商業通路(東)
改札外東側。
主にジュースやパンなど、持ち帰りの飲食店が多い。
営業時間外の為、殆どのお店は閉まっている。
「おー、気をつけてな」
ふら、とどこかへ向かう背に軽く声をかける。
ふらふらどこか危なっかしい様にも見えるが……
話した感じ、妙なところは感じなかったし、大丈夫だろう。
自分もテキトーに切り上げないと。
そういえばまだ一口分残っていたドーナツを口の中に押し込んだ。
「別にいーけど、洞木くんってやっぱ女の子泣かすというか……」
「めちゃくちゃ派手に怒らせそうなタイプだよなー……」
偏見には偏見を。
温和そうだし、見目もいいけれど……
こういうところがダメっていう子、多そうだなあ。
「正常な防衛反応、なあ……」
「前ちょっとヤバそうだった人は、あんま飯とか
食う気にならねーとか言ってたんだよね」
「やっぱ人間、飯食わねーと気もおかしくなんだろうな」
彼方此方歩き回ってお腹が空かないはずもない。
例え嫌だったとしてもこういうのは食べないと。
「やっぱそうだよな、そんなもんだよな」
何故だかちょっとホッとした顔をして、
うんうんと嬉しそうに頷いた。
「じゃ、俺帰るねー」
「そっちも程々に、適当なところで終わらせなよ〜」
ドーナツも食べ終わったし、と。
来たときと同じように、ふらりといなくなるんだろう。
別れの挨拶があるなら、振り向かずに軽く手だけ振ってみせたかもな。
「事実じゃーん」
「まあでもさ、止むに止まれぬ事情がある子もさ、いるんでしょ。知らないけどさ」
全員じゃあないですよ、多分、おそらく、きっと。
楽しそうだから、で来ている何人かについては……、……
賢くは、ないか……と擁護はしなかった。
「あー、ごめんね〜言い過ぎた?」
「失言多いのわかってるんだけどなー、やっぱ気付くのは後になってからだね」
ぺろり、ドーナツ平らげて。親指ちょっと舐めながらの謝罪。
うーん、これでも反省はしてるんですけど。そうは見えないかもな……
「ダサくはないでしょ。正常な防衛反応なんだろうし」
「そういう形でも、誰かに助けを求められるって偉いよー多分」
「あー、あんま食べてなさそうな人のが体調悪そうだよね」
「巡回中に食べたくなったりしないのかな〜、あんだけ歩き回るのに」
異常を前に飯食ってる気分にならないのも、まあ。
言い分はわからなくはないですけども。
「うん、妥当妥当」
「真正面からこんなんと向き合う必要ないんだし」
ねー、とか言っている。
「賢くねーからここにいるっつーのは、
マジでそうなんだけど……火力高くね?」
自己管理ができる賢い子は
そもそも高額時給バイトになんて来ない。
それはそう。本当にそう。
ただそれはそれとして範囲攻撃にも程がある。
全員巻き込まれてるよ、それ。
「誰がそこまで言えっつったんだよー」
「そりゃダセーって思うだろ、つか実際ダセーじゃん」
「ビビって、イカれて、わーわー喚くなんてさー……
飯食ってりゃどうにかなんだしよ……たぶん」
そうもいかない状態なのかもしれないけど。
それでもあんまり良い様には映らないし。
ああはなりたくない、なんて言えてしまう。
「楽しめねーならテキトーにやって、
終わんの待つ……くらいが妥当だろ、やっぱ」
「マジマジ」
「それは今時の小学生がお金持ちすぎるんだよ」
責任転嫁。
「割に合わないのはそうだねー」
「でもま、皆が皆自己管理の出来てる賢い子なら、こんなとこには来ないでしょ」
「死んだら札束なんてただの紙切れなのにねー」
自分はまだ大丈夫、とか、そんなのを繰り返してるお馬鹿さんもいるんでしょう。
さっさと飯食って寝なよ、と思うけど、そういうわけにもいかないんだろう。
全部他人事、なんですけど。
「確かに手抜くとこは抜いてそう」
「いざ自分が取り乱したらダセ〜ってなってそう」
「ま、そんくらいがいいね」
そういうタイプに見えないのも、そう。
そこはちゃんと同意したし、偏見も追加した。おまけで。
「所持金二千円とかマジかよ」
「今時小学生でも、もうちょい持ってんだろ」
それは甘んじすぎなのでは?
