『食堂』
どちらかと言うと広めのキッチン。水浸しになった。
奥にはシステムキッチンとカウンターがある。ガスも水道も電気も通っていない。
カウンター奥に「箱」のついた扉があるが、曇り空の見える階段があるだけ。
『記録[
「…………」
「別の場所に休みに行ったはずが戻って来たってことは、何かやるのかと思ったんだけどさ」
「そういうわけでもないんだなあ? NOT 囁きチャ~ンス……」
「ああ ぐうぐう ぐうぐう……」
ま、静かなのは良い事か。
適当な壁際に腰掛けては、ぼんやりと戸棚やら静けさやらに浸り始める。
その内眠気は来るだろうし、それまでは適当に潰せればいいだろう。
万一、ってこともあるかもだしさ。
「ぉー……流石に大半が寝てる寝てる」
コツ……コツ……足音を抑えて訪れては、静けさが包むその場を見やる。
やっぱ、何だかんだ大半が疲れてたんだろな。
資源はもう無いか…、不貞腐れたように小さくため息を吐いて部屋の隅へと歩いていく。
やっぱり、夜は静かでいいなあ…。
巨大な猫らしき着ぐるみのものは模倣するように丸まった。
「その時は悪魔として勇敢なる人間クンに
応援の手拍子を捧げてあげなきゃぁだ。」
不眠ではなく、存在しない未来だが。
「オヤスミ~人間クンと呼ばれたくないクン。そして人間クン~」
「おや、誰かがタップダンスするときには
起こしてあげますね」
不眠でない限り、
ぐっすり眠れるでしょうと言っています。
「また明日安眠物資が見つかるやも。
おやすみなさい、よい夢を〜」
「そりゃソファも人数分ある訳じゃないのはそうですね……」
悪魔の方が横になったのを見て。
「……私もそろそろ寝ますか、また明日。」
そう言って個室へと向かっていった。
「ソファの争奪戦も勃発したりしてしまうのかもしれないなあ……」
「……あー………やたらねむ~……はあ~あ……」
ごろ、と無造作に横になった。煩かったのが静かになっていく。
成る程。
人間判定広い人と人間じゃない人がいると。
頷いて最低限の施設漁りを続け、
あかない扉や資材投入口を確認していった。
「私は個室派だけど誰かいると話は別かな」
「ソファもどうせなら100個あればね……」
「人間クンと人間クンと呼ばれたくないクンの反対複数……残念!」
「それでも気乗りするならGOサインを出したんだけどなあ!」
「どこも同じなら、狭い場所より広い場所でってのはまぁ妥当な判断だろうねえ……」
「んふふ、怪奇深夜のタップダンスマンになれる程ゴキゲンじゃなくてぇ」
「見るのは好きなんですけどぉ」
お気持ちはありがたく、手をひらひら。
目立つものが何もないのを確認して、
自然とカウンターの箱をじっと見る。
「まぁ? 散々歩き回った先の個室に
ふかふかベッドがなかったんで
快適度はどこもトントンでしょうね」
「出る人間クンもいれば戻る人間クンもいる いいことだなあ。」
「足音ぐらい好きに鳴らせばいいさ、なんならタップダンスしたっていい!」
「え〜、食堂で食ないなんて詐欺です詐欺」
はいこんばんはどうも〜。
ここはきっと何かを飾る場所なのでしょう。
「……ここねぐらにしてましたぁ?
深夜徘徊人間なんですよう。
足音減らすんで許してくださいねー」
様々な人々とすれ違い、顔を出す有翼人間。
わぁ〜っと、初見の反応でキッチンを探索。
「立派なハリボテですねぇ」
落胆した声を出して、
先人の方々にはどうもと頭をさげた。
「あーまた人間クンがいっちゃう。あ~~~。
愉しみには休息も必要って言われちゃあ仕方ないねぇ……」
「人間クン、ダメ~?しょうがないなあ、その望みはまあまあ叶えてあげよう……」
「……その人間クンって呼び方やめてください、その……少し嫌なので」
「確かに休んだ方がいいんですが……そんなに寝つき良くないんですよね」
「休む人はまた明日」
見送り……