商業通路(西)
改札外西側。
主にチェーン店やレストラン・カフェなどが多い。
営業時間外の為、殆どのお店は閉まっている。
「あう、あ」「いる」
「みられ」「みられている」
「た、たす、みられてる、みられて……みられて」
怯えきった様子で明るめのほうに来た
「まだ行った事無いんですか?」
「結構色んな……うーん、オカルトな感じの……
そういうものを見たとか聞いたって話が多いんですよ」
「だから懐中電灯はまずあった方が良いと思います」
「誰かと一緒に行、きたい、気持ちがあるな……」
女性でも男性でも。自分では見苦しい姿になる自信しかないから、やっぱナンパ氏逞しいな。
「仕事服なんだ……」
裏ではそういう業務ルートが合ったんだなって納得した。納得するな。
「優しいですねー」
ナンパ師を見破れないでいる。
「大きい蜘蛛はいるって聞きましたよ」
「他の獣は分からないですけど」
「野犬とかいたら怖いですね」
見掛けた異常は、明かりの故障、何かの物音、声らしきなにか、正体不明の気配。
機械の不調や気のせい考えすぎで済ませられるものでしたが。
「ピーッ!!」
「ゆ、ゆびゆびゆびゆびゆびゆびゆび……!?」
変なものを見てしまったようです。
「へへ、遠慮しなくていいからさ
二人でいれば怖くないからさ~ ね」
返事を聞いてこれは好感触と踏んで押そう……としたけど
「……っと、報告報告。
なんかひっかき傷みたいなのもあったんだよな、獣でもいんのか?」
と、すっかり忘れてた報告作業をした。
「俺もいつでも一緒に行ってあげられますからね」
「アレなら手も繋いであげられますよ」
相手が男でも……
あんまり震えて大変そうなので。
「あー、巡回終わりの人が結構帰ってくる時間ですよね」
「やっぱり色々怖い目に遭ったりしてるせいか、
皆良く叫んだりしてて……」
「大変そうです」
「一緒に…か、考えておきます……」
誰かと一緒に探索というのは魅力的な提案で、答えに迷う。
保留にしてしまって、バニーの方に目が移ったけど。
こんな時にもナンパできる精神が逞しすぎる。
「あ、ああ。そうだ、報告書」
すっかり忘れてた。ガクガクする足が落ち着いたら行こう。
「うん、俺もそう思います」
運が良い。それと同じくらい悪いんだけど。
どちらかと言えば見たいので。
かと言って今しがた出会し怯えた人達には、
流石に言いやしませんけど。
「大変でしたね」
「本当にお疲れ様でした」
「まずゆっくり休んでから報告書作ってくださいね」
金になりますので……
「おー、そこのかわい子ちゃんも」
「鏡もあるんだね。怖かったね、大丈夫?
次はオレといっしょに探索するぅ?」
こんなときでも、ナンパ。
「アアア! 注文した料理の中に名状しがたいものが!」
バニースーツ女が悲鳴を上げている。
それはそれとして料理はちゃんと食べている。
「そう、声とか…鏡とか…!」
「鏡は暗いから見間違えただけかもしれませんけど……」
掴まれたりはまだしていないけど、同じことが起きたら走って逃げちゃうかも。
具体的に話すことは避けながら、怖かったの声に頷いていた。
「大丈夫……人間だから……」
目に見えてて会話の出来る人間は安心出来る。
夜浜さん。杉森さん女性の方が変な目に会いやすいのかな。
「運がいいのかなぁ」
この業務で何も起きてないなんて。
見て見ぬふりを貫いているだけかもしれないが。
「おー、夜になって人も増えてきたなぁ〜
今こそ怪奇の時間って感じ? ハハ、なんつって」
まだ事態を軽く考えてる男。呑気。
「何ともない人もいるんだ。まー誰かのイタズラよきっと」