『中庭』
雨の降る中庭。
石造りの噴水と、石のレンガによる舗装がなされた中庭。
緑はなく、殺風景。手前の方だけ庇がある。
空は一段と暗く、雨も降り続け止む気配は無い。
扉があいている
『記録[
「うむ。おれは王だからな、約束の一つや二つも果たせんと国が成り立たん。
資源……成る程、そういうことか。」
フードを深くかぶる。
「わかった。おまえ達の資源はおれが拾おう。」
おれじゃなくても、きっと他の人も拾ってくれるでしょう。あなた達は愛されていた、そうだろう?
「……お疲れ様だな。おれも直ぐにそちらへ行こう。」
あの世か地獄か行き先は違うかもしれない。だけど、また別の場所で逢えたらいいな、と。
「どう思う、ですか」
通信機の内容を思い出す。
此処に来て、溶けて消えたモノ、代わりに出てくる資源達。
「…DREAMとやらが作った何かの施設。
強い酸性雨のような、雨に打たれ続ける場所。
実験施設っぽさ感じました。
前の人達は僕らみたいに巻き込まれた人というよりはDREAM側の人間なのか、と。
此処で何かがあって出られなくて、雨も止む事もお迎えが来る事も一生無かった。
元から此処は雨が降り続ける場所なのかも、なんてね」
「かっこいい、ですか」
そう言われると少し、きょとんとした。
「……あは。肯定的な意見ですね」
「ありがとうございます。貴方のゆく先も、応援していますよ」
「えへへ」
人間って言われて、嬉しそうに笑った。
今なら、うんって頷ける。
「そうなんだ」
「じゃあ、いっぱい頑張らないとだ」
「よかったら、資源、拾っていってね」
「気にせず、使って」
今持ってるのは、恩を忘れた人の、遺したものだから。
こればかりは、持っていって、しまうんだけど。
「へぇ建物と……。
そんな立派な約束があるんですね。
……じゃあのこった資源でも差し上げましょうか」
「あとで拾ってくださるのでも結構ですがね」
「……しかし、まあ角は格好良いと思った。」
この空間を過ごして思ったこと。多分此処に来なかったら、格好良いと思った。
「うむ。悔いなく生きれたぞ。あとは約束を果たすだけだ。この建物の最期まで生きなければ。」
「いいええこれでと人間です。
角の彼も人間です、ついでにこの子も」
あなたは舞台の方にいた方だ、少しだけ見たことがあった。
挨拶こそ交わしませんでしたが、気にすることもなく一礼するでしょう。
「雨の香りが、するね!」
「新鮮な空気かも」
雨音ばかりで、外の空気なんて吸ってなかったもの。
ちょっとだけ、深呼吸しちゃう。
ピクニックに行く前みたいに、ドキドキした。
「あはは……ここに来てから何回か悪魔と間違われていますからね」
「ま、俺の居る世界でもお揃いの人はいなかったかな」
そうですね、三人で来ました。
手を繋いで。
「……外の空気、久しぶりだな」
「今のうちに吸っておかないと」
一気に人が増えてきたな、と思ったり。
「む。フードの者。おまえも生きていたのか。」
片翼の方は……初めて見た気がする。
「天使か?」
白い羽根にはそう思ってしまう。
川の字、で。
お手々繋いで、やってきた。
片角の人、フードに、片翼の人。
「あ」
「こんばんは」
お手々振る代わりに、一礼した。
ぺこり。
「うむ。角が生えていると覚えやすい。おれの世界には角は悪魔の象徴であった。角の生えてる人間はどいなかったぞ。」
角で覚えていたみたいです。
「おや。覚えていてくれましたか」
バンケットでも何度かお見掛けしましたね。
意外と人の記憶に残るものなのだな、と思って。
こんな角付いてりゃ当然か、とも思った。
「……ああ、本当だ」
「開いてる。」
久しぶりの外だった。
普通の雨と何ら変わりないこの中庭の光景を、少し眺める。
息を吸えば、雨のにおいがする。
「……ああ。すみません、失礼します」
先客には会釈をして。
「吸ってないとやってらんなくて」
待っているのは死だけ。その通り。
誰が雨に濡れて出来た資源なのか分からない物を、煙として肺に吸っていく。
話されるだろうことを聞く姿勢。空間の考察はちょっと聞きたい。
「今や王"様"と呼んでくれるのはおまえだけだ。」
あなたの話を最後まで聞いた。ペンを強く握る。何処からか悲しさを感じ取れるかもしれない。
「……タンテイよ、おまえはこの空間のことをどう思う。」
あなたの考察が聞きたいみたいだ。
「お久しぶりです、王サマ。
バンケット調査以来ですね」
「…周りは、いなくなっちゃいましたけどね」
少し寂しげ。
色々あったのはそちらもなんだろうな。
娯楽品を買おうとしたらもうショップは使えなくなっていた。残念。
座して死を待つのみのようだ。
「…。」
暇なので、持っていたペンとメモで絵を描き始める。歪で、何を描いているかわからない。
雨に向かってく物が見えて肩が跳ねた。
なんだ、けん玉の玉か…… なんでけん玉?
「…………まあ、また買えば良いんじゃないか?」
慰めには微妙な言葉。
あ。手が滑り雨の方へとけん玉が向かっていた。
……無論それは溶けてしまったようで…小さかったのか追加資源にはならなさそうだ。多分
落ち込んでいる。