「……んー、まあ、そりゃ金だろうけどさ……」
「倒れるほどとか、割に合わねーじゃん?」
簡単で大金稼げるバイトじゃなくて、
頑張らないとまともでいられないバイトだったわけだけど。
それでも壊れるほどやるのは、やっぱり、どうかとは思う。
「つーか俺は別に……言うほど頑張ってねーから」
「金もほしくはあるけど……他の奴らみたいに
取り乱すほどにはなりたくねーし?」
そもそも、そういうタイプにも見えないでしょ。
「まあねー」
なぁんて緩い相槌。
「あと数日の辛抱……が、長いんだろうなぁ」
「本当に壊れちゃう人もいるんだろうし」
「大変そうだよねー」
文字通りに他人事なものですから、
自分のペースでドーナツを食べ進めるだけ。
「そりゃーお金が欲しいからでしょ」
「所持金二千円に甘んじている俺とは違ってね……」
頑張る理由なんて単純明快。
そんでこの男は頑張らなさすぎ。それだけの話。
「アラシさんもそうなんじゃないの?」
お金が欲しくて、だから頑張って、
それでそんな風に参っている。
他人事じゃないんでしょう、あなたはさ。
「じゃー、変わらずあちこちフラフラしてるってわけか」
「……ま、気が狂れてるわけでも怪我してもねーなら良いけど」
変わらないって言うのなら
相変わらずのままなんだろう、と。
ドーナツを食す姿をチラ、と見て。
「倒れた奴までいんのかよ……限界きてんなー……」
「無理もねーけど、ヤバそうな奴ばっかだよなあー」
自分は全然そこまでじゃない。
ドーナツもこうして食べているし。
「楽しんでるわけでもねーのに、
なんでそう頑張んのかねー……」
意味わかんねえなと軽く笑った。
「え〜 そう?」
「あ〜、じゃあ、まあ。アラシさんで」
僅かに渋るような様子を見せるも、すぐに納得したように。
「そんならよかった。まー俺が化け物に見えてるわけじゃなさそうだしね」
「俺はこの通り、変わりないよ」
ドーナツにかぶりつき、咀嚼、嚥下と一通りこなしてから。
「倒れた人もいるって話だし、気をつけなね〜」
それだけ付け加えて、もう一口。
うーん。リーズナブルで、変わらぬ美味しさ。
「苗字まで言ってねーかも」
「でもアラシのままでいいよ」
名前呼びから苗字に変わると
ちょっと距離感じるし。
「まー……あんま元気じゃねーけど
他の奴らよか、だいぶマシって感じ?」
「そっちは相変わらずっぽいな?」
「……あ、これ饅頭より安かったんだっけか……」
訳も分からなくなってるほどじゃない、と
ヒラヒラ手を振る。他と比べればまだ大丈夫。
「はーい、俺だよ〜」
「あー、アラシさん……だっけ? あれ、苗字って聞いた?」
アラシ、としか名乗ってなかった気がする、けれど。
聞き逃しの可能性がすぐによぎるのも相変わらず。
「久しぶり〜 元気?」
「いいよねー、ドーナツ。お饅頭よりも安いし」
人のを見ていると食べたくなるの、あるあるですからね。
ちょろっと買ってきて一緒に食べようかな。
「…………あれ、洞木くんじゃん」
聞こえた声に一拍置いて顔を向ける。
なんか久々じゃん、なんて声も続く。
いいな〜なんて呑気な言葉が出てたあたり、
彼は他の人らと違って平常そう、なのかな。
「おつかれ〜」
「洞木くんも食ったら、めっちゃ甘いよコレ」
巡回、と立ち話からの帰り道。
ふと通りかかった場所で、なんだか甘い匂いがした。
見逃しや聞き逃しは多くても、嗅覚は人並みなもんで。
目元の髪を払うような仕草をすれば、話したことのあるような顔が見えた。
「あ、ドーナツ」
「いいな〜」
相手はなんだか憔悴していそうだった。
だけどこちらは変わりないので、呑気にそんな感想を述べている。
巡回中の休憩。いつもの場所で立ち止まる。
静かな場所なのに視線を感じて居心地は悪い。
でも他に、行きたい場所がある訳でもないし。
……というか、そんな事なんかどうでもよくて。
売店で購入したドーナツを一口齧る。
甘いものは別段好きではない。
元からあまりこういったものは食べない方だ。
でも、こういったものを食べていかなければ。
そうしないと元に戻れないかもしれないから。
「……あっま」
ぼそっと呟いてまた一口齧る。
