『プール』
白いタイルと規則正しい大き目の窓で構成されている。
窓は割れ、崩れた天井からプールに雨が降り注いでいる。
雨と地味な噴水と、緑のない殺風景な中庭が見える。
水しか出ないシャワー室も一応ある。
『記録[
外も、雨も、興味がなくなった。
脱出の目途が経ったのなら、こんなに静かな訳がない。
傘も。きっと役にたたないのだろう。
私の世界は。生は、ここにだけ。
「ポットとかあったらいいですね……」
>>16946
「そうしたら、夜空さんが苦しかったよ」
だから、はんぶんこでよかった。
だって今日の自分も、袋が空っぽだったから 結構苦しいまま。
ナイフだって、汚れなくてよかった。
君は、綺麗な方が似合う。……と、思う。
傘の黒が頭上に広がって、小さな夜空みたいだ。
「……夜空さん」
「外の雨、気になる……?」
放送だとか、周りの声だとか。
そういうものから聞こえたこと。口にして。
「…………」「本当に当たると死ぬ雨だとは」
どうやって死ぬんだろうな。
興味はある。
「ああ……シャワーからお湯が出るだけでも違うのにな」
>>16961 藍
「ん……ありがと。」
来てないという事は多分個室だろう、中庭に一人で行ったとは思いたくない。
「……そうだね。」
『雨』の事は…自分の予想はハズレ。もっとも結果はほとんどアタリ。
「お風呂…確かに温かいお風呂入りたいけど、私ベッド欲しいな…横になって寝たい。」
『そっかぁ』
『でも、腑に落ちたなら、よかったね』
最後に、答えが知れたなら。
そう思うのは、ちょっと残酷、だろうか。
手に入らないものを、永遠に求め続けるのと。
手に入らないんだって、諦めて、後は好きにするのと。
どっちがいいかは、わからなかった。
「ブランシュちゃんは来てませんよ」
多分。帰ってきた乃々に声がけ。
「中庭出れるんなら、自殺スポットになれそうすねー」
「死ぬ前にあったかい風呂で身を清めたいよな……」
回らない頭で推測をするに、多分、
中庭への鍵が開いたんでしょう。
態とらしい物音だ。凄く今更だ。
「耳うるさ、」「頭、いた……」
夢がどうとか、って話も、ちょっと夢っぽいな。
全然、夢じゃないけど。
「うん、洗髪料は手に入ったんだけどね」
「もうこんな状況だし、ちょっとぐらいなら分けても――」
「っ!?」
あったかい風呂。確かに。
それは確かに、夢、かもしれない。
「……一手、遅れたようですね……」
夢バトルに。
食堂から重い足取りでプールに戻る。
自分が確認したい事は確認出来たけど、同時に確認したくない事も確認してしまった。
「……外、出れるみたい。」
出た結果がどうなるかは言わない、信じたくなかったから。
>>16917
隣まで来て、一緒になってしゃがみ込んだ。
傘を差してあげる。慰めになるかも、わからないけれど。
「私も、上手くできなかったの」
「先に資源、全部渡しておけばよかったね」
汚れなんて一つも付いてない、まだ綺麗なナイフ。
傘を持つ手と反対の手で持って。傘の代わりに回している。
くるくる。くるくる。
「後悔は……どうかなあ」
「腑に落ちたって感じなんで。何とも」
そういうのも、もう良いかなって。
「四子ちゃん……」
「俺はまだあったかい風呂を夢見てますよ」
>>16910
「“そう言ったのつゆちゃんでしょ”」
そうですよ。つまりそういう事なんです。
「捨てちゃえば良いんですよ。どうせこの先役にも立たない」
「無惨に終わっちゃう最期までもうすぐですし」
起き上がれますー?って手引っ張ってあげます。
死んだあなたの方が、穴空き藍より痛いでしょ。
「そうだね、今は」
「みんなの願う生と死が欲しい」
「それだけ」
なんだか大仰なことを言っている。
縛るつもりはなく。そのどちらがあればそれでいい、なんて。
「あとリンスも欲しい」
ちょっと欲が出た。
「はい。きっちり資源も使い切りました」
キリがいいですね、なんて言ったかな。
洗いに行く姿を見送って。
「……はあ。そうか」
帰れないんだなあ、という実感が後からじわじわと。
別に絶望とかじゃあないけれど。
そうか、と。
『今からでも、見つかったら、すてきだね』
『ぼくも、一番大事が、なくなった』
『でも、二番の大事は、手に入りそう』
『とびっきりの、人生にしようね』
こんなところに、来たのに、負けないくらい。
こちらまで来てくれた君に、顔を向ける。
「ううん」
「大丈夫だよ」
これも、資源を投げうってしまったから。
約束を破ってしまうことになる。
上手くいったら手に入るかなって、思ってたんだけどな。
「夜空さんの、その気持ちだけで」
「おれは、嬉しいよ」
だから、大丈夫。
ナイフの傍、また座り込む。
「苦節19年、ですよ」
ついに叶いませんでしたね。
こればっかりは、やっぱ難しいのかもです。
「四子ちゃんは何が欲しいんです」
夢バトルしましょう。
でっけー夢叶えた方が勝ち。
藍はずっと負け。
>>16831
話の半分くらいは理解が及ばなかった。
頭の良くないもんですから。
血の巡りも、今悪いの。
「……好き者だね、あなた」
訝しむような目付き、から、溜息を漏らす。
捨てるのだなんて金貨が勿体無い。
洗って使い回せばいいでしょう。
「あたし、眠りが浅いんです」
「なのに、良くも起こせたもの」
緩く掲げた掌で引っ叩こうとする、ものの、
余計腹が鳴るでしょうから止めときました。
「ふふ」
「藍くんが諦めてる」
なんだか逆だ。こっちの方が余裕ある気がする、今は。
「……私も、欲しいものはないんだけど……」
「探したいな、今からでも」
『秘密かぁ。秘密なら、仕方ないね』
それならそれで、仕方がない。
手に入らない時って、あるみたい。
ここから出る、だとか。そういうもの、みたいに。
『傷、大事にしてね』
「ええ生きていますよ、お花屋さんも生きていたよかった」
「はい、ご遺体がありましたので運んでいました。
……ちょっと手袋洗ってきますね」
marryには失礼、と一度だけ会話を切って身に着けているものを洗いに行きました。
こういうのはすぐ注いだ方が取れるんで、時間との勝負なんです。すぐ戻ってくるでしょう。