『食堂』
どちらかと言うと広めのキッチン。水浸しになった。
奥にはシステムキッチンとカウンターがある。ガスも水道も電気も通っていない。
カウンター奥に「箱」のついた扉があるが、曇り空の見える階段があるだけ。
『記録[
「………………」
怖い。あんなに、あっけなく、簡単に。
お別れ、が来るのか。
死だって、そりゃ突然来るものだけれど。
身体すら、残らないじゃないか。あんなの。
背を摩られるまま、目を伏せた。嫌だ、あんなのお別れの仕方は。
「………………」
「私も、よく出歩きますけど……」
「そう、移動だけなら、大丈夫みたい」
「話す瞬間でもなくて」
「……そこに居ること、なのだと思う」
重ね重ね合ってる保証はないが。
「……落下だけじゃなくて、
停電も、気をつけないといけませんね」
「ん~……そうか……どこかへ移動ってわけじゃなく……
ここに居るときに、ここに居続けようって思っちまうと……」
食堂に居るときに、どこか行こうかな、やっぱ食堂でいいや、みたいな。
そんなふうな思考がないかと言えば0ではない。
そういうのに反応してなにかが起こるのかも知れない。憶測でしか無いけど。
「…大体丸一日で二人だろ?余程低い確率で適当に起こってんのか、余程変な条件なんかだと思うんだよなァ~…」
>>15961
「うーん、多分自己犠牲?あいつだけ偶々生き残ってたみたいなんだよ、状況は詳しく知らないけど。」
「あー、魂なんて貰っても困るし。使い道ないから。」
皆の話を聞く。視覚情報とも殆ど差は無い。
そうなると……
この場所からこの場所へ
「……どちらにせよ」「…渡り歩くのは、避けとくべきなのかもな」
『移動、午前中、結構試したんだ』
『ただ移動するだけなら、いいのかも』
『そこで喋ったら……?』
『でも昨日は、ぼく、結構うろうろして、喋ったんだよね』
>>15896
「自己犠牲ってやつなのかな。
それとも自分のせいで死なせちゃったとか。
悪魔って魂を貰うんでしょ。
身体をもらうなんて変わってるね。」
『あとは……』
少し黙った。いや、まだわかんないな。
確証がないことは、あまり言いたくない。
『このくらいかなぁ……』
確実に言えることって。
「どう説明したらいいか分からないけど……」
「あまりよくなさそうなことは一個思い浮かぶ」
正しいかどうかは分からないけど。
これなら、いくつかには説明がつく。
「私達は、誰かの話を聞くとき」
「ここにいる」
当たり前のことではある。抽象的な話。
それでも大真面目に、考えて、話す。
「この場所からこの場所へ、が」
「……動きとしても、かなり怪しいと思う。
なんて。伝わるか分からない言い方。それでしか形容できない。
「発言だけがトリガーってわけでもねェだろォなぁ、だったらもっと落ちててもおかしくないし……
いや、条件を満たしたら絶対落ちるってわけでもないのか……」
「んー……喋ってちっと移動しようとした可能性はあるよな。そこら辺はもう本人にしかわかんねぇし…」
発言と移動の意志、そこら辺の関連性はもしかしたらあるかもしれん。
『今考えられることは』
『完全にランダムか』
『移動してから話していると落ちる』
『でも、ずっと居て、そこで話していても落ちる可能性もある』
『ここは、まだわかんない』
『ぼくは14時頃からはずっとここにいる』
『だから時間だけが条件じゃない気もする……』
長時間いたから、だけが条件でもなさそう。
『たぶん、だけど』
『どこかで話しているのが、きっかけになる可能性はある』
『でも、個室が絶対に安全かは、わからない』
落ちたことが、たまたま皆に分かるだけ、かもしれない。
「……………………」
嘘だろ?
あんなに急に起こるものか。
「本当に分かりません。前触れもないように」
「俺には、見えました、けど……」
「落下って、そのまま落下か。」
「……ゲームの壁抜けバグって実際に起きたら、こういう……」
「これ、立ってるこの場は……どうなんだ……?」
『今わかっていること』
スケッチブックに、細かい文字を描く。
クレヨンだから文字が少し潰れてしまうけど、読めなくはないはず。
『ずっと動かずにいることだけが条件ではない』
『ぼくは昼からずっとここにいた』
『他の人に比べて、彼女は移動してまだ間もなかった』
『でも以前に消えた8番の天使さんはずっとバンケット居た様子だった』
「天使の時は直に見たワケじゃないからわからないが……
確かに、何の前触れもなく、フッと落ちていくんだな。……
足踏み……身じろぎ、と言うよりは……発話か?」
「や、もー全然フツーの床!笑」
「通れそーなカンジないのになー、不思議~……」
彼女が落ちていったところをぺちぺちと叩いてみる。
床だ。変哲もない。