『プール』
白いタイルと規則正しい大き目の窓で構成されている。
窓は割れ、崩れた天井からプールに雨が降り注いでいる。
雨と地味な噴水と、緑のない殺風景な中庭が見える。
水しか出ないシャワー室も一応ある。
『記録[
とてて、と来た。
なんかうろうろしていたのだとされます。良きように。
「!」
あ、無事そう~! 無事そうTake2も行われる。
ぶんぶんと手を振った。
「…………」
その語り口調に、また口を噤んでは頭を掻いて。
「……人ってやっぱり生き返らないほうがいいんじゃないですか」
「あなたも嫌なものを見ましたね……」
「忙しかったですよ、その方を手に掛けたのも一番傍にいた方で。
望まれていない蘇生って存在するんですね!」
略しているが、詳細に語らなくていいだろう。
ただ殺し合いがそばにいる人たちで行われていただけの話。
蘇生薬は救いではなかった話。
「私喉まで出かかってたゲロが引っ込むぐらいのもの見させていただいて、不味いものにはそれ以上の不味いもので相殺されるなんて経験初めてでした」
「………………。」
「まあ、面白い劇だ。見るのも吝かではないと思うよ。」
なんて言いながらも顔は笑っていない。
というか見えない。表情が。
「あなたも無事でよかったです」
「あ、床の心配じゃなくて」
怪我をしているのを見るのは嫌でした、とやってきたカッパ姿の方にお辞儀をしていましょう。
「なんか多めに消費した気はするんですけど。
まあ、玩具一個分くらいは妥協の範囲内かなって……」
細かいことを気にしないのか、
そういうことにすら頓着がないのか。
今ロビーに行くのは怖いので、ここでじっとしている。
「あなた襲われてないんですか」
あなた資源の数おかしかったですよ。
この言葉に安静にしていなかったと疑ってる様子はない、考えるのは機械のバグと条件の違いがある可能性だ。
「……まあよかった」
かつ、と足音はいつものもの。
見える顔ぶれも似てきましたね。
といっても、この放送の直後は見知った顔を見ておきたいものですから。
「どうもう、生きてます?」
「うわ」「……………………あ?」
「何……下から?」
一度ビク、と身を縮めて足元を見る。
すごく下から聞こえたような……気のせいかな。
足元のはるか遠くで、耳障りな何かが割れるような高音が鳴った気がする
ペコ、と会釈を返して。
これはまだここに座っている。
「…………」
ロビーの方がざわついてるな。
今日は何人死んだんだろう。死人の数を気にしなきゃいけないなんてな。
窓の景色
少しの光が見えるような。
じっと見つめた。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・」
その表情は安堵にも、諦観にも見えるかもしれない。
「ここも……起きてる人は少ないけど、全員無事かな」
プールの区画の入口から中には入らずに様子をうかがっていた。
そのまま次の場所へと。
今日のところは無事らしいこれは、ふと窓の外を見て。
「…………?」
「あれ。もしかして、雲に切れ間が」
「予報は本当なのかな……」
(中庭から見える天気が少し変わった……)
また放送が流れ始めた……
『空間安定値に異常を検知』
『『命綱』プロトコルを直ちに適用してください』
『「落下」の可能性があります。担当者は速やかに実行してください』
『資源生産用原料不足による不具合12件により、緊急プロトコルが実行できません』
『担当者は速やかに確認してください』
『死者を検知。緊急プロトコルが実行できませんでした。』
『バイタルサインに異常を検知。緊急プロトコルを起動します……』
ザザ、ザ……
ザザザザ……
『死者を確認、資源の追加生産を行います』
『……』
『資源供給システムに追加の不具合を確認しました』
『資源供給システムに五十件の不具合を感知。担当者は速やかに確認してください』
『資源倉庫への追加資源を配置しました』
『資源供給システムの不具合を確認してください』