『廊下』
薄暗く、色褪せた廊下。一切の破損はない。
絨毯は水にぬれ、だいなし。
中庭に面した壁は割れない窓になっている。
雨と地味な噴水と、緑のない殺風景な中庭が見える。
『記録[
横切っていく姿を、目で追いかけた。
ただ通り過ぎていくだけなら、これも、それを見送るだけで終わりだ。
声を掛けることもないだろうな。
「そういうことだったんだ……」
「流石に高校生とは思わなかったな……」
まあもしかしたら事情があるかもしれないし。
口には色々出さないでおいた。
完璧じゃなくてよかった~~~~とか。
自室に戻るために廊下を歩く。
思ったより人が多かったらしく、目を瞬かせた。
とは言え、確か人間じゃないものは好まれていないんだったな。
嫌な顔をされる前にさっさと立ち去ってしまおう、と早足で横切っていく。
「どんぐりの背比べって、聞いたこと……」
あるかな。まあ、どんぐりって程ではないだろうけど。
「褒められると嬉しいな。
もっと魅力的に映るように精進しちゃいます、なんて」
「ああいえ 片思いはいいれすよぉ」
「人が人に思いを持つことは自然なことれすぅ」
「女の子誑かすのはいけましぇんけど…ある程度は容認しましゅ」
「それがその人の幸福であるならば」
「小さい子はらめれす」
だめです。
「ちょっと通えてない時期があったんすよ」
ダサ(笑)はしょうがない。自分でもダサ(笑)と思う。
「何で玲衣くんは体感結構歳上なんすよね。大学生だし」
>>4655
「ぁわ」
黄水晶の瞳はやっとそちらを見た。
頬に袖が当たっているのだから、そうするしかなかった。
「……」
「あぅ…」
「…」
願いの言葉。祈りの言葉。
目を合わせながら眉が下がり。
「あああ…現実的な問題れすぅ…!!」
すごいごもっともな言葉が出てきた。
その通りだった。否定しようがない。
当羽が……!!支えなきゃ………!!!
あわわ…と目を閉じていた。
「ヨンコさんは……しっかりしてて好かれそうだから不思議じゃないかも。」
言い寄ってるように見える二人はだいぶ癖があったけど、なんて冗談交じりに。