『食堂』
どちらかと言うと広めのキッチン。水浸しになった。
奥にはシステムキッチンとカウンターがある。ガスも水道も電気も通っていない。
カウンター奥に「箱」のついた扉があるが、曇り空の見える階段があるだけ。
『記録[
「起こるトコでは起こるんじゃない?」
「案外知らないトコで~とかさ」
息ぴったり、の言にはにこやかに笑みを返し。
ふんふん……皆の話に頷くのだ。
『らぶ……恋?』
『確かに、あんまり聞いたこと、ないね』
浮いた話はとんと聞かないかも。
多少仲良しだな~の雰囲気を感じるくらいで。
ちょっとそわ……としたけれど、
人前ではな……と大人しくした。
『あんまり一ヶ所にいなかったけど』
『思い入れはあるね』
こくりと頷く。
「よく過ごしたところですか。
俺はずっとプールに根を張ってましたね……」
窓があって、水辺で、雰囲気が好きなので過ごしやすかった。
殆どをそこで過ごした記憶がある。
「…とまぁ」「ほんとに賑やかにして貰ったよ」
「皆も、よくよく過ごしたトコとか。
そゆ印象残ってるのとかはあんじゃない?」
視線口笛なんのその。普段通りにひーらひら。
「ということで、一見さんも常連さんも。
改めて、"堂"のご厚意誠にありがとうございます」
カーテシー、カーテシー。
お客様が居ないのは、さみしいことだからね。
両手を挙げる棚マスターを緩く撫で始めた。
「食を失った"堂"はこれ以上失う物無いからね」
「故にこそ、何でも自由に使ってもらっていい。
何にでもなれる可能性を秘めている……」
「みたいな感じでどう?」
棚マスターです。両手を上げた。
多分ダメになるとしたな棚ではなく、
挟んだ手とかになる。
まだ挟んでないのでやっぱりセーフかも。