『プール』
白いタイルと規則正しい大き目の窓で構成されている。
窓は割れ、崩れた天井からプールに雨が降り注いでいる。
雨と地味な噴水と、緑のない殺風景な中庭が見える。
水しか出ないシャワー室も一応ある。
『記録[
「カッパの坊主のお得情報だぞ。ロビーは結構人目につきそうだなァ
ソファーだけ運び出す……いやそれも目立つか……」
「カッパの坊主もいい部屋探すんだぞォ~」
「ロビーはちょっと……」
「傘を取られたら困っちゃうな」
やっぱり鍵付きはマストだろう。呟くように。
「皆さんも、どうかご無事で。
風邪などひかれませんように」
フードの坊主も手を振って見送った。
結局一回も喋らなかったなァ~
「こういう物語はマジで孤立したやつから死んでくからなァ
色んな人と会って、信頼できるやつを多く見つけられたやつが生き残るもんだ」
「なんか店だとナイフとかも売ってたしなァ。そういうの持ってるやつは気をつけろよォ」
「いいやつと出会えるといいな」
夢の住人と言えどな。
男は『夢の中だから俺は寝ないだろ』と高をくくってるので、今日は多分そのうちどこかで値落ちして転がることになる。
第一犠牲者にならないことを祈
「私羽毛布団に名乗り換えてもいいですね」
「今度からそのように頼めません?
……冗談です。
私はしがない葬儀屋です、以後どうぞ」
皆さんのおかげでなり損ないのまま。
ひらひらと手を振ってまた会いましょう。
「ロマンチックな言い草で、
することが自傷紛いなんだからな……」
今日のところはなんともなさそうでよかった。
「そうですね、もう少ししたら、私も……
寝床とか、他に過ごせそうなところ、探してみます」
「まだ会ってない人も、多いだろうしな。
今の所はいい人ばかりだけど、どうだろう」
そっと一礼をして見送るだろう。
穏やかに話せる人がいて良かった。
「…………」
坊主と呼ばれれば頷いて、暫しの思案。
もう一度一礼をして、部屋を探しに向かおうか。
「お~いいとこ見つけろよ羽毛布団の兄ちゃん」
人が手ずから用意した羽毛布団、使いにくさが勝つ。
人間らしいやつで良かったな~と思った。
「ソバカスの嬢ちゃんとか角の兄ちゃんとかフードの……坊主?も
いい部屋探しとけよ今のうちにィ~」
「下手をすれば極限のこの非常事態に
『私の手羽で温まるといいですよ』
……と言えたらどれだけ良かったか」
冗談未満で咲いながら伸びをする。
あなたたちの顔や声、大まかな雰囲気もつかめたことだし。
「では、私は個室を探しにいってきます。
みなさんの枕と執筆活動に幸あれ」
あとシャワーも。
「休む場所を得るために奪い合い、なんかプラスなのかマイナスなのかわかんねぇなァ~」
「スイートルーム争奪戦が勃発してる間にそれなりの部屋探すのが賢いかもなァ」
「てか地べたに寝るにしても最低限鍵掛かる部屋はあったほうがいいだろうしな。夢の住民は…」
「ここに勇気と化け物たるポテンシャルがあればよかったのですが、いささか一般人でして」
消耗を抑え早まらずに済めば、
ぱっと思考を切り替えましょう。
「早いもの勝ちと言われると焦りますね。
作っちゃいますか、夢のマイルーム」
まだ快適な睡眠は手にはいるはず。
さて、とプールの出口に視線をやった。
「大事にして……体以外にならないで……」
「カーテン……服にもなるしハンモックにもなるし、
やっぱり限られた資源をついつい意識してしまいます」
「スイートルームみたいなのがあったら、
もう抑えられてる頃でしょうか」
「あるいは奪い合いになってるかも、今頃」
>>1244
短い返事。あなたの了承に頷いた。
ありがとうと言う代わりに、僅かに笑って一礼する。
そっと布で包むように懐にしまった。
複雑な心地にさせてそうだな、とは思うものの。
綺麗なものを否定したくなかっただけ、かも。
羽毛布団の話を聞いてからは微妙な顔をしていたかもしれない……。
「まァ~なんか…向こうのもう一個の廊下の方にわんさか部屋あったし、
ベッドじゃないにしろなんかかわりのもんくらいあんだろォ~」
最悪カーテンとかあればハンモックになるかも。
「までも全部同じ設備の部屋とは限らねぇからなァ~」
「早めにいい部屋探しとかないとあぶれちまうかもなァ~」
>>1199
「どうぞ?」
短めに。
言葉を発さないのも気にせず了承した。
複雑そうなのは、それは鳥の羽でもなく
紛うことなき己の一部であるからで。
「早まらないで」
かなり小声で聞き取りづらかったけど、
かなりろくでもないことを言ってることは分かった。
「こういうのって、どれだけ消耗を防ぐかだから……
こう、早まると、本末転倒だと思います、多分」
「こんな立派な施設で
ベッドが……なかったら」
「………し、死ぬ気で羽毛布団を作れば
私だけ快適な睡眠を……?」
声は震えていた。