『プール』
白いタイルと規則正しい大き目の窓で構成されている。
窓は割れ、崩れた天井からプールに雨が降り注いでいる。
雨と地味な噴水と、緑のない殺風景な中庭が見える。
水しか出ないシャワー室も一応ある。
『記録[
『お葬式』
行きたい。気持ちは、あるのだが。
いっぱい喋れてちょっとお疲れなのだ。
悩ましい顔をした。
立ち去る人には一礼をするんだろう。
「早寝するガキ、偉いなァ~」
寝はしないのかも。ひとまず見送り。
「俺も結構眠気ではあるんだよな…水も乾いてきたし…一旦退散するかァ~」
「……」
何かちょっと、萎える。
「うるさくならない内に寝た方が良いかもっすねー」
そもそもシャワーしに来ただけですからね。
そそくさ退散しちゃいます。
「きっと今のままでは、自分が死んでも親しかった人が自分を忘れていくだけですから。
"忘れない"ということを、お忘れなきように」
「なるほどねェ……」
「ま、眠気が大丈夫そうだったら顔出すカモ。無理そうならいかないけど、まぁ」
「心がけは立派だと思うよ。そういうのが必要な奴らもいるだろォ~」
頑張れよォ~、と、見送ることとなる。
「なるほど、一理ございますね。しかし、私めはこの度の葬儀を最初の最後こっきりにしたいのです。
死者を忘れれば、きっと殺されるかもという不安だけしか残りません。ですから、より多くの方に来ていただき、忘れることのないように受容しましょう。そうすれば、今後の諍いも少なくなっていくはずですから」
「尤も、任意参加でございます。眠気がある方もいるでしょうし。それでは私めは食堂に向かいます」
「……本当に、人が」
「死んだ……って、こと…?」
実感がなかった。
だって、ここに死体はなかったし。
殺したかって聞かれはしたけど、それでも。
「……お、おれも……やめとく…」
「あァ~、そんなのもやんのか」
「ん~……」「や、俺はパスだなァ」
「一回やったら毎回やらないとで、一回参加したら毎回参加しないと、参加できなかったときの奴らに悪いだろォ~」
それを確約できないから。あんま不義理はしたくないわな。
「玲依様もこんにちは!いえいえ、ぐっすり疲れを取っていただけたらなによりです!」
「唐突ですが、皆様に至急食堂に集っていただきたのです!
なぜかというと、この度の死者を弔う葬儀をやりたいからでございます!弔辞は私めが務めさせていただきます」
一気に場のカラーチャートが増えた気がする……
すげぇ髪染めしてんなァ~と手を振った。
やっぱプールって人の出入り多いんだなァ~
毛髪の色が豊かな男がプールにやってきた。
「モニターで確認した限り、ここには10名ほどいらっしゃったはず……ああ!(話している場を見つける)
初めましての方も、そうでない方もこんにちは!私め、コンテキストと申します!」
「トゲガキは存在がトゲトゲしてるからダメ」
「おォ~フードガキ……お前がこのプールのオアシスだ……」
それってただのプールかも。
ガキに慰められてるおじさんが爆誕した───
「これもう集団迫害だろ……」
おじさんは人としてもう死んでるみたいな前提やめろ。
生きてますよ~~~~、お~~~~~~~~い
「20年後くらいの鏡を見て今日のこと思い出せやァ……」