『プール』
白いタイルと規則正しい大き目の窓で構成されている。
窓は割れ、崩れた天井からプールに雨が降り注いでいる。
雨と地味な噴水と、緑のない殺風景な中庭が見える。
水しか出ないシャワー室も一応ある。
『記録[
「悪魔としてはイヤなことはしなくてもいいよ……♡と囁きたい所なんだけど~
不潔のマイナスイメージが付くと営業に響きそう。頑張って悲鳴を上げてね、人間クン……」
雨の降る外を見ながら歩いていく。
これが霧なら大体何か出るやつだな……。
基本ネガティブ。
考えるだけ無駄~、とシャワーへ。
羽を差し出し容赦ない水がかかってゆく。
「……アアアア……」
ばさばさと羽をすすぐ音が響いたらしい。
「はぁい。……」
鳥の水浴びを想起した。
無礼なので言うまい。
皆で一斉に扉に体当たり、どうだろうな。
扉の向こう側が穴じゃないといいな、と思った。
基本ネガティブだ。
「どうもう、じゃあ後で。
私もいい感じの部屋を手に入れたんですよ
……なんとなくで」
違いがまったく判らないのでね。
鍵が閉まってたらダメかなぐらい。
「部屋に? いいですよ、空いている部屋は見付けたので」
「雪待草、とパスワードに入れてくれれば開きますので」
聞こえないように小声。
電子ロックはコレで開くはず。
「そういえば花屋さ~ん。
少々お尋ねしたいことがありまして」
「後でお部屋に伺ってもいいでしょうか……
あのあと拠点できました?」
「ええ、ここも広いですから。
いってらっしゃいお気をつけて」
「……あだ名でスベリさんってちょっとだけ悪口に聞こえるの私だけですかね?」
「言いませんがね」
見送ってから呟きました。
葬儀屋さん、自体も偏見がありそうな文字列ではあります。
「……さて、自己紹介もできたことですし、私は別の部屋を見てきます。まだ全部回りきれていないので」
そう言ってメイドはローラーシューズで滑りながら何処かへと去っていく。
「夜草さんが早く帰りたい方ですね。
お綺麗ですしきっと故郷にお待ちの方がいるのでしょう」
「そして、おや……メイドさんにも通り名のようなものがあるんですねえ。
ちょっとドラマティックじゃないですか、真名がお揃い」
何が同じかは判明していないのですがね。
「花屋様も職業名でございますね!今後ハル様とお呼びする機会もあるかもしれませんね!
……おや?スベリ様も正式名称ではないのですね。実は私めもハイプ・ドミニカという本名を隠し賜っております!尤も、過ごすにあたってコンテキストで大丈夫です」
「そして極めつけはオモロス様!確かモニターをずうっと眺めていたときに二つ名付きの方が居ましたので、気になっておりました!お目にかかることが出来て嬉しく思います!皆様がたよろしくお願いいたします」
「織さん……色々と大変な事情を抱えてそうですけど、何かお力になれることがあれば申しつけてくださいね」
「花屋……ハル。同じ名前だ……」