コンコース(東)
改札内広場の東側。
椅子がたくさんある待機所などがある。
ホームへの登り階段・エスカレーターもある
「…、こんなところに…。」
もう一度、奥側に行ってみようと思ってホームを歩いていた。
「ん?この通りであってたかな。まぁ、いいか。」
みたいと思えばみえるんだ、この踏んでしまったモノがそう言ってる。
最近何度か来た場所へ、ふらりとまた訪れて。
いつも通り座れば、弁当でも食べようか。
いつも通り、弁当を食べて業務をして、ふらっとして。
タバコでも吸って、いつも通りに、そういつも通りに。
疲れていたはずが、なんだか気分は良好だ。
何か、手紙が来ていた気がした。きっと気の所為。
ご飯も美味しいし、これからもいつも通りに過ごすのだろう。
あれ、俺の名前ってなんだっけ?
そう、いつも通り。いつも通り。
いつも通りなんて、もうないのに。
【道具使用】
水原 淀 は 駅弁 を使った。
駅弁を食べた。おいしい
独り言が多くて、失言も多くて、
見逃しが多くて、聞き逃しも多くて、
目元を払う癖があって、耳元払う癖があって、
黒いものの識別が弱くて、それでいて暗闇で転ばなくて、
気を抜くとぼんやりしてしまって、大体全部他人事で、
そんなん此処に来る前からそうでした。
はじめからずっと正常をやっています。
何一つとして異常なことはなかったんです。
本当に。ご存知の通り。
知らせの一つだって来ていないわけで。
正常ですよ。ご覧の通り。
何処かで電話の音がしています。
でも、それって気のせいだし。
誰かとすれ違ったのも。景色が記憶と食い違うのも。
見えてないし。聞こえてないし。
一人でいると、そんなうっかりはよくあることです。
一つ一つ気に留めていたって仕方ないんです。
だから今日も、大した成果もなく巡回を終えるんでしょう。
それが所謂慣れってやつで。じゃあ、きっと恐ろしいことなんだと思います。
多分。
「慣れってさ、怖いよね」
「もうこの辺の異常なんて、またか〜ってぐらいで」
「異常を異常とも思えなくなってくるんだから」
「人間って怖いなあと思うわけ」
「もっと奥の様子を知ってるから、ってのもあるんだろうな」
「取るに足らない、と認識しちゃうのは」
「これだって立派な異常なのにね」
「変な話だよなー」
「でもま、そんなもんだよ」
「人間ってそんなもん」
「賢くって嫌になるね」
「馬鹿らしいな〜本当」
濡れた靴跡を辿るように歩く。
排水溝から溢れ出した髪の毛に気付かず足を取られかける。
ぶちぶちと千切れて絡みついてくるのをそのままにして歩いた。
「なんで、みんな別々の見えるんだ、いやだ、いやだ!」
・・・・
前髪で隠れている方だけで見ればみんな同じだ、でも、隠れていない方は別々に見える。
あぁ気持ち悪い、どっちかに決めてしまおう。そして
【道具使用】
水原 淀 は 駅弁 を使った。
駅弁を食べた。おいしい
人の居ない場所を探して、ふらふらとして。
椅子に座れば、少し落ち着く気がした。
だって、何処に行っても人の声がするのだもの。
まぁ、振る舞いはいつも通りだろうが。
そう、それが逆に正常じゃないのかもしれないが。
待機所の椅子に腰掛けどこを、何を見るでもなくずっと遠くを見る。
手には自販機で買ったペットボトルの飲み物。
あったかいものを選んだ気がするけれど、指先が冷えて仕方ない。
「………」
誰も来ない、誰も見ていない、何も待っていない。
目に見えるものは、本当にそこに存在するのだろうか。
見えたらいけないんだろうな、と思うものが見えている。
見えないふり。
正常ですと囁く声が聞こえる。
聞こえないふり。
今日は全然人に会わない。
周りにいるのは見えてはいけないものばかり。
他の人達はどこに行ったんだろうか。
「ハァ、ハァ、ハァ、なにかみえる、なにかみえる、よぉ~~ッ」
「ナ、ナニコレ?ナニコレ?臭いし気持ち悪いィイッ……」
ウロチョロと、前後左右を振り返りつつ
震える足を一歩一歩踏み出している女性が1人
とりあえず。このまま居たってどうにもならない。
壁に手をついてゆっくり立ち上がると
「よぉし、続き続き~!」
安いカメラを片手に巡回を続けるのだ。
今までこんな事なんてなかった…はずだ。
なのにこの仕事を始めてから少しずつおかしくなった。
原因も分からないから尚のこと困っている。
「…風邪ひかなきゃいいけど」
友達に心配かけさせたくないし。
寒さでまともに眠れない。
朝起きて鏡で見る顔はいつも酷い。
それを化粧で誤魔化して、明るく笑顔に振舞って。
『いつもどおり』を演じている。
「もう少し、だから…頑張んなきゃなのに」
「…ヤバ、マジ寒い」
どこにいても。何をしてても寒さが抜けない。
ずっと冷凍庫の中にいるようだ。
自分の身体を抱き締めるようにして、壁際に小さくなって蹲る。
「うはははは!!!!追いかけっこだ、追いかけっこ~~~!!!!」
きゃあきゃあ声を上げながら、止まっているエスカレーターを昇ったり下ったりを繰り返している高校生。楽しそうだ…
一人になれそうな場所を探して、ぶらぶらと。
おお、椅子がいっぱいある。なんて思いながら。
適当な椅子に、腰を掛けた。
けれどなんだか、一人じゃない気がする。
「疲れてんのかな。元気なんだけどなぁ、体調は」
【道具使用】
雨宮 さつき は お菓子 を使った。
おいしいお菓子だ
【道具使用】
雨宮 さつき は お菓子 を使った。
おいしいお菓子だ
(静かだなぁ)
こういう静かな夜は嫌いじゃない。
ただ視線を感じるのだけは嫌だなぁと思い、持ってきたお菓子を手に取る。
(もうこういうのは慣れてきたもんね!)
*怖くないもんね!
【道具使用】
雨宮 さつき は トイカメラ を使った。
カシャッ。……うまく撮れただろうか?
てくてく巡回にやってきた。ホームは広いから今日はここにしよう。
「椅子がいっぱいある…」
やたらたくさん椅子がある。そんなに必要なの…?と思いながら歩いていく。
*不思議だね。逆にありすぎて座れないくらいあるよ~
(ね~)
「おー」
煙草1本が幾らになるのかは、そのときの気分次第か。
立ち去るさまを見送って、ふうっと煙を吐いた。
「これ吸い終わったら行くかぁ……」
嫌だなあ、怖いし。