『バンケット』
大宴会場。電気はないが明るい。
円形のテーブルが多くあるが椅子はない。立ち席。
奥には大きな舞台がある。
幕は朽ちて落ち、雨の舞台が公演されている
『記録[
「……ねー、刀傷沙汰あったのマジですか?」
顔を出すのは有角の男。
ここに来るのは初めてだ。
「プールにいたんで全然分かんなかったんですけど」
「……ここにも何人か怪我人居る感じです?」
「……猫みてェだな。テメェは猫的ななんかの…種族なのか?」
丸くなった知り合いにそんな風な問いを。少し空気を変えたかったのもあるかもしれない。
>>3909
床に落ちた幕から顔を上げて、視線を向ける。
そちらの意図を探る目をしている。
警戒している。
「それは施しかしら。それとも見返り目当て?」
「………」
血の匂いに鼻をすん、と鳴らす。
声を掛けてる奴がいるし別に自分が動く必要もない。
どのみち自分には関係のないこと、それよりも気になるのは……。
目を細めて動向を窺っている。
「……嗚呼畜生。」
此処には椅子が無いのか。かといってロビーや食堂に行く気は起きない。壁にもたれかかりながらズルズルと床に座り込んだ。
「此処は平穏でいられるよう、なるべく努力する。」
勿論紅いフードの男はバンケットの支配者ではない。意識するだけでも変わるだろう、そういう思い。
「……その内グループができそうだな。」
状況を把握し、自分の推測を小さく呟いた。
「…………」
古びた血痕のついた手鏡を、
己の持ち物を取り出してその柄を両手で握り締めた。
祈るように、縋るように。
「天使さま………………」
「しゃべって、よ」
「ここは、平和」
「平和のままがいいな」
……現実はそうはいかない。
だが、願うだけなら自由だ。
昨日共に過ごした相手には手と尻尾を振りかえすだろう。
「……」
幕の裾を持ち上げ、ナイフで切ろうと試みている。
だが、上手くいかない。早々に諦めることにする。
幕はするりと床に落ちた。
訪れた人々には礼儀正しく一礼をする。
「…………」
食堂は知っていたものの、ロビーでもそうなんだな……。
やっぱり、物騒な場所なのかもしれない。
「……ロビーやら食堂やらは怪我人沙汰でちょい騒ぎだ。」
やかましいたらありゃしねぇんでコッチに、と付け足す。見知った人外の姿にはゆるく手を振るだろうか。
「俺も無事〜」
座り込んだまま片手を上げ大丈夫アピール。
人間では無い姿に訝しげな視線を送り。
襲われたと聞けばまじで?って顔をした。
「こんにちは」
先客たちに一礼すると、部屋をぐるりと見回す。
そして幕の近くに寄っていった。
少女の歩いた道には、血の跡が点々と続いている。
「…………他の場所では、何か起きているのね」
少女の顔が暗くなる。
「幸い、バンケットでは、襲われた人は居ない感じだけれどもさ」
「いや、なんだ…誰かに襲われたらしくてね。このザマだよ…。情けないね…。」
「けど、ここはなんともなさそうで良かったよ。でも…争いごとが起きる予感がする。君たちも巻き込まれないように気をつけて…。」
本当に様子を見にきただけらしく、そのまま踵を返して行った。
「こんちは…って、ここはなんもない感じか。…しかもなんか…のほほんとしてるな…」
様子を見ついでに資源を探しにきた女。
若干怪我してるらしく、包帯を巻いている…。