『プール』
白いタイルと規則正しい大き目の窓で構成されている。
窓は割れ、崩れた天井からプールに雨が降り注いでいる。
雨と地味な噴水と、緑のない殺風景な中庭が見える。
水しか出ないシャワー室も一応ある。
『記録[
>>16870 葬儀屋さん
『うん』
『放送は……とりあえず雨は危ないんだなって』
『あと、やっぱり、出られないんだって。ここから』
『わかったぁ』
『ちなみに後で三人でゆっくり乾杯とかならどう?』
そっちならゆっくりお話出来るかな、って。
首を傾げて尋ねてみる。
『資源倉庫への追加資源を配置しました』
「そうすねえ」
少し考える。考えてもね、ううん。
あんまり。
「秘密です」
手に入んないのは分かりました。
何で、欲しがるのやめたんですよね。
>>16840 marry
「ちょっと壊れたけど大丈夫、ですか」
なるほど。返事は簡素でした。
「放送は正直あまり聞いてませんでした。
ええと、パーティー……」
行きたいような雰囲気は出しませんが。
断る理由はないです。
「顔を出すぐらいならいいですよ」
「飯でも食えば?なんか餓鬼になってたじゃん」
「もう飯食うほど元気もねぇか」
穴だらけだもんなお前
「布団買おうかな……」
くる。くる。
傘はようやく、ぴた、と止まって。
ゆっくりとした足取りで、レインコートの彼の元へ歩いていく。
「玲依くん」
「資源、なくなっちゃった」
「昨日からないの」
「ごめんね」
「叶えてあげられなくて」
まだ必要かは、わからないが。
勝手に取り付けた約束、破ってしまったから。
「渡し船へのお駄賃ぐらいは」
「残しておきたいですけど」
なんて、やっぱり冗談を言う。
「長く生きるか、ぱっと贅沢するか」
「迷う所ですね」
『ぼく、ちょっとだけ長生きしたいんだ』
『だから無駄ではないよ』
帰れないし、出られないって、わかっているけど。
ほんのちょっとだけ、長生きしたかった。
そのとおりだ。ここにある遺体の、何もかもを見ていない。
だからこれは平然として。
「生きてて何よりです。……また働かれていたようで)
>>16828 葬儀屋さん
『無事でよかった』
『ぼくもちょっと壊れたけど大丈夫』
『放送、聞いた?』
『最後だから、パーティーしようって。メイドさん達が言ってくれたの』
『葬儀屋さんも行かない?』
見ずに済んだね。後でモニターを見れば、知るのだろうけれど。
>>16789
「はい、俺ですよー」
ぼやぼやしてる眼前に手を振ってみせる。
血塗れ手拭いとかね、捨てなさいよ。汚いんですから。
「どうせみんな死ぬみたいなんですけど、抜け駆けはズルなんで」
「後々に苦しんで頂こうと思って」
嫌がらせです。
「……? ああ、来ていましたか」
「どうもう、無傷ですよ」
探され人ですよ。
ああ、よかった。無事にすれ違ってて。
お二人は見なかったですものね、あの方。
誰かとすれ違ったかもしれない。
遺体を運んでいた片羽は、すたすたとプールに戻ってきて。
真っすぐこれまで使っていたボロボロの布を手に取って、
シャワーを駆使しながら血で汚れてると思われる場所を掃除する。
所々を逃しているかもしれないが、言えばすぐに片づけるでしょう。
染み程度は残ってるのだろうが。
悪臭になる程の物はなくなった。
「いません、か…………」
「なんですか。また何か起こったんです?」
葬儀屋探しに同じく顔を覗かせて。
……異音に辺りを見回した。
『資源倉庫への追加資源を配置しました』
蓄音機から流れる音声は喧しい、ってよか、いっそけたたましい。
途中から耳挟んだものですから、内容はちっとも見当付かない。
たった今、妙な音もしたし。余計に。
「……?」「起こしたの、藍くん?」
血塗れの手拭い抱きかかえながらに上体を起こす。
咄嗟に声出すと咳き込んでしまって息苦しい。
ぼんやり、頭から手足まで血が通い出した。
どこかで「ガタン」という音がした