『プール』
白いタイルと規則正しい大き目の窓で構成されている。
窓は割れ、崩れた天井からプールに雨が降り注いでいる。
雨と地味な噴水と、緑のない殺風景な中庭が見える。
水しか出ないシャワー室も一応ある。
『記録[
>>14583
食料を乗せる。ほんの簡単なものだけど、
今の君が買うこともできないほどの。
「あなたのこと、まだ全然分からないけれど」
「これから何をするかも、きっと左右できないだろうけど」
「私は、あなたにも生きていてほしい」
それだけ。言葉を交わしただけ。それが、一番大切だった。
「それだけ」
>>14495
「…、……四季さん」
何で、という顔をした。
その言葉は、口にしようと思ってはいなかったもので。
本心だったから。
躊躇し掛けた心もあったものの。
信じている君だったから、これは。
ゆっくり手を出した。
濡れた手が、君の前に差し出される。
「個室のどこかが危ない、のかもしれませんけど」
「……動くのが少し怖くなってしまいますね」
散歩したいのに。昨日の夜じゃなくてよかった。
「ん~……ちょっと聞いてみようかな」
「バンケット覗いてくるよ」
「……足元には気をつけて……」
詳細がわからないと気をつけようもないものね。
とてて、と向かった。
「……急に足元に穴が開くって感じならあれだけど」
「流石にそうじゃないと信じたいよなァ。てなると移動した時が危なそう」
「…でもなァ~、食堂とここには毎日通いたいんだよな。」
資源の棚と、シャワーと。
どっちかを諦めるっていうのもな。
『出口だったら……いいけど……』
『確認のしようがないよね……』
それこそ最悪、食料も何もないところに、ぺい、かもしれないし。
『お別れ、したくないな』
『気をつけたいよ』
『ちゃんとしたお別れもなしにバイバイなんて、ぼく、いやだ』
「範囲外……戻ってこれるかわかんねェな」
「………気をつけねェとなぁ」
「落ちたら二度と知り合いに会えなくなるかもだし」
それは、困る。
知り合いがもう落ちてるとかでもなきゃ、落ちたいとはまだ思えねぇな。
『正確には、生存か、死亡かも、わからない』
『範囲外ってなってて、見れなかった』
『多分、建物の中に穴が開いた……んだと、思う』
落下、ということなら、恐らくは。
「出口というわけじゃない、んですよね」
帰還者がいない以上大きな声で言うべきではないのは分かっている。
そこに希望を見出したほうが不幸になる。
『観測不能ってなってたのは天使さんだけだった』
『大穴だったら、もう少し同じになってる人がいる……と、思う……』
たぶん……。
『個室にいたのかな、外にいたのかも』
『まだわかんない』
個室にいれば安全……なのか……?
「……範囲外」
「やっぱり死亡、じゃ、ないんですね」
より酷い目に遭うことは、流石にないだろうが。
もう、落ちれるんだ。気を張っていなければ。
「じゃあこの建物内で穴が空いた……ってことになるのかな」
落ちて無事で済むとは思えないし。気を付けてどうにかなるものでも無さそうだし。嫌すぎる。
『そんな表示がされる覚えって』
『あの落下するって放送しかないよね……』
外、には出られないはず。
出入口がどこか開いたならもっと人の流れがあるはず、だし。
『わからない』
『観測不能。範囲外。って表示されてた』
エラーのことは、伏せた。
詳細はわからなかったから。
『ぼくが最後に彼女を見たのはバンケットだった気がするけど……』
「必ず解いてあげる人が現れると思うんですがね」
縛ったとしても。
……ロビーの騒ぎには気付かず、戻ってきた姿に首を傾げて。
「…………え? あの天使の方が?」
「落ちたってその、さっきの……」
放送で何らかを言っていた記憶はある。
今日だって、バンケットで姿を見た天使さんだ。
④子は玲依に食料品をおくった
>>14478
「玲依くん、手を出して」
「……君が必要なのは、傷を治すものじゃなくて。
それを培うための、元手」
出てきたのを見れば、ゆっくりと近づいていく。
そうすることが正しいかは分からないけど、けれど。
「……無理は、しないでね」
私が放ってしまうことは、間違っていると思った。
「………………」
観測不能。範囲外。
その前に、ちらりと見えた恐らく表示エラー。
『人、落ちたかも』
『8番の、天使の人』
おおよそ、平和(?)な話題で落ち着いてきたところで。
ふと、ロビーの方を見た。
「……?」
なんか、騒ぎの気配が変わっている気がして。
ちょろっとモニターを覗きに行って。
青い顔で戻ってくることになる。
シャワーの音は止まった。
掛けられた言葉に何も返しはしなかったけれど。
ほどけかけていた、腕の包帯を巻き直す。
そうしたら、顔を出したかも。
「怪我をしてないのに怪我をしてるふりをなさっているのは、人間として品性がないだけでしょう」
「拘束なんて、まあまあ。悪役じゃないんですから……」
『出来れば誰も』
『ケガ、してほしくないけど』
そうもいかないものな。
『せめて痛くないといいな……』
感じ方それぞれとは言え。
人が死ぬのは悲しいし、傷ついたら心配だから。
「お互い安全な程度に、ということ」
なるほどな。理には適っているんじゃないか、と思った。
これも傷は浅い方だったのだろう。
腹などを刺されるよりはマシだった。