『食堂』
どちらかと言うと広めのキッチン。水浸しになった。
奥にはシステムキッチンとカウンターがある。ガスも水道も電気も通っていない。
カウンター奥に「箱」のついた扉があるが、曇り空の見える階段があるだけ。
『記録[
「つまり『自己紹介パーティ』という事ですね。
ほんとだ、なんもない。ケーキどころか」
「エア乾杯いいね、僕もそれをやったらパリピになれますか?」
「クリスマスが近いのでクリスマスパーティーを、と……」
「ずっと暗い雰囲気なのもあれなので、というのもあるのでしょうが」
「鏡の人で覚えられているのね…………」
「あたしはロィナ。ロィナ・アルレット」
よろしく、と優雅にカーテシー。
「…………で。パーティー?」
「頭痛ですか…医療品はありますけども」
医療品の中に頭痛薬はあるだろうか。
「雨を止ませるのは医者のお仕事ではありませんね」
「あ、どうも。鏡のお嬢さん」
「いってらっしゃいませにおかえりなさいませー、と」
「目下、パーティの計画中~…ってトコ?」
怪我だなんだの、お医者サマの下に駆け込む羽目になるのは避けときたいけどねぇ、とはぼやきつつ。
「えーん、本物の天使さまは居るしお仕事の記憶も信じてもらえない…
ま、ひとまず怪我でも体調不良でもただ診断だけでもなにかあれば治療はいたしますので」
天使など人ならざる種族にさほど驚かない。
おそらく彼が居たのはそれらが存在する世界なのだろう。
「おーおーみんな良い名前してんね〜!改めてよろ〜」
「みんな呼びやすいように呼んじゃうから、俺の事もま、じゆーに呼んでちょーよ!」
「その記憶は果たして植え付けられたものかもしれない……」
シャレにならない冗談をひとつまみ。
「他にもちょいちょい場所はあるっぽいしね。散策やら交流やら、暇潰しは暫くできそ?」
「確か僕以外の医者も見かけた気がしますが…
名前を思い出すまでは医者でも白衣の天使でも歩く医務室でもご自由にお呼びください」