『プール』
白いタイルと規則正しい大き目の窓で構成されている。
窓は割れ、崩れた天井からプールに雨が降り注いでいる。
雨と地味な噴水と、緑のない殺風景な中庭が見える。
水しか出ないシャワー室も一応ある。
『記録[
>>14773 リタ
へにゃ、と微笑み返した。
『どういたしまして』
『やっと言えて嬉しい』
『言わせてくれてありがとうね』
いつも静かで、でも他人にやさしくしているあなたのこと、見ていたから。
お礼を言えて、嬉しかった。
『床だもんねぇ……』
『絨毯を切ってた人がいたから』
『少しもらってお布団にしようとしたりはしたけど』
『絨毯だし……』
ないよりはマシとはいえ……。
「食事も生活圏もそうですが……やはり布団がないのは、本当に苦しいですよねえ……」
去っていく人は見送り、現れた人には会釈を。
そして布団を思い浮かべる。
ああ、恋しい。ふかふかのお布団。
あ! 見覚えのある方。
そっと一礼を返した。
『タオル、ありがとう』
何のことかは、わからないかもしれないけれど。
マントを切って、置いて行ってくれたのを覚えていた。
そっとお礼だけ添えちゃおうかな。言いそびれてしまっていたから。
去る背にお疲れ様です、と会釈して。
それから黙って考えていた。
無音の真っ暗な空間とかなら嫌だな。
今度こそおかしくなりそうだな。
お疲れさま、と一礼をしてお見送りしよう。
色々……あったね……。
『ね。どこも、危ないから』
『どこも危ないなら、一緒にいたいよ』
『そう思えるのは嬉しいことだね』
いいよって言ってもらえるのも。
ダメって言ってもらえるのも。
どっちもきっと、幸福だった。
「まァ~…せめてな」
「自分が落ちるにしろ相手が落ちるにしろ」
「一緒に居なけりゃ生きたいと思えなくなるなら、追いかけるわな」
俺だって自分が置いてかれた状況ならそうするだろし。
それくらい、この環境で一人ぼっちってのは辛いし、相手ってのは大事なもんだ。
「落ちた先にシャワーがあると良いな……」
「素敵な関係を築かれたようで何よりでございますね。……本来であれば、そんな危険な真似をするなと叱るべきなのかもしれませんが……最早どこに居たって危ない場でございますから、側に居たい者と共に在れることが、何よりも素晴らしいことなのでしょう。」
『主人も心配だし家がぐちゃぐちゃになってないかも……』
『結構、かなり心配ではあるんだけど……』
帰れる見込みが薄いとも……いい加減思っているので……。
帰りたいのは、やっぱり変わらないんだけど。
帰れないなら、望む場所にいたかった。
『どこにいたいか、より』
『誰といたいか、だもんね』
『心配だし。寂しくもさせたくないし』
『何よりぼくが一緒にいたいもん』