『プール』
白いタイルと規則正しい大き目の窓で構成されている。
窓は割れ、崩れた天井からプールに雨が降り注いでいる。
雨と地味な噴水と、緑のない殺風景な中庭が見える。
水しか出ないシャワー室も一応ある。
『記録[
>>12542 綿積雫
いた~!
駆け寄って、ほどほどのところで止まって。
驚かせないようにゆっくり近づく。
「………………」
お話ししたくない気分かな、どうかな。
そっとあなたの様子を見ている。
正しい事をした気になっていた。
少なくとも、昨日助けた彼は、生きたがっていた、はずだ。
クラクラする寝起きの頭で思考に耽っている内に、プールまでたどり着いていた。
気になったのは赤いレインコートでも、軽薄そうな男でもなく。
交友のあったひとりの言葉。
「……安楽死って、なんだよ。それ」
死とは程遠い場所で生きていた自分にとって、希死念慮など知る由もなく。
そして綺麗な水をプールに入れる。
汲む。捨てる。入れる。
汲む。捨てる。入れる。
汲む。捨てる。入れる。
汲む。捨てる。入れる。
汲む。捨てる。入れる……
「……」「ば」
「馬鹿すぎる」「何やってんだ俺……」
都合20回ほど繰り返し一度止まる。
空笑いがプールサイドに落ちた。
コップを持ってやってきた。
プールサイドに立って、少し濁った水面を見る。
昨日より少し薄らいだだろうか。分からない。
透明な水面に、部屋の灯りがチカチカと光るのが好きだった。
それを見ていれば落ち着いていられたから。
それが自分にとっての楽しみの一つだった。
抑揚のない非日常が、抑揚のない心に齎す、数少ない。
プールの水を汲み上げる。
毒とか言ってたけど、もし本当だとしても別に構わなかった。
シャワーの近くの排水溝に流して、綺麗な水をコップに。
頭を押さえながら朝方にプールに戻ってくる。
そのままシャワーブースに向かって洗濯をしている。今日はインナー。
メンバーは少し落ち着いたものに変わっているだろうか。ロビーの方で声がする。
「……」
「モニター見たくないですねぇ。
みなさん、……死者が減って驚かないんですかね」
資産の数なんてどうでもいい。
知りたいのはあなたたちのその数なのに。
結局のところ。
捨鉢になって生を諦めるさまにとても虫唾が走ったからだ。
奴の過去など何も知らぬというのに。
……喧しい。つまらない。つまらないな。
川辺の石ころをしょぼくれながら蹴って帰る小学生と似たような心境だ。
モヤがどうしても解消できない。
それもすべてこんな環境のせいなのだが。誰かに当たらないとやっていけない。
結局、身長相応に未成熟なのだ。すべて。
「………………。」
全員、寝た頃合だろうか。
無論、このカッパも寝ては居たのだけれど。
昨日のプール混入騒動を思い返している。
「………………。」
柄にもなく、声を上げてしまった。
激情しないと決めていたのに。
「僕も…そろそろ寝ますね
少し寄りたい場所はありますが…」
「では、おやすみなさい」
止められければ、その場を離れたか。
「……」
「ここまで吐き捨てたけど多分夜草様は寝てらっしゃいますねこれ!むしろまだ残ってる周りの方々に自分の私語の乱用が目立つところをお聞かせさせてしまいました!お恥ずかしい限りです!
ですので退散いたします!まだカッターシャツ濡れて乾かない……」
男は、この場を後にした。
→「誕生日に間に合いたかったんでしょうね。できなかったから自棄になった。でも、果たしてこの空間と外の時間の流れが同じとは誰も証明できない。だったら、脱出すればまだ誕生日に間に合うかもしれない。
これは嘘かもしれませんが、希望にしてもいい。嘘が希望を持たせられるんだ、嘘そのものは罪じゃない。
毒そのものも罪ではない。だから先ほどの付き合い方と使い方を提案したことだけは言っておく」
>>12180
「そうですか…では
あなたもゆっくり休んでくださいね」
疑問に思うことはあったが、
特に態度が悪くなることもなく
見送った。
>>12171
えばいい。そういう自分の特性を利用価値だと、受け入れる。
ワタシから毒が溢れるなら自分本位でそうする。
しいていえばそれが大多数の利益につながるのがベストかな。ワタシもこの集団の安寧のために必要な嘘だと思った。
だから、傷つけるナイフも買わなかった」
「あと」→
>>12163
知らない様子だ。話さないでおこう。
「いえ、何でもありません」
何もなければ、ではこれで、と一礼して去るだろう。
周りの人にも会釈して。
まだ夜草がいるなら、言っておこうか。改めて。
「あ~……」
「ワタシが仮に嘘つきであるのなら、自分から嘘が出続けたしても……出てしまった自分の嘘は好きです。
どうとでもなるし、綾川様の言ったように適切な投与方法があるし、なにより自分の利益に出来るからです。
身から出た錆になれど、その状況だから得られる得もある。ワタシは利用価値という視点で自分の嘘を愛している」
「毒にも同じことが言えませんか?誰かに使われるなら自分から使えるものとして振る舞
>>12148
「目の色……?」
何か治療で真剣になってた時の
例え話だろうか、と。
もう少し詳しく話してもいいが、
その場合は医者の彼にとって
あまり良い結果にはならないかもしれない。
「じゃあ、戻ることとするよ。…其方のお医者さんもお大事に。」
おそらく、手当を受けているし大丈夫だろうと。
踵を返して、今はこの場を後にした。
「いえ。最初に突っかかったのは私の方ですし。こちらこそ長々と談義させてしまってすまなだったね…。」
彼女は…おそらく、蹲ったまま眠ってしまっているだろうか。それならそっとしておくに限るかな。
>>12140
「……まあ、結果。…最初の君の行動につながるというわけだな。」
人の行動とは不思議だ。無駄な行動が多い中で必ず結果に繋がることもあったりする。
「…さて…すまない、突っかかってしまって。思い切り引き留めてしまったね。そろそろ君も休息の時間がいるだろう。」
「私もロビーへ戻ることとするよ。」
>>12144
「そう言っていただけて嬉しいです」
「そういえば、前見た時と目の色が違いますね」
不思議そうに、でも他意はない。
>>12134
「ありがとうございます…!
これで動きやすくなりました
明日も頑張って生き残ってみせますね…!」
にっこりと笑い、感謝の意を表する。
この前とは仕草や話し方もそうだが、
目の色が違うことが分かるだろう。
>>12112
「全員が違って、適切なモノが違う」「……」
先ほどの葛藤は、今まで己が一括りにした"大衆"という言葉の大雑把さに取って代わった。
「なるほど。一度得いたしました。
やはり……私めは皆様を知る必要がございますね。その上で。全員を把握して全員を同じ処方で適切になるようにすべきかもしれないし。
ええ、その上で今後を案じる必要がございますね」
1人1人に処方する時間はおそらくは、
>>12100
これを言っている男の頭では、風化するという概念に葛藤を強く起こした。
残らなくなるということは、貶める名誉もなくなるということだ。
しかし、一度悪評しか残らなくなったあの子には救いであるのか。そんなの死後にやったって無為なのに。
ならば、悪評のない虚実にすり替えて死後も残り続ける栄光を捏造したほうがいいのではないのか。
ワタシがあの子に求めさせた栄光を、死後の虚像に追わせ続けるべきなのか。
>>12115
「はい、お願いします…」
ぺこりと頭を下げ、
怪我した箇所を出す。
あなたの治療について
とやかく言うつもりはないだろう。