どうすればいい、どうすれば……
壁際にふらふらと行って、壁に背中を付けて蹲る。
暫く、顔を伏せているだろう。
>>11458
「おお……雨具を常備した方はこれで4人目でございます。レインコートが2人、夜空様の傘で1人、そして私めの携帯撥水周波機器で1人……
早めに知ることの出来なかった私めの落ち度でございますが、お名前をお伺いしても?」
「あぅあぅ…」
「ぅー……」
「お、落ち着いて……」
パニックになっているように見えた。
よくパニックになって泣くからわかった。
「…あぅ…」
「ま、まだお身体がありましゅから…」
「落ち着いて意味を探す時間は…あるかとぉ…」
「…あぅぅ…」
言っても意味があるのだろうか。
「今まで我慢したのだって、最後にむちゃくちゃにしたかったからじゃねェだろォ~」
「幸せになりたかったから我慢してたんじゃねェの?」
だったらまぁ、こんな恨みつらみ買うようなのはさァ。
我慢した甲斐がないって感じじゃんか。
「どうしようもなかったらまァ、叶えてやってもいいから」
「どうしようもなくなるまで頑張れってェ~」
ガキの願いが叶わず死んでいくだけってのをただ見てるだけにもできないしなァ~。
それが譲歩ってやつ。
「意思を貸し出していなかったら、私も同じ気持ちを抱いたのかしら……」
境遇は近しいはずなのに、共感が届き切らない。
それは自分にとって悪いことではなかったかもしれないけど、今は少し惜しい。
「貴方様お一人の力で全てを台無しにする、なんてことは不可能でございましょう。」
プールが真っ黒に、染まってくれなかったように。
「きっと、余計に貴方の御心を傷つけるだけでございます。……ですから、やめましょう、そのようなことは。皆様の苦しむお顔は……あまり、見たいものではないのです。」
おや、久しぶりの顔にゆるゆる手を振る。
こんにちは。顔面半分包帯男です。
「イケメンになりましたよ」
何ともありません。治療は見ての通り、済んでますので。
「……藍さん、顔…。」
傷増えてるな…と思って、ぽつりと声を零す。
最初の腕の治療の時のように今は使えるものが無いので、
何の足しにもならないかもしれない、お節介な言葉しか掛けれないけど。
>>11442
「ふふ、大声は苦手なのでつい……」
ビビリである。でも怒気の籠もった大声二連発は怖いよね、仕方ないよね。
「相談事があります。内緒話をしませんか?」
「他人のことなんて、知るもんかと思うなら」
「それでもいい」
「けれどそうすると」
「こうして、窘められて、
否定されることも当然になってしまう」
共感を捨ててしまったら、大抵はされるはずもない。
黒い指先。切羽詰まった表情を見る。
ああ。本当に、無力だ。
「………………。」
「……やけになって、すべてを壊して。それを望んで。
そんなの、今まで生きた生の否定じゃないか。」
うらやましい。
「全員死んだら最終床のシミですが……?」
何を勘違いされてるんでしょうか。
悲劇のヒロインぶるのもやめて頂きたくなりますね。
あらあら、です。
>>11443
…………やはり喧しい。
喧しいのは、キライだ。
「……そうだ。」
短い返答。せっかく声をかけてくれたというのになんて無愛想な。
「前向きに考えよう、なんて」
「もう難しい時期になって来てるとは思うの」
やはり俯く。このタイルも見慣れたな。
少なくとももう、自分の希望は使い果たしてしまった。
「私は、死に意味を持ちたいこと」
「冷静じゃいられないこと。理解できる」
仲良くできない、とは思わない。思わないけども。
「……でも、」
「望んでない人がいるところに、攫わせるのは」
「そうしてほしくない……だけ」
「……うるさいなぁ、何でよ。」
「じゃあ、じゃあどうすれば良いのよ…!」
ヒステリックを起こしたのか頭を掻き毟る。
指先が黒くなっている。
「こんな場所じゃどうしようも無いでしょ!
溶けていく私の体は、床の染みになるだけ!」
「ずっと我慢しながら、この時まで生きてきたのに……」
「わたしの意味……どうしろって……」
「もう全部遅いのに……」
「滅茶苦茶にしてやりたい…何もかも……」
シャワーを使う為に足を踏み入れるが…何やら取り込み中らしい。
昨日と今日でほとんど個室に居たから外の様子をちゃんと把握してないのもあって、
状況が呑み込めないが…知ってる顔が二つ見えて、そこだけ安堵する。
>>11404
「おや、お互い見るのは初めましてかな!私めコンテキストという者ですが、停電のずっと前に夜草様が後で話があると仰っていたので、機会を探しておりました!にしてもそれは…雨具で合っていますでしょうか?」
少女と、例の人を横目に見ながら。
呼ばれたのでそっと話から離れる。
>>11407
「どうしました、そんな入り口から」
まぁこの状況だしな…。
そんなふうに隠れるのも無理はないね。
「もし、ここから出た先に地獄が待っていても、
「ここ」では、魔法も呪いも効かないから。
貴方が笑顔になれる方法を探したいです」
ここに来る前のことをぼんやり思い出しながら、
話してみる。
静かな水音が、ひとつ、また濁る。
「……ああ」
息を吸って、吐く。
嫌悪でも怒りでもなく、ただ確認するように。
「意味を探すには、ずいぶん冷たい場所を選びましたねえ」
水面を見下ろしながら、羽を一つ羽ばたかせる。
おやおや。普段声を出さない方も、喉の心配をしました。
「死に理由が欲しい気持ちは分かりますよ。
でもそれが、プールの水に託しても答えは返ってきません」
「もっとありますよ、有意義なことが」