中央入口前広場
中央入口前の広いスペース。
入口は施錠済み。
「お気をつけて…♡特に足元、ね♡」
自分が転びかけまくったからね…………いじってたけどまだ左脚は調子が悪そう。お前先に直して来たら…?
「おしゃべりが……したいのかぁ…… そうかぁ………」
「じゃぁ 一緒に…… おしゃべりぃぃ~~~し~~よ~~お~~よ~~~~」
カッ。驚かし野郎が出てきた……
「悩みも吐き出せば少しでも楽になるとも言うし、怖い話も笑い話として消費しちゃえ作戦に出る時かもしれない……」
「……さて、そろそろあたしは巡回に行くか……い、行きたくねぇ~……」
嘆きながらトイカメラ片手に改札へ向かっていく。
「ウフフ、まあまあ、おしゃべりが助かるならずっとしておいてあげるよぉ〜…♡おねーさんはぁ、いつでも(?)ここにいるからねぇ〜…♡」
尚いない時もある。いつでもじゃないじゃん。
「そう、おしゃべり、僕としては、来る前は別に、とかダルいとか思ってたんですけど。ここだと逆に喋ってないとやってられなくって」
「こう考えると思考って案外不思議なものかもしれません」
目を逸らす人が増えた。いやまさかな、いいや…有り得るだろ、だとしてもだ。
あれ?あの人路上というか構内で寝てない……?
みたいな顔になった。そういえばここは外。
「寂しいならイチゴで同衾してあげますよ」
こらこらこら。
「足は飾りらしいですよ♡下半身外しても死なない死なない♡」
「テケテケごっこして報告される側になりましょうねえ」
「仕事にならない、は、ははは、そうですね。騒がしいとある意味仕事にならないのかもしれません」
けれど静かな空間はとっくのとうに耐えられなさそうで。
「どちらかだけじゃ、多分ダメなんでしょうね、僕としては根を詰めるのはヤなので。程よく、って言ってて」
「おねーさんみんながどうなってるか見るの好きでね…♡」
ニコニコよりもニチャニチャが勝って来た。キモい。
「そこまで外せるようになっちゃったらおねーさん死んじゃう〜♡」
「これからみ〜んなお仕事で、ビビり散らかして帰るのをそこのお姉ちゃんが見たい〜って話です」
「抜きましょう♡腰♡腰も取り外しできるようにしましょう♡」
?
「騒がしいところだとあんまり怖くないですよね〜。
怖くないからか、ぜんぜん仕事にならなかったですけど」
「あ、どうも。今日もやれるだけ程よくやって行きましょう、頑張ってると、その、多分大変なんで」
「一時の安泰、そうですね。人の声、姿があるだけでも中々違います、誤魔化しが効くから、色々」
「ウフフ…♡みんなで頑張ろうねぇ…♡」
とは言ってるものの、まだ立ち上がる様子もなく…
「ウフフ、ありがとう〜…♡…………抜けるかなぁ〜…♡」
腰。良いですか腰ですよ。
「ふーん、結構キワキワですねえ……
でもあるじゃないですかあ、腰♡」
「抜いてみたらどうですかあ……♡
ヘタクソなビビり方でも全肯定、しちゃいます……♡」
お姉ちゃんと話すとなんだか声が媚び♡媚び♡になっちゃうなあ……
「お疲れ様です〜」
「ひとときの安寧ですよお」
「まったりしているな、マジで」
まったりで済まして良いものだろうか。ポテチを食べた後、スマホでもずっと弄っていたのだろう、ようやく周囲に意識を向けた。
「あ、お疲れ様です」
「え〜…♡おねーちゃん上手く怖がれるかなぁ…?♡」
ニッコニコ。なんか…なんだろうこの感じ…………
「おねーちゃんの足ここまでないんだけど…それでも腰って抜けるのかな…?♡」
だいぶ太ももの真ん中より上の付け根近くを指してる。え…?そうだったの…?
「お姉ちゃんも怖がってよ〜〜」
「そんで腰抜かしてヘロヘロの小鹿になるの」
「そしたら背負って帰ったげる〜」
持てるかなあ。義肢が重そう。
「それも良いけど〜…おねーちゃんはみんなが帰ってくるまでここで見てるよ…♡」
みんなの怖がる反応が見たいだけの、カス女である。
「ん〜」「お寿司〜♪」
鼻歌引き連れてやってきた。
人影にひらひら手を振る。
誰もいない方にも。だって、そこにいるから。
片手にはトランシーバー、ノイズを添えて。
「こんばんわあ」