『プール』
白いタイルと規則正しい大き目の窓で構成されている。
窓は割れ、崩れた天井からプールに雨が降り注いでいる。
雨と地味な噴水と、緑のない殺風景な中庭が見える。
水しか出ないシャワー室も一応ある。
『記録[
人を傷つけて、何かを得るなら、得だろう。
傷つけられるのも、奪われるのも、嫌だからね。
理屈ではないのかもしれないな。
「……?」
な、泣いてる……。
「ええ、お互い、気を付けましょう」
これから起こることは良くないことの方が多いだろうから。
交わした言葉は少なくとも、
恩のある相手は生きていて欲しいと、言葉に願いを込めるのでした。
雨合羽の子と仲良しなのかな。
繭の子の様子を眺めつつ。
「はいあんぱんです゛ぅ゛…………」
べそべそ……
天使は朝方に姿を見せがちだし。
個室で繭の子といることも多かった。
ついでにあんぱんと呼ばれるとべそべそないた。
恥ずかしい名前だと思っている。
襲ってきた人って得、なんですかね。これ。
体感ギャンブル過ぎて、あんまり。
そんな感じ。
「中庭まだ行けない感じっすか。つまんないすね」
「そろそろこの空間息が詰まりそう」
あ。知っているお顔だ。
訪れた人を見れば、一礼をした。
その後に、小さく手を振る。
『無事、だった?』
大丈夫だったかな、とケガをしていないかの確認も。
「……そうですね。
怪我はあれど、生きているなら……」
別に、誰にも死んでほしくないし。
元気でいてくれた方がいい。
いつまで続くかわからなくとも。
傷を包帯の上から擦る。
まだ痛むけれど、さっきよりはまだいい。
中庭に、実は出られたりするのかしらと
扉を開けに行ったけれど。
結局開かなかったので仕方なく。
「残念。
……そも、開くようにできていないのかもしれませんが。」
ちょっと不服そうにぶつぶつと、
中庭の見えるプールへ呟きながらやってきた。
スケッチブックを開いて文字を描いた。
黄色のクレヨン。
『どういたしまして』
『風邪に気をつけてね』
ここには薬も病院もないもの。
感謝を笑顔で受け取って、気遣いだけを向けた。
それは無理かもですね。
資源も余裕も優しさも命も全部有限なので。
「結構みんな無事っすね」
これからは、尚更分かんないですけどね。
「あ、ありがと……」
ケープを差し出してくれたmarryに身震いしながら体を手で擦りつつ、感謝した。
冷気の多いシャワールームから少し離れた上で
ちゃんと制服を厚着すれば程なくして乾くが
少し湿った感じがシャツに張り付くのは嫌だったから。
>>10704 ④子
『うん』
人を傷つけないことを選ぶのは、やさしい事だと思う。
あまり深く話をした事はないものの、会話を小耳にはさんでいてのあなたの印象はそういうものだった。
『そうだね』
『頑張る』
出来れば、やさしくいたいもの。
心くらいは綺麗でいたい気持ちだって、ちゃんとある。
「はわわ」
「ほわ……」
「…プールってほんとにプールにゃんれすねぇ……」
繭の子を支えながら歩いて出た。
窓の景色もよく見える。
白いタイルは、自分の普段いる都市をなんとなく連想させた。
「優しい……」
よく、そういわれることがある。
自分ではそうと思えないけど。
周りにとってそうなら、それは嬉しいことだろう。
「あなたも、わたしも……」
「人にやさしくすることを、なるべく覚えていないと、ですね」
きっと、資源なんかよりも代えがたいだろうから。
同行者の後についてやってくる。
まっ白なタイルに並んだ窓、箱庭暮らしには異世界のような光景で。
「まあ、こんな場所があったのね」
大きな瞳をぱちくりとした。
「………………」
「腕と足と頭濡らさないの無理でした」
ちょっと服濡らして拭くに留まりました。
その服も血に濡れてる訳なんですけど……。
もしかして全身汚い……?嫌……。