食べたくもないけど、食べないとダメだ。
もっとたくさん。元に戻れるまで。
甘いのも、塩辛いのも、苦いのも、なんでも。
たくさんたべてはやくもとにもどらないと。
【道具使用】
アラシ は ドーナツ(プレーン) を使った。
スタンダードなドーナツの味がする
>>13361
「そっか、じゃーそっちも気を付けてな」
「……いらねー世話だと思うけど」
ずっと楽しげなので、本当にいらない声掛けだとは思うが。
あなたのピースしたりしている様子に呆れ顔で手を振って、
宿舎の方へ戻っていった。
>>13333
にっこりしながらピースを返してみたりして。
「安心して食べれる環境の方がいいもんね」
問われればもう少し見て回るよ、と答えただろう。
貴方が部屋へ戻るならば、見送るだろうな。
>>13318
「ダメだ、しぶとい」
めげないんじゃ倒しようがないね……
別に倒さないけどね……
「そーかよ、なら高え飯の話題にしなくてよかったわー」
「……んじゃ、俺は流石にここで飯食いたくねーし、一旦宿舎戻るわ」
そっちは?なんて言って他の視線から目を逸らしながら問う。
取り乱しているわけでもないので
この男は放っておいても自力で帰れるだろう。
>>13298
「……?」
にこっとだけした。めげないらしい…
「えぇ〜いいじゃん、話してたら食べたくなっちゃったってやつだよぉ」
「お、ありがと〜」
なんて言いながらもしっかりと受け取っただろう。
>>13286
「…………。」
何言ってんだこいつ、という目だけ向けておこう。
ドヤっているので無駄にツッコむと面倒そうだ。
「何で今の流れでコレになんだよ」
「……いいけどさ、別に。これ安いし。
でも変わり者にも程があんだろー……」
自分の食べるものと一緒に購入すれば、
栄養バーをポンとあなたに手渡した。
>>13264
「こーゆーのが一人でもいると場が和むでしょ?」
ちょっとだけドヤった…無視していいとされます。
「誰かがこういうの欲しい〜とか言ったのかもね」
「ん?僕?…ああ、そういう事か。それじゃ〜さっき話してた栄養バーでも貰おうかな?不味いけどなんとなくクセになるんだよね、あれ」
貴方が突っかかるような物言いをしているところしか見た事がなかったので、このお礼には可愛いところもあるんだな〜と思ったが…口には出さなかった。
>>13240
「通常運転のままなのがやべーわ……助かる、けど」
そのゆるく軽い感じに助けられた身なので。
なんか楽しんでそうなのは……やっぱちょっと妙だけど。
「そういやなんか急に増えたよな、食い飽きる前に増えるといいけど……」
「……こーがくん何か食う?一応……面倒かけたかも知んねーから、
お礼っつーか……軽いもんなら、奢ってもいいけど……」
お礼を言い慣れてないのか奢り慣れてないのか、
何故だかやけに言いづらそうにしながら首を傾げた。
>>13218
「普段からこんな感じだからね〜僕」
ゆる〜く軽い。
「食べ物も怪しかったらこの仕事二週間も続けられないだろうしね、その辺りは配慮されてるのかも?」
怪訝な目にもにこりとしたかもしれない。
元気と言うよりはこの状況を楽しんでいる、が合っているのかも。
「ね。チーズ味があるなら甘い系もあって良さそうな感じだするけど…また増えたりしないかな?」
ラインナップはそれ以降変わってなさそうだし〜と。
>>13197
「軽ー……」
「……まー、謎な食いもんじゃないだけマシだよな
変なもん見た後に変なもんは食いたくねーし……」
本当にこの人元気そうだな……と
ちょっと怪訝な目を向けた。すごいなこの人。
「マジでそれな」
「甘くねーのは嬉しかったけど、アレと比べんならもっと普通な……
チョコとかそこらへんの甘めのやつとかの方が食いやすいわ」
>>13161
「できるでしょ、大丈夫だよ〜」
根拠とかはないけれど、なんとなくそんな気がして。
「そうかも?仕事でいろんな謎現象を見て疲弊した精神には、普通のものが一番効く…みたいな?」
考えられるのはそのくらいかな〜と。
「あれか〜ここのよりドラッグストアとかで売ってるカロリーバーの方が美味しいよね。栄養取れるのはありがたいけど」