『プール』
白いタイルと規則正しい大き目の窓で構成されている。
窓は割れ、崩れた天井からプールに雨が降り注いでいる。
雨と地味な噴水と、緑のない殺風景な中庭が見える。
水しか出ないシャワー室も一応ある。
『記録[
(衣料品と娯楽品と、スイッチ、蘇生薬はどうなんだろうなと思った)
DREAMという団体にもてあそばれてるような、モルモットのような気持ちになる
「まあ、どっちかっていえば、均一化じゃなくてさ。人間での普通の範疇に全部詰め込んだ感じするよね。……弱い奴らは弱いままのようだし。」
ぽろっと考えが、雫がこぼれ落ちるように出た。
「食料品と水があることから、飢餓を防がなければならない状態なのでしょう。故に餓死はある、。
ナイフはきっと……想定される使い方としては巻き込まれた難病患者に死を与えるためでしょうね。安楽死は出来なくて、失血のみ。多分、多分ですけどね!
結果、衆愚の我々は他者の殺傷に利用してしまいましたが、まあ意図としてはそんなもんです!」
医療品の存在はごまかしている。ナイフと併せると、嫌な意図を勘ぐらせてしまうからだ。
「そして、夜草様や鷹宮様のように持病もどうしようもない。よっ
「……。」
成程、と響く声を聞いている。
軽く自身の首に触れながら。
特別なものなど何一つ持っていないから、
ナイフくらいしか使えないかと思っていたけれど。
そうか、本来の力があればもっと楽に……
人を殺められる存在も此処に、いたんだろうな。
「おそらく、過剰な筋力はあるどこかの当たり前の筋力に。
おそらく、人を殺しかねない技術力はありえないものとして。
箱という特殊な変換器が存在しているのだから、無害なものとして変えられたのではないかと。
これは推測ですが、DREAMという組織の皆さんが資源を追加してくださるように、パニックが起きないよう均一化しているのでは、ないかと!」
物事は止めても止めなくとも。
とんとんと移り変わるものなのだな。
うーん。
「うーーん…………」
……。
立ち去る人に会釈をして。
自分もする、とどこかに。
なんだか。
他人事じゃないなあ。
そして、人を助けられるほどの力もない。
珍しく医者らしい素振りを見せている。
全く持って何がどうとかではなく、ただ本当に純粋に心配で見にきただけで。これ以上問題なさそうなら戻ろうと思っていたけれど。
しばらく入口の近くで皆を観察しているかも。
「皆様は集められた方々の中に、小さい体格の方も大きい体格の方も知っているはずです。
初めての停電で襲撃が起こったとき、ふと思いました。『ナイフが無くたって、体格や筋力差で首を絞めて殺すことだってできるのではないか?』と。
実際のところ、皆様のモラルによってそのような事は起きておりませんが……でも、私めの携帯撥水周波機器が機能していないのを見て、確信いたしました。
結論から言いましょう!ここにいる以上、失血・飢餓・持病以外では死ぬことはないと私めは仮定いたしました!」
「………………」
あぁ、体液を……。
事故か故意かは知らないけれど。
知人が集まってきて、大丈夫な様子でもある。
そっと一礼をし、角の人の方を見て……。
また後での方が良さそうだ。そのまま立ち去って行くだろう。
「毒…てことはやっぱ彼女か。」
夜草さんの方を見て。
「いや、昼間少しお話しさせてもらったんだけど…あれからちょっと心配でね…。
それでちょっと彼女の様子を見にきたんだけれど…」
「夜草織様がプールに毒性の体液を混ぜてしまいまして……毒プールになったところでございます。」
そして2名ほど、そこで泳いでいます。
プールサイドに上がった。
知らん男と一緒に泳ぐのは嫌なので。
畳んでくれた服を抱え、本来の目的であったシャワー室に向かう。
「ちょっと、コンテキストさん!」
何故、何故。
固まりかけた頭が、またぐちゃぐちゃに溶ける。
何で彼は、こんな事をしている?
何で彼は、汚れない?
何で彼は、黒くならない?
仲良し去っていった方にはひらひらと。
見られていなくても手を振っていたでしょう。
同じところにいかずともこちらもそろそろ離れるところでした。
「………………」
えっと……の合間があって。
『ぼくも詳しくは知らないんだけど』
『プールの水に毒が入っちゃったりした……? みたい』
『でも安全だよ~って言おうとして』
『二人とも飛び込んだ……みたい……?』
曖昧な説明で申し訳ないな。
「えーっと…何がどうなってる?」
毒の実験でもしてたなら混ぜてくれればよかったのに、なんて言いそうになったけど堪えて。
「大丈夫…?」