『廊下』
薄暗く、色褪せた廊下。一切の破損はない。
絨毯は水にぬれ、だいなし。
中庭に面した壁は割れない窓になっている。
雨と地味な噴水と、緑のない殺風景な中庭が見える。
『記録[
目を開けずとも、雨音が止んでいないのがわかる。
六日後。ノイズ。バイタルサイン。
じっと、耳を傾けている。
聞き覚えのある声がした。目を開ける。
昨日見たような医者も、いつの間にかそこに座っている女性も。
床に残った血痕も、大した変化ではなかった。
雨はまだ降っている。
『こちらは自動放送です。』
ザザ、ザ……
『……この不具合の原因って結局なんなんですか?』
『簡単な話だ。この空間はすべてを空間内で完結させている』
『……というか、そうならざるをえなかったと言うべきか』
『つまり……?』
『何も、資源は無から湧いてるわけじゃ―――』
ザザ、ザ……
『次の[快晴]は推定約六日後です』
また放送が流れ始めた……
去る人をちらりと見たが、
さほど興味のなさそうに
食事に戻った。
血にはそこまで驚かないし、
治療をする様子もない。
ひとまず食料を食べ始めた…
がつがつ。
昨日彼を見た者は
【医者】よりも食べ方が
汚いことが分かるかもしれない。
ズタ袋がずたずたの刃傷塗れ。
紐を緩ませる、までもないでしょう。
手元に残ったの、額で言や二桁も行くまい。
「随分くすねられたね」
「構われたがりが居るらしい」
構ってやりたいの山々なんだけど。
早速犯人捜しとも行かないのが難点。
赤々した血痕残しながら足早に去ってった。
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「来年は会ってくれないの? 寂しいね。」
顔がひび割れていたから、やや老け気味に見えたのもあるようです。
しょぼんとした声で答える。
「そうね。無いままの方が気楽だと思う。」
では突然翼が生えてきたあなたはどうなのか。
「お兄さんまたね。今度はお仕事のこと、聞かせてほしいな。」
ぺこりと挨拶して見送っただろう。
マブも通るな〜なんて思いながら周囲をwatch…
「なんかここだとソワソワするな、どっか行こ〜」
そーっと、違う場所に行くか
「最後の一人になったって、雨が止まないんじゃあ仕方がないしね」
それなら、なんの意味もないだろうに。
そうも言ってられないんだろうな。まだ息をしているうちは。
通り過ぎていった灰髪も、暫し足を止めていた片翼も、片手をひらひら見送った。
ここは廊下であるからして、様々行き交う人がいる。
少女はどこに行くでもなく。
話し声が止むなら、静寂に降り続く雨音に身を委ねるよう瞳を閉じた。
「さてお邪魔しすぎましたね。
そろそろ御暇します」
「や〜優しい言葉が傷に染みて…
いい意味ですよ? 助かりました!
みなさま次に合うときもどうかご無事で」
どもども。
人の行き来が見えやすくていいですねここは。
「ね。陸人も空人も、平等につらくて」
「やだなぁ〜最後の一人になってもなあんも嬉しくない世界」
「…仕事増やさないでほしいですほんと」
はあ、と笑いながらため息をついて。
「そういう人ばっかりなわけじゃないんだ。苦労しそうだね」
「羽根はともかく、ヒビくらいは治ってくれてもいい気がするのに」
少数派に厳しいですからね、世界って。
今も痛むのかな。でも、もう痛みには慣れちゃってるんだろうか。
「雨、止むといいね。陸にいるにしても、濡れたら重そうだし」
「私たち、箱詰めかあ。それっていわゆる、蠱毒とかじゃないといいけど」
虫たちも、争えって命令にハイわかりましたと潰し合うわけじゃないんだから。
勝手に箱に入れといたら、生き物ってみんな最後はそ
「ないものはないに越したことはないです」
天使や悪魔を貶めるのではなく。
人は人のかたちであるのが美しい。
そう言っています。
「進行はまあ止まってますから、明日顔バキバキになったり羽根が8つはえたりはしません、どうかご安心を」
「…………」
「ふー……来年、会わないことに賭けましょう」
29お兄さん、セーフです。
「まあ、心配してくださりどうもう」
「あなたのような可愛らしい方なら似合うんですがねぇ」
「是非ともそのままの姿で、……はい。
美しすぎても天に攫われてしまいかねませんし」
「30過ぎたらおじさんだって、お母さまから教わったの。」
偏った教育をされているのかもしれない。
「激痛なのに顔色一つ変えないなんて凄いのね。
私なら声を上げて泣いちゃうわ。
羽根が突然生えたらどうだろ…
空を飛べたら楽しそうって思うけど、戸惑っちゃうかも。」
「私のいるべき場所空になるんですかね?
いやぁ〜それならやっぱり脱出はしたいところです」
前向きにとらえても現状にとってはマイナス。
悲しみが増してしまいました。
「雨やんでほしいですよねぇ」
「いつかのお嬢さんみたいに絶対帰らないととは思ってないですが……
閉鎖空間は気が滅入るんですよ、箱みたいで」
「え?30っておじさんですか?」
「心が弱いのでどうぞお兄さんとお呼びくださいね」
ジェネレーションギャップを覚えました。
羽も心もなんだか痛む気がします。
「そうなんですよ。
そんなのがありえない世界にいまして。
そんなのがありえないな〜って思いながらこうなっているんです」
悲しい話ですよね、心も痛みます。
「強がりませんので、激痛ですが〜
ここで出来たケガではないので。
問題なしというべきですね」
またね、と日差しのような彼女を見送って。
「じゃあ、お兄さん。突然生えてきたって、何も心当たりのないところから突然?」
「ヒビも突然入ったのかな。想像する限り、どっちもそれなりに痛そうだけど」
「自分の羽根なんだし、飛びたいときに飛べるんじゃないかな」
「酸素の問題も、案外体の方が適応してたりするかもよ」
羽根が生えてくるくらいだし。